2020年8月 5日 (水)

初心者向け城定秀夫監督作品鑑賞ガイド!

 ご存じの方も多いと思いますが、城定秀夫監督はここまでアダルト系Vシネマやピンク映画を主たる活動の場としてきています。ここが大きな壁になっている方、いらっしゃるでしょう。あのジャケットや内容紹介じゃ、みる気は起きませんよね(汗)。こちらも内容に性的な描写があると他人にはとても勧めにくい。しかしひとつ言えるのは城定監督の作品の性的描写には、それでしか描けないものがあるのです。城定作品には人間ドラマがあると思います。
 『アルプススタンドのはしの方』が一般の映画ファン(ピンク映画ファンと分けるための表現です)の注目を浴び、さまざまな媒体でもとりあげられています。あの映画秘宝でも、ここまでに城定作品の特集が3回(2017年8月号、2018年11月号、2020年9月号)ありましたし、『アルプススタンドのはしの方』で城定秀夫監督を知った方も多いと思います。ぜひそんな方にも監督の他の作品をみていただきたいと思いまして、この記事をまとめました。参考になればありがたいです。 ※2020/08/08に記事を一部修正追記しました。

<城定秀夫監督作品の魅力>
 自分にとっての「初」城定秀夫は『新任女教師 二人だけの教育実習』で、これはDVDリリース直後にみています。完全にアダルトな目的でした(汗)。でも吉岡睦雄と話の構成が強く印象に残っていて、才能の萌芽は感じられました。
 自分が意識して城定秀夫という監督の作品を追いかけ始めたのは、おそらく2014年あたりだと思います。松江哲明監督が『デコトラ★ギャル奈美』を褒めていて、ためしにみてみたら大当たりだったのです。プログラムピクチャとしても面白いし、登場人物の造形がグッとくる。名前を覚えましたが、それでもまだ受動的な感じでした。次のキッカケはWOWOWでのオンエアでした。試しにみてみたらこれが面白いの何の! しかもことごとく全てが。何だろう、この監督は?となりました。そこからはBSやCSでオンエアされた時はできるだけチェックしてみるようにしています。

 では城定作品の魅力とは何でしょう?

 ホラーとエロで魅せる作品が作れる監督は注目の価値ありというのは昔からよく言われることですし、Vシネマのような低予算作品が才能のショーケースとなっていましたから、城定監督の才能開花はその好例だったと思います。ただ城定監督は一般映画ではなく、ピンク映画やVシネを主たる活動の場としていくのですが、結果的にその作家性はユニークな進化を遂げたのではないかと考えます。ピンク映画やVシネは、映画として面白ければ満足、ムラムラできたらなお満足な世界ですが、そのハードルをいつもたやすくクリアしてしまうのです。なおかつユニークでドキッとさせるやりとりが物語や人物に普遍性と時代性の共存をみることができるのです。

○表現が簡潔
 上映時間が短い! なぜこれが褒め言葉か? 余計な物がないから短くて済むのです。でも映像表現で物語を語るので、余白がちゃんとあって、余韻もあるのです。撮影や編集などのスタイルは映画表現の王道を行っていると思います。

○展開が独創的
 ご自身で脚本を書かれているものが多いですが、導入やシチュエーションは一般的でも、展開にヒネリが効いているものが多いです。観客は驚きながらもカタルシスを感じられます。

○女性を魅力的に描けている
 私があげる一番の魅力はこれです。城定作品の女性は本当に美しく哀しいのです。そして監督は限りなく優しい視点で見つめています。性を通してでしか描けない物語があることは、古今東西の芸術作品でも証明されていますし、性を通して描いた物語だからこそ、ジェンダーを超える視点が得られているのだと思います。
 余談ですが、城定監督の作品では女優さんが魅力的という柳下毅一郎さんの指摘は本当にそうです。古川いおりさん、西野翔さん、七海ななさんなど、そうそうたるセクシー女優さんが出ていますが、彼女たちに興味をもって他の作品をみても、あまり魅力的でないことが多く、全然違ってみえるのです。

 ですから『アルプススタンドのはしの方』にある魅力の原点は過去の作品にあり、あの作品にセックスシーンが増えただけと思っていただければと思います(ちょっと過激なやつかもしれないけれど(汗))。『アルプススタンドのはしの方』を気に入った方はぜひ! 

<過去の城定秀夫監督作品のどれからみるか?>
 以下が城定監督作品で私が鑑賞しているリストです。すげぇ、40本もみていた! いつの間にか自分の映画鑑賞歴で一番数多くの監督作品を鑑賞している方になっていました。そもそもキャリアの中でここまで監督作を残せる方は、かなり珍しい部類に入ると思います。ちなみに私の鑑賞作品数が多かった監督ランキングで、城定監督に次いだのがクリント・イーストウッド(38本)。ちなみこの38本はイーストウッドの監督作全て。城定監督作品数はまだまだ未見作が山ほどですから。文字通り、城定監督がイーストウッド超え?(笑)

<自分が観賞した城定監督作品リスト ※城定夫名義も含む> 年代順・太字斜体は特にオススメ。
水元ゆうな 萌ラ―メン必見伝
新任女教師 二人だけの教育実習
デコトラ★ギャル奈美
懺悔 松岡真知子の秘密
デコトラ★ギャル瀬菜
悦子のエロいい話 ~あるいは愛でいっぱいの海~
ヒン子のエロいい話
ラブ&ドール
ラブ&ソウル
女の犯罪史
シリーズ エロいい話 渚のマーメイド
シリーズ エロいい話 エスパー★マミコ
ツクシのエロいい話
ケイコ先生の優雅な生活
デコトラ★ギャル奈美 ~感動!夜露死苦編~
デコトラ★ギャル麻里
妹の夏
闖入家庭教師~小笠原一家の事件手帖
人妻観察委員会
美人妻白書 隣の芝は
桃木屋旅館騒動記
悲しき玩具 伸子先生の気まぐれ
嘆きの天使 ナースの泪
僕だけの先生 ~らせんのゆがみ~
妹がぼくを支配する。
舐める女
箱女 ~見られる人妻~
妻の秘蜜 ~夕暮れてなお~
悦楽交差点
方舟に濡れる女たち
ラブアンドロイド 執事のアダムとぼっちな私
ミク、僕だけの妹
わたしはわたし OL葉子の深夜残業
覗かれる人妻 シュレ―ディンガ―の女
恋の豚 むっちり濡らして
私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください
私の奴隷になりなさい第3章 おまえ次第
花咲く部屋、昼下がりの蕾
犯す女 愚者の群れ
アルプススタンドのはしの方

ではこの中から初心者にもオススメできる城定秀夫監督作品をプッシュします。全部Amazonの配信で鑑賞できるものから選びました!(並べ方は上から初心者向きの度合いで並べてみました) ※初出時にAmazonプライムと表現していました。スミマセン! 修正しました。
 
『わたしはわたし OL葉子の深夜残業』
城定監督版『君の名は。』? 二重人格の女性が主人公なのですが、多分あなたが考える物語とはぜーんぜん違う方向に進みます。

『悲しき玩具 伸子先生の気まぐれ』
エッチな厚木先生とアルプススタンドの極北で過ごしたような作品です(笑)。でもすごく真っ当な青春映画でもあり、素晴らしい女性映画です。ここに石川啄木が加わるなんて想像つきますか?

『懺悔 松岡真知子の秘密』
城定版『何がジェーンに起こったか?』。でも間違いなく城定監督のフィルモグラフィでは個人的に大きな分岐点になった1本だと思います。姉妹の描き方が素晴らしい。

『女の犯罪史』
何と実録物!と思っていたら、実はフェイクだそうです。このブログをアップするまで気づいてませんでした。監督のインタビューを読み直したらウソですと・・・(汗)。でもいいです。日常的に感じる女性の哀しみと生きにくさを滑稽さでさらっとくるんだタッチで描きますが、とても切ない作品です。

『妻の秘蜜 ~夕暮れてなお~』
アダルト作品にありがちなシチュエーションが城定監督の手にかかると極上の人間ドラマになりました。

『花咲く部屋、昼下がりの蕾』
城定秀夫監督の新たなる地平を感じる、現時点で私の城定作品における一番のお気に入りです。城定作品はいつも、真の意味でフェミニンな視点があり、優しさがあり、官能的ですが、本作は城定作品ではあまり目立たなかった美的意識(でも実は視覚的な要素は今までの作品でも重要だったが)が登場人物の情感と呼応している点が本当に素晴らしかったです。官能的ではあるのだけれど基本は夫婦の絆の物語。純愛故の倒錯。純愛故の悲劇。文楽や浄瑠璃に通じる感覚ですが、気取りは無いけれど美しい故に切なかったです。良い意味で今までの城定作品の枠を飛び越えて、作品に風格をもたらす絶対的な美を備えた官能と優しさと愛に充ちている一級の芸術作品です。

また以下の3本はAmazonにはないけれど、ぜひおすすめしたいものです。

『悦子のエロいい話 ~あるいは愛でいっぱいの海~』
誰とでもセックスしてしまう女の子、という設定を聞いたらゲッ!と思ってしまうかも知れませんが、題名の通り、これは愛についての物語でした。

『美人妻白書 隣の芝は』
いわゆる不倫物なのですが、シチュエーションコメディとしてもすごくよくできていて、上戸彩の『昼顔』なんかより五億倍オモシロいです。

『ミク、僕だけの妹』
『エクスマキナ』と同じぐらい人工知能を描いた近年のSF映画では重要な作品です。もう誰も想像できない展開でした。そしてどこか切ない物語です。

ちなみに私もまだみていない作品が山ほどある人なので、オススメがあったら教えてください!

<城定秀夫監督作品をみる方法>
 私はディズニーからアダルトまで映画として面白ければ何でもみてしまう人ですが、アダルトという表現に抵抗感があるという人は少なからずいらっしゃるでしょう。事実、監督の『性の劇薬』については、同性愛などにそれほど偏見がない私ですら未だに腰が引けてしまってみていません。だから私の場合、あまりよいお客さんではないかもしれません。映画館でみたのはわずか2本(『私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください』『アルプススタンドのはしの方』)。あとはほぼBSやCSでの放送でみていました。これは逆説的に城定作品をみるためのハードルの高さを説明していると思います。

○ピンク映画館での上映
都内に数館あります。でも私も頻繁に足を運ぶ気にはなかなかなりません。やっぱりコワいですもん(汗)。私が映画館でみた2本は一般作品でしたから。それと私はホームシアターで家では鑑賞しているので、普段も映画館では「これは映画館で!」という感覚になる作品を優先して鑑賞しているというのもあります。

○一般映画館での上映
一般作品はもちろんですが、ときどき監督の特集上映がある時があります。最近だと2019年にポレポレ東中野でありました。

○DVDレンタル
これがかつての王道でした。しかしショップが激減してますし、近隣に作品がない!というケースもあると思います。私の場合、SD映像のクオリティが耐えられないので、DVDのレンタルは、よほど特別な事情がない限り選択しません。

○配信
これがこれからの主流だと思います。アマプラ! ネトフリ! でも残念! 大手配信会社はピンク映画に優しくありません(汗)。監督のVシネ作品はかなり増えてきましたが、ピンク映画が配信されているケースは少ないです。また権利を持っている会社が独自の配信サービスをしていることもありますが、値段的にはかなり割高な印象です。

○BSやCSでの放送
私がメインにしているのはこれです。以前はWOWOWでも年に何本かかかっていましたが、最近はほとんどなくて、現在一番頻度が高いのは東映チャンネル、次が日本映画専門チャンネルかと思います。ただ狙い通りにコンスタントにやってくれるわけではなく、いろんなチャンネルと契約して、かなりマメにチェックしないとダメかも知れません。

<城定作品を知る資料とキーパーソン>
 残念ながら城定監督に関する書籍は公式には少ないと思います。城定作品を手がけているプロダクションレオーネから城定秀夫脚本集が2冊出ています。ただ短期間の限定販売のため、現在は入手できません。(私も入手できませんでした(汗))。

vol.1
「悦楽交差点」「舐める女」「方舟の女たち」「恋の豚」
vol.2
「犯す女~愚者の群れ~」「花咲く部屋、昼下がりの蕾」「ミク、僕だけの妹」「わたしはわたし~OL葉子の深夜残業~」

 それから何と言っても前述の映画秘宝における特集記事が掲載された3冊です。とても充実していて、久保Pが作成した城定監督のフィルモグラフィも掲載されています。
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 城定監督作品の魅力を支える4人の方々を紹介します。SNSなどでチェックされるとまた城定作品を違った視点で楽しめるかなと思います。

久保和明
城定監督作品のプロデューサー。間違いなく城定監督を陰に日向に支えてらっしゃる方です。「映画秘宝」2017年8月号では城定監督インタビューに久保プロデューサーもご一緒されていて、城定監督創作の秘密を知る上でも貴重なお話をたくさんされています。

田宮健彦
城定監督作品を何作も担当されているカメラマン。間違いなく城定監督を技術的に支えている方だと思います。動と静のコントラスト、艶めかしさを引き立たせるライティングなど、城定ワールドには欠かせないカメラマンです。

吉岡睦雄
2010年代中頃までの城定監督作品には必ず顔を出していた俳優さんです。さまざまな役柄を演じることができますが、男のダメな部分をサラッと出せるところがとても好きです。

麻木貴仁
現在の城定監督作品を支える俳優さんです。ちょっと映画評論家の町山智浩さんっぽく見える時があるルックスです。『悦楽交差点』での麻木さんは「ホンモノのストーカー?」と思っちゃうぐらいのリアリティでした。

 以上、長文拙文におつきあいいただき、ありがとうございました。間違いなく名前で作品の質が期待できる監督さんです。私もファンとして応援していきたいと思います。

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2019年9月15日 (日)

ハリコン21 マッツ・ミケルセンに会えた!

 有希乃さんのインストアライブを断念させた先約はハリコン21でした。あのマッツ・ミケルセン氏の来日イベントだったのです。映画俳優さんは映画で充分、と思っていますが、別格のご贔屓さんだとミーハーモードを発令させる私です(汗)。
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 私がマッツ・ミケルセンを映画でみたのは、『007/カジノ・ロワイヤル』のル・シッフル役でした。その時も、血の涙を流す男ということで、悪役男泣きのブラッド・ダーリフ級の個性爆発ぶりでしたが、強烈な印象を受けたのがスザンネ・ビアの『アフター・ウェディング』でした。ここでの彼の役どころは、突然元彼女との間に娘がいたことを知らされる純粋な男。素晴らしい演技とその笑顔にやられてしまいました。さらに私のマッツ好きを決定的にしたのはやはりTVシリーズ『ハンニバル』。殺人鬼レクター博士を実にクールに、そして知的に演じておりました。その後は主役も脇役でも大活躍で、ハリウッド作品にも何本も登場し、今では日本での知名度もアップしています。2015年に『悪党に粛正を』で初来日した時は、関係者の想定を上回るファンの熱狂ぶりで大騒ぎになりました。その後も何度か来日しているのですが、運悪く機会が合わず。今回は情報をつかんで、即準備でした!

 短い時間だけでしたが、それでもオーラが違います。マッツさん、気さくでした。スケジュール的には最終に近くて、相当お疲れだったと思うのですが、写真はポーズに応じていただきました。
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 サインは『アフターウェディング』のパンフレットに。「この作品がきっかけで・・・」と話したら「『アフター・ウェディング』だね。ありがとう」と答えてくれました。
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 ハリコンのイベント自体はこんなものでしょう。マッツさんなくして成立しない感じです。ただこの感じが多分ハリコンの良さでもあって、これ以上混んじゃうと・・・という気もしました。券で散財したのは事実ですが悔いは無し!(グッズは購入せず、『永遠の門』のムビチケだけ購入) マッツの兄貴、まだまだついていきます!

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2018年7月19日 (木)

「夏への扉を、もう一度『1999年の夏休み』30周年音楽会」

2018719a  「夏への扉を、もう一度『1999年の夏休み』30周年音楽会」というイベントに足を運んできました。私がいかにこの作品を好きかは昨日のブログを読んでいただきたいのですが、今夏デジタルリマスター版として上映される本作の魅力の1つが、中村由利子さんの音楽です。この映画で中村さんを知ってから、自分の部屋や、仕事場や、端末から、中村さんの音楽は流れ続け、ずっと身近にあったことは間違いはありません。その中村さんの演奏を、しかも『1999年の夏休み』がメインで、生で聴けるなんて! 絶対に足を運ばなくては!!となった次第です。当日は映画&海外ドラマライターとして活躍されている小原雅志さんとも再会。どんな感じのイベントになるのか結構不安だったので小原さんに会えて一安心でした(汗)。

 イベントがスタートして、何度もみている冒頭のシーンがはじまります。そこに中村さんの「哀しみのラプソディー」が生演奏で重なります。もうそこで涙腺決壊(汗)。生で聴けたという事実もそうですが、何よりそのメロディが持つ力が、最初にこの曲を聴いたときの感激のように、あらためて自分の心をふわっと包みこまれたように思えたのです。もうそこからはイベント中、ずっと夢心地。ずっとずっと身近に流れていたあの曲も、即興で演奏された曲も、金子監督の他の作品の曲も。どれもこれも宝石のように輝いていて、でも今日のそれらの演奏は聴き終えたらそこから消えて自分の心にしか残らないことが切なくて。

金子監督は別の作品の舞台挨拶を拝見したことがありましたが、同じような語り口でありながら、やはりお年を召されたなあと自らも振り返って、30年の月日を感じました。トーク中にハインラインの「夏への扉」の話が出てきたのは嬉しかったですね。宮島さんは本当に大人の女性として年齢を重ねられていてステキでした。吹替生ボイス! 画面見ないでやるなんて大変なのに、と思いながらこれは海外ドラマをみている身としては感激でしたよ。

そして「ウェイティング・フォー・ブロッサムズ」の演奏がはじまって。ああ、これが流れるとまた現実に戻るんだなあと、ここでまた涙ぐんでしまいました。

終演後、CDが即売されていたので、滅多には発動しないミーハーモードを全開してしまいました!(汗)。持参した「風の鏡」のCDにまでサインをいただいてしまいました。20180719c20180719d

 さらには金子監督にまでお願いして、持参したロードショー公開時のパンフレットにサインをいただいてしまいました。もう大感激です。

若い頃にみた作品にこうやってあらためて触れるという場面は、自分の年齢もあって機会としては増えた気がします。しかしこのイベントはやはり特別でした。それはやっぱりメインに音楽があったからではないかと思います。中村さんのピアノで、自分はあらためて魔法にかけられて、あの『1999年の夏休み』の世界にふっとひこまれてしまったように思いました。またこのイベントは多くの関係者の方々、そしてファンや有志の方々の支えで、実現したのではないかと察しました。感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

さあ、いよいよデジタルリマスター版の再公開ですね!

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2018年7月18日 (水)

『1999年の夏休み』と私

 この文章は『1999年の夏休み』について書いた物だが、まず先にお断りしておこう。この文章はきっと矛盾だらけで、読んでもすっきりとしないし、私が何を伝えたいのかが、はっきりと見えてこないと思う。理路整然と話すことを旨とする身であるが、こればかりはどうしようもない。だからきっとうまくいかないこの試みが何を目的にしているか最初に意図だけは伝えたい。

 この作品をなぜ自分が好きなのかを公開後30年たっての自分なりの分析を試みたいのだ。結論はわかりきっている気がするけれど。

 私がこの映画をみたのはまずビデオでだった。高3、一浪、大学1年と、人生の中で一番映画をみて、音楽を聴いて、本を読んでいた頃だった。はまった。どこがピタッとはまったとか、何かに心を動かされたとか、そんなわかりやすい説明はできなかった。ただ何度も繰り返し再生する1本となった。やがて名画座での上映も経験して、心から好きな大切な映画になった。物語のトーンも好きだ。私は海外のSF小説から読書に入った人なので、近未来とか、輪廻転生とか、タイムトラベルとかの設定に惹かれる。

 興味の入り口は脚本の岸田理生さんだった。私が高校生の時に衝撃を受けたガルシア・マルケスの「百年の孤独」を題材にした傑作『さらば箱舟』の脚本家の方だ。寺山修司も凄いとは思うのだが、あの小説をあそこまで独創的に料理したのは岸田理生さんの力だと信じている。その人が、私の大好きな「11人いる!」の作者である萩尾望都さんの原作を翻案するという。「トーマの心臓」は当時未読だったが、「11人いる!」はSF物大好き人間としてはその面白さにニヤニヤしながら読んでいた。ただ、あとで読んだ「トーマの心臓」にはホモセクシュアルの香りも漂わせながら、実は宗教的なバックボーンまで感じられたし、そしてそもそもがフランス映画『悲しみの天使』がモチーフになっていることもわかったが、この2つにはそれほど感銘は受けなかった。
 だからあらためて思うのは、岸田理生と萩尾望都という組みあわせが『1999年の夏休み』には夢幻的でありながら独特のリアリティをもたらしたと思っている。閉鎖的な空間の中で展開される「生まれ変わり」と「少年たちの交流の物語」に、そもそもが閉鎖的な空間であるステージ表現の構成力がもたらされたのだから、鬼に金棒といってよい。加えて本作のセリフは実に詩的で、魅力的であるのも、岸田理生さんの貢献は大きかったのだと思う。

 金子修介監督は当時にっかつ出身の俊英として知られる新人だった。後追いでみたデビュー作『宇能鴻一郎の濡れて打つ』は「エースをねらえ!」をおちょくった大爆笑ものの作品で、コミカルな作風の人だと多分ほとんどの人(私も)が思い込んでいた。このあと金子監督は、驚くほど多様なジャンルで幅広い内容の作品を監督し続けている。怪獣もホラーもアクションもコミック原作もある。しかし後からフィルモグラフィを眺めると、やっぱりこの作品は金子監督の作品群からは突出して異色であると考える。
 監督作品を並べてみると、きっちりとした演出構成で組み立てる職人的な腕を持っている方だ。事実『あずみ2』や『学校の階段3』はシリーズ物の前作から監督を引き継いでいるし、『ガメラ』も『就職戦線異状なし』も金子監督ならば、あの脚本を何度映画化しても同じ水準の作品に完成させられるように思える(別な意味で『卒業旅行』は無理だと思いますが)。また映画的表現としてケレン味の利いた作品が多く、ジャンル系も得意にしている。そのせいか『毎日が夏休み』『デスノート』『神の左手悪魔の右手』といったコミック原作の映像化もとても多い。そんな演出の向こうに見え隠れするのは、コミカルでありながら観客を引きよせるエモーショナルなサジ加減と、肉体が未成熟であるが故の独特なエロティシズムである。コミックが原作の場合は特にケレン味全開となっている傾向が強い。また本作と同様に4人の少女が揃った『少女は異世界で戦った』に至っては、いかにも金子監督らしい趣向はあるものの、『1999年の夏休み』と同じ匂いはしない。演出の腕できちんとみせる。また金子監督作品には一般的に理解される性的な「いやらしさ」がほとんどない。ロマンポルノ時代の作品ですらいやらしくなく、カラッとしたタッチである。むしろ『ガメラ3 邪神覚醒』の前田愛がイリスに取り込まれるシーンのように、フェティッシュな描写に官能を感じさせるものが潜んでいる。本作で言えば、寄宿舎での生活であり、あの男子校とは思えない制服デザインである。何より男の子を女の子に演じさせて、さらに声を吹き替えるという発想が端的であろう。
 それでもやはり本作は他とは違う。全編がシリアスだし、誇張された表現も少ない。でも間違いなく金子監督が作りたかったものがぎゅっと濃縮された世界であることは表出した気がする。何か人知が及ばないような力が加わって、同じようには作ることのできない作品となっているとしか言い様がない。

 撮影の高間賢治さんは、実は映画よりも先に「マスターズ・オブ・ライト」の共同翻訳者として名前を覚えていた。だからなのかもしれないが、オープニングのナイトシーンの画作りからして、いわゆる邦画的なセンスとは違うように感じられた。パンフレットやチラシなどの宣伝材料に掲載されているスチル写真とのトーンの違いでもよくわかる。悠がランプを手にして歩くシーン。後に別のインタビューで、これまた私の大好きなキューブリックの『バリー・リンドン』などで知られるジョン・オルコットのライティングを参考にしていると語っていた。ノスタルジックにも感じられるレトロフューチャーな世界が高間賢治さんの手で画として紡がれていく。

 主演4名のうち、あらかじめ知っていたのは中野みゆきさんだけだった。でも魅せられてしまったのは宮島依里さんだった(しかも、3役のうちの1つは無名時代の高山みなみさんの声の表現力が加わるのであるから、もはや無敵である)。オープニングでは何とも思わなかったのに、エンディングの頃にはもう愛おしくて仕方がなかった。ステキな笑顔で。でもどこか悲しい陰りがあって。何と表情の豊かな女優さんなのだろう! 何しろ当時夜型だった私が「ドーナツ6」のために早起きしたし、「3年B組金八先生」のニンジン嫌い娘や「リトルボーイ・リトルガール」の戦時中の少女(歌声まで聴かせてくれる)も印象的だった。魅力的な女優さんであり、声優さんとしての活躍ぶりは本当に嬉しいのだが、結局私の中では『1999年の夏休み』の彼女の魅力を超える役はなかったように思える。そのぐらいあの存在感は凄かった。そしてそれだけで私は一生宮島依里ファンでいようと思っている。

 そして本作に完璧な魔法をかけたのは中村由利子さんの音楽である。これが後で既成曲の使用と聴いたときには本当に信じられなかった。それぐらい完璧だった。どの曲も好きだけれどあのエンディングの「ウェイティング・フォー・ブロッサムズ」が映画に与えたトーンは素晴らしい。まだ目覚めたくないという後ろ髪を引かれるような気持ちと、新しい一日の始まりが待ち遠しくて仕方がない、そんな相反する感情がおだやかな空気の中でまどろみながら漂う、そんな朝のようなエンディング。この曲のおかげで、この作品はもう一度みたいという気持ちにされるように思う。あのシーンだけをみたい!じゃなくて、全編に身を委ねたいという感情がふっと自分の中にあることに気がつく。中村さんの音楽が、最後の仕上げとして、この映画に「特別」な何かを与えたのだ。
 余談だが、大学1年の時に私はある女性に恋に落ちた。その女性との距離を一気に縮めるキッカケとなったのは中村由利子さんである。何の気なしに向こうが最近聴いている音楽として中村由利子さんの名前が出たのである。彼女は本作で使われた「風の鏡」が大好きだったようで、私は「いいよね」と答えたら、「知ってるの?」と驚かれた。そもそも周囲に知っている人があまりいなかった上に、普段UKロックばかり聴いている私が知っていたことが意外だったらしい。私はセカンドアルバムの「時の花束」も大好きだったが、彼女はこれをまだ聴いたことがなくて「貸して!」となってすっかり盛り上がった次第。もちろん彼女に『1999年の夏休み』をみせた。そして彼女も本作をすごく気に入った。その後、せっかく恋人同士の関係になれたのに残念ながら自分が至らず、結果的に私は別の女性と結婚した。でも自分が少しだけ常識的な人間性を身につけられたのは彼女との交際がきっかけだったし、今でも大切な思い出だ。

 そう、この余談が象徴しているように、本作は私には極めてパーソナルなものなのだと思う。それどころか、傲慢な言い方をすれば、私の「好き」なものや「好き」な要素が妙にブレンドされて、才能のある「好き」な方々によって映画になった作品だと言える。まるで私のためにオーダーメイドされたかのように、である。そんな作品と出会って、間違いなく私は恋に落ちたかのように夢中になったといえる。だからなんで好きなの?と理由を聞かれても答えられない。ただ好きになったのだから。好きになることに理由はない。
 だから他の人から好きな映画としてあげられると、嬉しいと同時に、ちょっとだけ嫉妬心に近い感覚もある。私が何かのマイベストで本作をあげることはないかもしれない(実際あげた記憶があまりない)。オススメの作品と尋ねられても本作をあげることはない。でも。信頼できる大切な誰かに、しつこくしつこく尋ねられたら、「実はね・・・」とそっと心の奥から取り出した中に、本作は必ず入っている。

 そんな作品が公開から30年たった2018年の今年に、デジタルリマスター版として復活する。
https://www.facebook.com/30th1999/

 この出来事がどれだけ私にとって驚きだったか分かってもらえると思う。熱狂的なファンはいるけれど世間一般の知名度は高いとは言えず、インディペンデント作品で大ヒットしたとも言えない。そんな作品がまた映画館で上映されて、私の前に姿を現そうとしている。まるでタイムトラベラーのようにロードショー公開時そのままの姿で、時を超えて。これだけの事実で私は胸がいっぱいになってしまうのだ。

「私がまだ何も知らなかったあの年の夏休み。世界がそれまでとは全く違って見えるようになった。いや、実は私自身が卵の殻を破って変貌したのであろう。今でもハッキリと思い出す事ができる。あの年の夏休み。まるでまだ昨日のことのような気がしてならない。」(作品冒頭のモノローグ)

 私は約30年前に『1999年の夏休み』と出会って、本作が好きになった。本作がこうやって再上映されることは嬉しいのだが、自分が本作を好きでいる気持ちが変わったらどうしようと、ふと思うことがある。世の中は儚くて、永遠のものは存在しない。それでも本作の魅力に身を委ねるかのように、私は日本映画専門チャンネルで過去にオンエアされたHD映像を自分のシアタールームで再生する。そして「ウェイティング・フォー・ブロッサムズ」の流れるエンディングと共に、現実世界に戻っていく。そんなことを30年近くも繰り返している。悠が何度も何度も現れるように。

それでいいのだと思っている。

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2016年4月21日 (木)

いよいよ『ゲーム・オブ・スローンズ第6章「冬の狂風」』

 いよいよ4月25日に『ゲーム・オブ・スローンズ』の最新シーズンである第6章「冬の狂風」がスターチャンネルでオンエアされます。しかも日本ではいつも半年から3ヶ月遅れぐらいでオンエアだったのですが、今回は何と日米同時放送。これ、ウソ偽りなしで、米国本国のHBOでは東部標準時間で24日(日)の夜9時より。これに時差を考えると日本では25日(月)朝10時というわけです。誰がこの時間、スターチャンネルみるんだよというツッコミはなしです(笑)。『フォースの覚醒』でも大騒ぎでしたが、いや、それと同等か、それ以上に画期的な試みだといえるのではないでしょうか? 
 私は最初は、ああ最近はやりのファンタジーものの亜流かと馬鹿にしていたのですが、ときどき偶然みちゃう時があって、その時には何か引き込まれてしまう。解くにシーズン2あたりはとても激しく、シーズン3のあたりから毎回みるようになった次第です。とにかく物語展開が激しく、美術とかもすごくて、キャラがみんな立ちまくり。最近はもう風呂敷ひろげまくりで、それぞれの物語が少しずつ進むのがじれったいぐらい。でもオススメであることは間違いないです。
 しかし。まだみていない方は最初からみなきゃだめ?というあたりが気になっているでしょう。大丈夫です。途中からでもまったく問題はありません。いや、問題はあるのだけれど(汗)、少々設定がわからなくても補って余りある魅力があって、充分追いつけることができるのです。すでに第6章のトレーラーをみていると、わくわくが止まりません。本当に楽しみです。

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2016年4月20日 (水)

2015年格闘技映画の傑作2本が特別上映!

 今日は我が家では『クリード』のBDリリース日ということで先ほどからシアターで上映しております。やはり盛り上がりますなあ!
 実は2015年は格闘技を題材にした映画、しかも格闘技映画史に残るような力作3本がそろって公開された記念すべき年になりました。(ただし『ウォーリアー』は特別な上映形態でしたが)
GekisenWarrio_2Creed







『激戦 ハート・オブ・ファイト』(総合格闘技)
『ウォーリアー』(総合格闘技)
『クリード』(ボクシング)

 この3本はファイトシーンも素晴らしいのですが、やはりその見応えあるドラマが魅力です。落ちぶれた元御曹司、八百長で道を踏み外した元チャンプ、暗い過去を引きずる母とひとり娘。偶然が引き合わせたこの4人の物語には号泣必至の『激戦 ハート・オブ・ファイト』。崩壊してしまった家族の運命に翻弄された父と兄弟。やがて対照的な人生を歩んだ兄弟が総合格闘技の大会で運命の再会をはたす『ウォーリアー』。そして自分のライバルであり友人だった男の隠し子である青年に乞われ、自らはトレーナーとなって二人三脚でボクシングの頂点を目指す人気シリーズのスピンオフの物語『クリード』。どれも共通するのは登場人物が絆を深めることで人生を取り戻そうともがき苦しむ姿を格闘技というストイックなスポーツを通して鮮烈に描いていることです。どれも一見の価値ある力作ばかりなのですが、願わくばぜひ初見は映画館で、といきたいところです。ところがこれで3本ともソフト化されてしまいましたので、なかなか難しいところなのですが、

やりました! なんと『激戦 ハート・オブ・ファイト』『クリード』奇跡の2本立て、キネカ大森で1週間の限定上映です。『クリード』は後から評判を聞いて悔しかった方もいらっしゃるでしょうし、『激戦』は存在自体を知らない方も少なからずいらっしゃるでしょう。しかも初日には松崎ブラザーズさんたちのトークショーまであります。未見の方はぜひぜひ足を運んでください。

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2014年11月11日 (火)

「スカパー!映画部×スターチャンネル『アクターズ・スタジオ・インタビュー 250回スペシャル』特別試写会

私、じんけしはスカパー!映画部に登録しました。

 こういうサークル的なものが大好きというわけではありません。とりあえずスカパー!は好きですし、以前映画クイズとかにも参加していて、今度はどんなことするのかなーと興味があったのです。それからしばらくしてスカパー!映画部のイベントが案内されました。スターチャンネルとのコラボ企画で、私の好きな『アクターズ・スタジオ・インタビュー』の250回記念スペシャルの上映付きトークショーを開催するということでした。ちなみにスターチャンネルは今度これをNHKにかわりレギュラー放送することが決まっています。(先月マシュー・マコノヒー。来月はヒュー・ジャックマンまで決定)。当日はトークショーもあってゲストは有村昆さんとのこと。イベント自体にも興味があったので、応募したら当選! スカパー映画部に招待されました。
20141109
 イベント開催日は11/9(日)、場所は南青山。会場はこぢんまりとした貸切スペースのようで軽食や飲み物も用意されていました。招待者は20名だそうで、この人数はどう解釈すればよいのか微妙(汗)。ただ意外にも参加者の男女比は女性の方が多め。WOWOW映画王の予選が男だらけだったのとは対照的でした。それから会場には「スカパー!映画部 映画クイズ選手権」の時に、控え室で映画談義に盛り上がっていた我々に話しかけていただいたスタッフの方もいらっしゃって、わざわざご挨拶していただきました。そういや、あの時の会場は映画王・松崎建夫さんをはじめ、第1回WOWOW映画王選手権の会場で知り合った方が何名かいらっしゃって、緊張感ある調布大映スタジオの中、やたら映画談義で大盛り上がりしてしまったのでした(汗)。

 さてまずは上映会。アクターズスタジオインタビュー全250回のうち日本でオンエアされているのは約半分弱。リッキー・ジャーヴェイスなんかをやってたなんて知らなかったです。ジャック・レモンの回、みたいなあ。スターチャンネルさん、月イチなどとはいわずに過去のも含めてぜひ月2ペースでやっていただけるとありがたいです。

 そして上映会後はトークショー。嬉しかったのは「BS10 It's SHOW」で有村昆さんと司会をされている麻生夏子さんもいらっしゃったこと。とてもステキでした!(本物の方がずーっといいです) で、有村昆さんのお話ですが、これはお詫びをしなくては・・・。いや正直、それまではいろいろあって…。だってスカパーの映画クイズの時は森さんや松﨑さんと最後の決勝戦で争う敵で、みんなで「ヤッチマイナー!(byルーシー・リューっぽく)」と煽っちゃってたし(笑)。ある時のクイズの答えとか、我々仲間内の格好のネタになっちゃったこともあって、ちょっと斜めな感じで有村さんのことをみていたのです。が、反省しました。有村昆さんのお話、とてもおもしろかったです。やはりスポットのあたるところでお仕事されている方は違います。すごく映画が好きなんだなあという姿勢はもちろんのことですが、すごくそれが映画ファン的で素直な表現をされていることが伝わったのです。それに私の人生マイベストは有村さんと同じく『2001年』 えへへ! 有村さんのトークで一番ツボだったのが、キアヌ・リーブスについて。いや、あまりツボすぎて書かない方がいいのかなあ。とりあえず「ラーメン キアヌ 六本木」で検索してみました(笑)。また麻生さんは映画検定を受けられるとか。がんばってくださいね!

 トーク終了後、参加者全員で一緒に記念写真。そして参加者で歓談となりました。数少ない男性参加者の方と女性の方と少しだけお話ができました。こういう時間はあっという間に過ぎてしまいますね。さて。今回のイベントで嬉しかったことはスターチャンネルのスタッフさんにお話しすることができたことです。私にとって有料チャンネルは今や名画座であり、RS館でもあります(タイムラグはあるけど)。そして海外ドラマの良作を山ほど提供しているスターチャンネルには感謝です。それをファンとしてはどうしても伝えたかったので、とても嬉しかったです。

 さてスカパー!映画部はこれからもいろいろと企画が出てくるのではと考えます。ここから先はちょっと真面目に。スカパー!や有料映画チャンネルは実は映画ファンからの認識がもっともっとあってよいと思っています。有料チャンネルはそれぞれのいいとこ取りになっている時代。私の映画文化の中心はそこにあります。これだけ充実している編成は、今や存在小数しかしない名画座などと較べてみても、もはや競争相手にならないほどです。また海外TVドラマがかつてない隆盛の中、海外ではTVドラマをかつての従属的位置にとらえている人は少なくなってきています。有料チャンネルやVODは映像作品の最先端を楽しむショーケース。映画は劇場でも家庭でも楽しめますが、『バトルスター・ギャラクティカ』や『TRUE DETECTIVE』は映画館ではやりません。映画館のよさは否定しないし、実際映画館でみることは楽しいです。でもあまりに新作でみたいものが少ない気がします(私の年齢のせいかな?)。だったら見ていない作品を、かつてみた作品を、そして見応えある海外ドラマに身を委ねる方を選択したいのです。これは懐古ではなく、ネット社会における映画ファンの当たり前な変化だと考えます。そんな中でスカパー!映画部が、効率のよいプロモーションとかを狙うのではなく、そう、淀川先生の「映画友の会」21世紀版のような映画好きの新たな指針になると面白いなあと思いました。

そこでスカパー!映画部の活動を私なりに勝手に考えてみました。

・旧作上映会
 イメージは今回みたいな感じ。実はスターチャンネルはときどきびっくりするような旧作をオンエアしてくれます。映画好きな方とわいわい言いながらみるというのは?
・日本未公開作の上映会
 これも今回みたいな感じで。スターチャンネルは掘り出し物いっぱいなんです。
ちなみにこの2つはイマジカBSとか他の有料映画チャンネルでもできそうです。日本映画専門チャンネルとかだったらゆかりの人をゲストに呼んでいただいたりするとサイコーです。
・予告編上映会
 これ、楽しいと思うんです。事実スカパー!で最近単発でこの手の企画やっていますよね。映画ファンは予告編好きなはずです。
・有料チャンネル編成担当の方と意見交換
 そういう機会があったら嬉しいです。陽のあたらない作品をぜひぜひ救ってあげてほしいです。
・ファンが番組編成
 やってみたい! 自分の好きな作品がオンエアされる! ファン垂涎の企画だと言えます。ファンが担当者に直接リクエストしたりプレゼンしたりとかどうですか? 問題は権利ですかねぇ。
・あなたが宣伝マン!
 これもやってみたい人いると思うんです。つまりキャッチコピーとかを考えて宣伝に参加しちゃうという。それがチャンネルでのPRで使われる。楽しそうです。
・あなたが解説者!
 1回だけでいいので(何度もやる気はないです、さすがに)洋画解説者、やってみたいなあ。淀川さんや水野さんみたいに。

せっかくなので映画ファンの方、スカパー!映画部に参加してみてはいかがでしょう?

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2013年11月13日 (水)

第二回WOWOW映画王選手権に参加して(とりあえず)

0009_2  いずれブログできちんとまとめようとは思っていますが、とにかく本業が忙しい時期でして当分無理そうです。でもあの番組の後、いろんな方がここもご覧いただいたようです。またtwitterなどで、さまざまな感想もつぶやかれていたので、とりあえず伝えておきたいことを、ドラフトというか、備忘録という感じで書いておこうと思います。

 まず自分の結果については仕方がないと思っています。またもや家族や応援している人をがっかりさせたことだけは心苦しいのですが、その点以外にはまったく悔いがありません。本当に楽しくてよい思い出になりました。そもそも映画の知識は争うものではないと思ってますし(私が映画検定を受けていないのは、そんなことで金を払ってまでランク付けされたくないという気持ちが強いからです(汗))。じゃあ、なぜ受けたかというと、ただ単純に映画のクイズを解くことが楽しいから。そして結果的に映画好きのみなさんと出会えるから、なのです。なにしろ本当にみなさん詳しい上に、自分の世界をちゃんともってらっしゃるので、会場に来て「あっ、見覚えのある方だ!」という人が増えると嬉しくなってしまいます。

 前回、私は松崎さんに負けてよかったと負け惜しみではなく、心底思っています。松崎さんの現在の活躍はもちろんご自身のお力が一番だと思いますが、映画王が大きなチャンスだったことは事実だと思います。きっと今回の小玉さんもご自分のお仕事にいきてくるかもしれません。でも。私の場合はもし映画王になったとしても基本的に変わらなかったと思いますし、変えなかったと思います。やはり自分の場合、本業が一番大事だし(これはこれで自分の夢でしたから)、それを大事にするためには副業はできません。何よりこういう映画マスコミには自分が向いていないことをわかっています。大学生の頃、評論家やライターさんという方向に憧れた時期もありました。でも、ちょっとだけそういう真似事をして、その世界に近づいた時に、信頼できた先輩にズバッと「お前はこの世界でやっていくには心根が優しすぎる」と言われました。物を書くということは誰かを勇気づけるだけではなく、誰かを傷つけることも多くあります。でもそれを恐れているとよい文章は書けません。プロとして何らかの形で映画に関わるには、その大変な現実を垣間見てしまって勇気が出なかった。むしろ好きである物を純粋に好きでいられる一映画ファンの方が自分には合っていると思ったのです。だから松崎さんは後に続く人にはとてもよい目標になったと思いますし、映画王になる人は、そういう人の方がいいのかもしれません。

 ご覧になった方もおわかりのように確かに現場が混乱していた点は少なからずあったと思います。でも自分の意見としては、参加者それぞれに幸運と不運があった気がしますし、誰かだけに不公平があったとは思っていません。それに何よりあそこで関わったスタッフの皆さんには感謝の気持ちしかないのです。あの鬼のような進行状況で、スタッフのみなさんは私たち出演者にいつもいつもあたたかい言葉をかけていただきました。それこそ内輪では怒号一歩手前のような緊張感いっぱいの状況でも、すっと切り替えて、私たちには盛り上がるように優しく声をかけてくれるのです。前回いらっしゃったスタッフさんも何人かいらして、「前回は惜しかったですね!」と声もかけていただきました。また問題作成も大変です。難しすぎても簡単すぎてもだめ。しかも古今東西の映画知識を問いながら、WOWOWの番組宣伝も兼ねなくてはならない。作成者の方々は大変だったと思います。MCのいとうせいこうさんは前回今回と「さすが!」と思える進行で、私たちが問題に集中できる状況を作っていただきました。町山智浩さんは本当に優しくて、何より敗者である参加者をいつも労ってくださいました。今回も終了後にわざわざ参加者の控え室をたずねてくださって、交流の時間を作っていただきました。私も去年著書にサインをいただきましたが、私たち映画ファンの憧れの存在ですから、もうみんな大興奮!で何よりのプレゼントだった気がします。

 WOWOWは私の知っている限り、特番として映画関係のクイズ番組を制作したのはこれで4回目。この事実だけでも感謝です。そんな中、4回とも本戦まで残った方は1人だけいらっしゃいます。現在九州在住のMさん。去年はスカパーの映画クイズで優勝。この人も一映画ファンですから、すごいなあ!といつもながら感心します。かくいう私も4回中3回準優勝(1回目は不出場)。ある人から「無冠の帝王を目指しますか?」と聞かれましたが、ただの映画ファンとして決勝まで3回続けて残れたのは我ながら「ちょっとすごい?」とは思っています(大汗)。冷静になって振り返ってみると。 

 まずジャンルは幅広くみている人の方が有利です。旧作新作、邦画洋画、娯楽系アート系、私のような雑食系はまずここが有利だったと思います。それと運。斉藤工さんが述べていらっしゃいましたが、問題が合う合わないはあるでしょう。実際2次予選の最初はサドンデス方式の○×クイズなのですが、最初にでた練習問題、私はわかりませんでした。(「エクスペンダブルズ2」の敵ボスはジャン・クロード・ヴァンダムである。○か×か? 正解は○) これが本番ではじめに出ていたらずっこけていたわけです。オープニングマッチの『タイタニック』は私には超ラッキーでした。大好きな映画で何回となくみていましたから。

 でも。最大の理由は私がWOWOWを大好きで、本当によく利用していることが大きいと思うのです。私は今の生活では映画館はおろか、ホームシアターでも、平日はほとんど映画をみられる時間はありません。週末の早朝か深夜に何本かまとめてみられるだけです。今の生活の中ではリアルタイムに劇場で新作を数多くみる生活はあきらめました(それでもできるだけ足は運ぼうとしていますが)。そんな私にとってWOWOWは本当に貴重なロードショー館であり、ミニシアターでもあり、名画座でもあります。いや、映画ファンはもっとWOWOWに感謝すべきだと思ってます。ソフト化&BD化されていない映画をHDでがんがんオンエアしてくれる上に、中にはここでとりあげたことに大きな価値があるようなクラシックスもたくさんやってくれるのですから。月末には次々月のラインナップが正式に発表されます。私はそれをいつもワクワクしながらチェックし、録画リストを作ります。面倒ではあるのですが至福の時でもあります(笑)。WOWOW(ついでにいうならば、あと日本映画専門チャンネルも)の編成担当さんには、もう足を向けて寝られないぐらい感謝感謝なのです。だからひょっとすると、私は映画王にはなれないけれど、WOWOW王かもしれないかなあと思う時はあります(笑)。だって音楽もボクシングも好きですから(笑)。

 というわけで、これからも私は一映画ファンとして、のんびり映画をみる時間を楽しみながら、「おもしろかった」「つまらなかった」と好きなように感想を持つ立場でいようと思います。そしてその中で、映画ファンの方々と何かの機会に語りあう時間が持てるだけで幸せです。終了した後に自分がtwitterのつぶやきと同じになるのですが、番組制作に関わられたすべての方々、番組で知り合うことができた参加者の皆様、そして私を応援していただいた方々、みなさんに感謝の気持ちをあらためてお伝えしたいと思います。ねがわくば第3回(あるといいですね!)の会場で再会できますように!

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2013年8月 4日 (日)

スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー

Img_0075  今年スター・ウォーズファンにとって最大のトピックといえば、やはり東京ディズニーランドにあった「スター・ツアーズ」がリニューアルオープンしたことですね。新しい名前は「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」(ジ じゃないのかなあ)。5月7日にオープンしました。いろんな人の体験レポをできるだけシャットアウトして、ようやく家族でお出かけとなった次第です。ただ、当然私だけの勝手な行動はできませんから、乗り尽くしたとはなりません。かぎられたチャンスでどれだけクリアできるのか! というわけでここからはネタバレですので、いやな人はすぐに引き返しましょう。

 まず入り口はすごくすっきりしました。でも旧ツアーズで頑張ってたドロイドの姿は全然見当たりません。
Img_0076  入り口に入るとすぐに見えるスタースピーダーの型番がスタースピーダー1000になっています。リニュアール前は3000だったのに何故型番の数字が減った? 実は今回の設定はエピソード3と4の間の出来事です。なのでこれは3000の旧型機というわけです。さらにこのあとの映像でも4以降に初登場するキャラがあまり出てきません。

Img_0079  壁面の大スクリーンには広告が映し出されます。旅行案内、帝国軍への勧誘の他に、スペースポートTHX1138(笑)の案内や、SACULグループのCMも。とくにこのSACULグループは楽屋落ち満載で、ILM機械工業社やウォーカースカイ監視ネットワークなどという楽屋落ちネーミングが満載(笑)

Img_0083  次のスタースピーダーがあったところはほぼ変化なし。アクバー提督で知られるモン・カラマリ族、C-3POもR2-D2もいたけど、考えてみると、もう野沢那智さんじゃないんだよなあ。スクリーンには相変わらず旅行案内だが、時刻表の地名はかなりマニアックでほとんどわからん!

検疫のところが大幅変更。なんかこざっぱりしました。個人的には前の方が好みでしたが、今回のも小ネタは満載。荷物検査でスキャンしている荷物の中身はディズニーネタやスターウォーズネタが満載(ホーンテッドマンションに出てくる首には大笑い)。

さあ、いよいよ搭乗。
まず入り口上で出発前の状況をちゃんと把握した方が面白いでしょう。C-3POが整備のために乗り込み、パイロットのドロイドに出て行ってもらうが、そのままコクピットに閉じ込められてしまうという話なのです。

大きくわけると4パート構成です。
<導入>
○ダース・ベイダー
○ミレニアム・ファルコン

<前半>
○タトウィーン
○キャッシーク
○ホス

<ホログラム通信>
○ヨーダ
○アクバー提督
○レイア姫

<後半>
○コルサント
○ジオノーシス
○ナブー

 この組み合わせで最大54通りになるそうです。で、さらに1パート目の中で乗客の1人がスパイとして映し出されます。着席後、どこかで撮影されているようです。で、ちゃんとそれに応じて、ホログラム通信のキャラは「彼」と「彼女」を使い分けていて、これをわけるともっと種類は多いことになります。これはかなり爆笑物なのですが、しかし1人で乗っている時にこれに当たると寂しいカナ(汗)

さてさて。私の結果!
1回目:ファルコン→キャッシーク→ヨーダ→ナブー
2回目:ファルコン→キャッシーク→レイア姫→ジオノーシス
3回目:ベイダー→キャッシーク→レイア姫→ナブー

一番楽しみだったのがホスだったのに・・・。ホスに当たらずキャッシーク3連発で3回もウーキーとご対面(涙)。ただどうもホスはかなりレアなようで、確率が低いという報告が多いので仕方がないでしょうか。

印象的だったのが今回客席が毎回大盛り上がりだったこと。新しいアトラクションだったとはいえ、インタラクティブな方向性にしたことは間違っていないようです。それと当然のことながらデジタルエフェクツの映像になったわけですが、やっぱり旧スター・ツアーズとは段違いの美しさでした。3Dの効果も迫力満点、スター・ウォーズファン以外にもオススメできるモーションライド型アトラクションです。

さてコンプリートできるのはいつのことやら。はやく次を体験したいです。

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2012年9月20日 (木)

WOWOW映画王選手権(2011)挑戦記 その4

 翌日は早朝集合なんと5時ですよ! 宿泊されたみなさんとホテルロビーで合流し、TMCスタジオに移動します。そして朝の8時から生放送(汗)。あとで事情をうかがったのですが、やはりラスベガスでのボクシングタイトルマッチの時間の関係でこういう時間帯になったようです。
Wm2011f  さて準決勝での問題は3つのパートにわかれていました。まずひとつめは早押し勝ち抜け。なんと一問正解で勝ち抜けで、4人目はアウトになります。私、ここは一問目で通過。ふたつめはプレゼンクイズ。なんかよくわからないことをしゃべりましたが、ここも上位2人に入り得点。3つめのセリフ穴埋めは今ひとつわからず(汗)。ただおかげさまで得点上位2人に入り、決勝に残ることになりました。なんかここまで来たら盛り上がっちゃいますね(大汗)。
 いよいよ決勝です。相手は映画ライターの松崎さんでした。人生2回目のタキシードを着用するはめになりました(汗)。さきに結果から書くとことごとく早押しで負けました(汗)。わからなかった問題ももちろんありましたが、押すので遅れたのはやはり年齢のせいでしょうか(笑)。Wm2011h_2 一番悔しかったのは町山さんが作った問題である「ストーンズのGimme Shelter使用3作品」が答えられなかったこと。スコセッシファンとしても町山さんのファンとしても一生の不覚です。
 私のまわりでは押してから考える松崎さんはズルイという感想が多かったのですが、松崎さんはそういうことを作戦でされる方ではありません。確かめながらお話しされているのでそう見えちゃうだけです。実際松崎さんの知識量はやはりすごくて、待ち時間とかにお話ししていて楽しかったですし、何よりケビン・レイノルズ監督の『ファンダンゴ』をお好きな方だとわかり、お互い「いいよね、あれ!」で盛り上がりましたから! あの作品を好きな人に悪い人はいません!(断言!)
Wm2011d  今回優勝すると50万円!だったのですが、残念ながら2位以下には何もありませんでした。まあ不況ですからね(汗)。家に帰ったら6歳になる下の娘からお手製の銀メダル(折り紙製)をもらいました。家族はテレビでの応援だったのですが、下の娘は負けた私の様子をみて涙ぐんでいたようです。そんな話もきいたら、ちょっとジーンときてしまいました。
 でも本当に楽しかったですし、いろんな有名人の方々にも会えましたし、たくさんの知り合いに「おしかったねー」と応援してもらえましたし、本当によい思い出になりました。また何かの機会があればいいなあと思っています。

 なんて書いていたら、実は今年もあったのです。その話はまた今度に。

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