2012年9月 3日 (月)

爆裂!アナーキー日本映画史1980-2011

Anjfi80  こちらは80年代以降の秘宝系邦画ガイド。123本中、鑑賞済は103本。そのうちほぼ半分が劇場で。まあ自分がリアルタイムということもあるだろうが、この本のすばらしさは既にみた作品の紹介文も面白いものばかりなこと。ちゃんと納得させるだけの原稿が並んでいる好著。『仰天カルト・ムービー100』には足りなかったこと。買いの一冊であることには間違いない。それにこれは日本映画30年について真剣に考えるきっかけとすべきだ。なぜなら123本のタイトルを眺めているといろんなことが浮かび上がるからだ。単純に1959-1979と比較すると
1:コンスタントに撮っていない監督が多い(また近い30年なのに故人も多い)
2:何というか時代の「核」になる作品がこの時代に存在していない(メインストリーム側もそう) 時代を象徴する作品はこれだと宣言するにはどれも小粒すぎる。
 だからなおさら映画秘宝の役割は重要だと言いたい。三池、園、井口、松江・・・これらの監督がブレイクする過程で秘宝が果たした力は大きい。時代の核となるには作品自体の力とそれを見いだす映画マスコミとの共同謀議が必要なのだ。 そして旧作や映画人を大切にしているのもマル。『野獣刑事』『ロケーション』『将軍家光の乱 激突』『オン・ザ・ロード』 どれも時代の流れの中で埋没しかねない力作ばかり。秘宝はちゃんとおさえている。だからこれから大切なのは若い読者を増やすこと。成海璃子みたいな子を増殖ダ!

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2012年9月 2日 (日)

鮮烈!アナーキー日本映画史1959-1979

Anjfi59  いわゆる秘宝系の作品が並んだ映画ガイド。ここ最近の洋泉社のムックでは書き手の原稿レベルが高く、一番熱がこもった内容だと言える。ただ悪いけどこれが日本映画史の本流と思ってもらってはこまるわけで、本流である黒澤、対極にある小津や成瀬などをみていないとあまりに偏ってしまう。そのあたりを理解して読むには良質なガイドと言える。

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2012年8月31日 (金)

五代目小さん芸語録

Kosangeigo  柳家小里ん師匠が落語会「柳噺研究会」のプログラムで連載していたものをまとめた本。先代小さん師匠がその噺を演じるにあたって気をつけていたこととか、弟子に話していたことが述べられているが、その細やかな技術とトコトンまでやる「了見」の追求には感激。ほとんどの噺は音源があるので(うしろにリストまで掲載されている)小さん師匠のガイドとしても楽しい。ただし噺を知っている前提で書かれているので、ある程度知識のない人でないと楽しめないかも。

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2012年8月 3日 (金)

映画秘宝ディレクターズ・ファイル ジョン・カーペンター

Jcbook_2  日本でジョン・カーペンターに関してと言えばこの人、鷲巣義明氏。彼の今までの取材原稿などももとにしてまとめられている本。内容はさすがなのであるが、できればもう少し時間をかけてやってもらいたい企画ではあるが、それでも刊行されただけでよしとしなくてはいけないかも。それより他の監督さんを扱って秘宝さんが本を出すのかどうかの方が気になります。

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2012年7月25日 (水)

別冊映画秘宝 衝撃の世界映画事件史

Boeigajiken  最近続々と出ている映画秘宝のMOOKだが、これはおもしろかったです。ロジャー・コーマンのインタビューもだが、山本又一郎のインタビューはそれだけでも価値がある。こういうウラ映画史みたいな部分をしっかりと掘り下げるのであればMOOKの意味があるのだろう。ただBUBKA白黒ページみたいな編集はなんとかしてほしい。

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2012年7月22日 (日)

落語ファン倶楽部 Vol.15

 多分今落語ファンが購入しなくてはいけないのがこのシリーズでしょう。本当に毎号充実していて頭が下がります。これもまず表紙でにやり。目次にわくわく。そして中身に感激。Vol.13に引き続きのさん喬&権太楼対談から喬太郎、市馬、三三などの中堅、若手の話など柳家の落語家についてとりあげられていますが、白眉は文楽&馬風の対談。黒門町にまつわる小さん師匠のエピソードはぐっ と来ますよ。また花緑が紹介した数々の写真には思わず声が出てしまいましたが、中でも根多帳の写真には胸が熱くなりました。他にも貴重な話や写真が満載で す。柳家とは何かとの問いに完全な正解はもちろんないのですが、その答えをさぐるために結果的に五代目小さん師匠についての芸論やエピソードなどを深く深 く掘り起こすこととなり、私のような五代目小さん師匠の大ファンにはたまらない出来です。値段は高いですが、それだけの価値ありです。

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2011年9月 8日 (木)

映画秘宝EX 映画の必修科目01 仰天カルト・ムービー100

Hihocult  とりあえず購入。おそらく若い人で映画秘宝を読み始めた人とか、ちょっとディープな世界に踏み込みたいという人には最適な入門書レベル。こういう本はチョイスが全てだと思うので、そのあたりの過程も知りたい人も多いのでは。つまらなくはないが秘宝らしいものを求めると食い足りない部分もある。

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2010年1月20日 (水)

この世界の片隅に(中)(下)

Kono2 Kono3  相変わらず物語の中盤の構成が抜群にうまい。何気ない日常の描写が繊細で、ひとつひとつが登場人物をいきいきとさせている。そして下巻。何度も胸が詰まった。戦時下で生きるということはどういうことか、そしてそれは今でも変わらぬ日々を生きるということであり、そこに不条理な不幸がやってくるということであり、死と隣りあわせである恐怖を心の中に抱えるということである。作者が勇気を持って戦時下という時代と向き合い、この物語の中で、私たち読者に提示されることがどれだけ幸福なことであるかを実感する瞬間が、このコミックを読んでいる時に訪れる。
 刺激は少ないし、派手な物語ではない。単純なお涙頂戴でもない。けれど今、日本の戦時下の歴史をこれから学ぶ人も、日本の外交に腹を立てている人も、日本に対する外国の方針に腹を立て憎んでいる人も、すべての人に読んでもらいたい。あなたに大切な人がいて、あなたの日常の中に幸せを実感する時間があるならば、この物語の持つ輝きにきっと気がつき、それを奪い去ることがいかに残酷で永遠の辛苦しか残さないことかを実感できるはずです。

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2009年12月31日 (木)

今おもしろい落語家ベスト50

Imaomo  ひいきの遊雀師匠もランクインしているということで。でも悪いけど、映画とかのベストとおなじ形式で編集してあること自体が不満。選者523人の人選にはかなり疑問。というかそんなにオールマイティにいろんな人をまんべんなくきいている人ってたくさんいるのでしょうか? こういうランキング自体が野暮というもの。ランキングではなくガイドブックみたいなので出してあればまだ納得しましたが。

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2009年11月25日 (水)

この世界の片隅に(上)

Konosekai1  「夕凪の街 桜の国」のこうの史代の新作。いきなり小編から始まって何だろう?という感じなのですが、実はちょっとしたプロローグになっていることに後で気がつく。市井の人々のつつましい暮らしぶりが作者らしいタッチで描かれていて、この先に期待が持てる。

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