『ロレンツォのオイル』のその後
ジョージ・ミラーが監督した『ロレンツォのオイル』(1992)。難病である副腎白質ジストロフィー(ALD)を患う息子を助けるため、両親は医学や科学知識がまったくなかったにもかかわらず、病気のメカニズムを自ら調べて、そのうちに息子の症状を緩和させ、治療に役立つオイルを自ら開発した夫妻の物語です。
さて。実話物で観客が興味をもってしまうのが、彼らのその後。本作もあの終わり方だとどうなったかが気になります。実はこの映画で描かれた物語のその後はかなり興味深いです。というのもこのロレンツォのオイル。公開されてからその効果に疑問がつき始めて、やがてかなりひどいバッシングへとつながっていくからです。両親の我が子への愛情はオイル開発を短期間で成功させたという奇跡を起こすわけですが、学術的な側面としては不足してしまった要素が大きかったわけです。しかしどうやらあの物語では悪役的に描かれたピーター・ユスチノフ演じた医学者が、その後の展開で重要な役割を果たしたようです。
興味のある方はこちらに詳細が書かれていました。
「ロレンツォのオイル」その後 / 李啓充(医師/作家)
なおモデルとなったロレンツォ・オドネさんは2008年に誤えん性肺炎のため30歳で亡くなっています。またお母様のミカエラさんは2000年に、お父様のアウグストさんは2013年に亡くなられています。
あまり好奇心だけで他人のプライバシーに関わることに首を突っ込むのは下世話だと思いますが、この出来事は医療の難しさをあらためて感じさせました。ただ映画で描かれた親子の物語は素晴らしい感動を与えてくれる物でしたし、オドネさんたちの実際も愛情あふれるものであったことは疑う余地はないと思います。名作だと思いますので、ぜひ多くの方にご覧頂きたいと思います。
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