U2(さいたまスーパーアリーナ)
U2は初来日公演以外は幸運なことに全てみています。1989年のは映画『U2/魂の叫び』に負けた感じ、1993年のは完璧なテクノショーケース、1998年は究極のロックショウ、2006年は原点回帰のロックライブ、とずっと楽しんできました。
さあ、13年ぶりの来日公演。なのですが実はあまりテンションは上がっていませんでした。まずチケットが高かった(汗)。そして「ヨシュア・トゥリー」の再現というコンセプトにピンと来なかったのです。ほとんど事前情報がないまま迎えたライブは、おそらく我が生涯でみた数々のライブの中でも三本の指に入るであろう、これがU2!としか形容しようがない唯一無二のU2ライブでした。
THE JOSHUA TREE TOUR 2019.12.04@さいたまスーパーアリーナ
Sunday Bloody Sunday
I Will Follow
New Year’s Day
Bad
Pride (In the Name of Love)
Where the Streets Have No Name
I Still Haven’t Found What I’m Looking For
With or Without You
Bullet the Blue Sky
Running to Stand Still
Red Hill Mining Town
In God’s Country
Trip Through Your Wires
One Tree Hill
Exit
Mothers of the Disappeared
Angel of Harlem
Encore:
Elevation
Vertigo
Even Better Than the Real Thing
Every Breaking Wave
Beautiful Day
Ultra Violet (Light My Way)
Love is Bigger Than Anything in its Way
One
コンサートは大きく3つに分かれていて、初めは初期から5曲、真ん中にアルバム「ヨシュア・トゥリー」を全曲、そしてクライマックスにそれ以降の曲と、結果的にバンドの歴史を俯瞰する形になっていました。しかし長年活躍しているアーティストがやるようなグレイテストヒッツみたいなセットリストにはしなかったのがU2たる所以でしょう。中心に「ヨシュア・トゥリー」を持ってきたことにはいくつかの意味があったと思うのです。
1つは「ヨシュア・トゥリー」という「アルバム」という形で発表された表現が現在でも通用するほどの力を持つことを証明したこと。ジャケット写真(そうそう、アントン・コービンも会場にいるよってボノがMCで言ってましたね)まで含めての1つの作品だったと言える「ヨシュア・トゥリー」は全く色褪せることなく、そのメッセージも力強く伝わってきました。
2つめは結果的に1987年に北米ツアーが行われた公演を追体験できたこと。映画『U2/魂の叫び』で収録されている公演をみて日本のファンは「はやく来日公演を!」と思っていました。その後、1989年の"Love Comes To Town Tour with B.B. king"で私たちはそのステージを楽しむのですが、あの映画で味わった興奮はやや減退していた気がします。それがほぼ30年後に目の前で演奏されたのですから。彼らは活動初期の頃を自虐的に俺たちは音の大きなフォークバンドだったと語ることがありましたが、今回は間違いなくロックンロールバンドでした。
3つめはパフォーマーとしての彼らのスゴさ。正直前回のツアーでは、みんな「年とったなあ」と思ったのですが、今回はそんな場面は微塵もなかった。何しろ2時間20分、ほぼノンストップでの演奏。それどころか、「ヨシュア・トゥリー」の全曲はアレンジもほとんど変えず、でもオリジナルのアルバムや今までのツアーでの演奏よりも素晴らしいと感じたものが多かったです。特に私の大好きな"One Tree Hill"と"Exit"はライブでは初体験だったのですが、とても60過ぎの4人組がやっているとは思えないトンガリ方! ここまでの年月で彼らはバンドとしてスゴイレベルに進化したこと、それでもバンドの本質を変えない愚直さを忘れなかったことを、しっかりと私たちの前で証明してみせたのです。
アンコール部分にあたる近年のヒット曲のところではショー的要素も満載しながら、彼ららしいメッセージ性も出ていました。何より今回はこの日本の政治が滅茶苦茶になっているせいもあって、いつもよりも素直に自分の心に届いた気がします。女性権利の向上や地位向上に貢献した方々の写真をみていて、相変わらずやっていることブレないスゴサをあらためて感じました。
最高にカッコイイライブでした。チケット高いなんて言ってゴメンナサイ(汗)。それ以上の物を受け取りました。あなたたちの音楽が自分の人生の中にあってよかったです。あなたたちの音楽に合う生き方をこれからも目指していきたいなと思いながら、今日のセットリストで作ったプレイリストを聴いて家路につきました。
U2、本当にありがとう。
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