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2019年9月14日 (土)

有希乃さんとの出会いと、1st album「とゅもろ」のこと

 鹿児島遠征ではいろんな思い出があります。白くま、知覧、中津、宮崎地鶏、そして台風と新幹線!(笑) そんな中のひとつに、あるシンガーソングライターの方との出会いがありました。

名前を有希乃さんといいます。
「とゅもろ」の画像検索結果

 2泊3日の2日目、台風上陸で予定が大幅に狂って疲れてしまった8月6日の夜。こりゃ白くまアゲインだなあとホテルから「天文館むじゃき」に向かって夜、散歩してたら、なんと浴衣の女性がギター抱えて地べたに座り込んでいました。まあ、それだけでインパクト充分(いろんな意味でですが)。まだ始まりそうになかったし、どこかの高校生の子(すごく小柄だった)かなあとか思いながらそこを離れ、まず白くまで癒やされ(汗)、その帰り道。同じ道を帰っていると先ほどの子が歌っていました。

 ところが予想に反して(エラそうでごめんなさい)歌声が抜群にいいのです。のびのび歌っているけれどアマチュアのストリートミュージシャンにありがちな、我流な感じじゃない。ひょっとしてプロ?と思いながらフライヤーを手に取ると。説明を読んでもよくわからなかったのですが、少なくともアマチュアではないことはわかりました。そうこうしているうちに次の曲になったのですが。これが・・・すっごくよかったのです。口笛から入り始めたその曲(あとで「きっと君なら」だとわかったのですが)、これがあの時間のあの場所の自分に、すごくはまった曲でした。ホテルに帰って早速検索。ライブ映像の中にありました。次の日も列車移動だったので、さっそく旅のお供でリピート。メロディがいいし、歌詞はまだ粗削りで青いところが残ってるけれど、歌い方が素直だから、イヤミにならない。とても気に入りました。ただあまり他の曲は印象に残る物は正直全部というわけではなかったです(カバー曲も合う合わないの落差が大きくて)。

私自身の話ですが、音楽とはずいぶん距離ができてしまいました。新しいアーティストを知る機会は減少し、CD購入もダウンロードも全然しなくなりました。ましてや心動くことなんてほとんどなくなりました。馴染みのある曲しか聞かなくなってしまっていて、昔はもっともっと貪欲に音楽に触れていたのに。そういうのってオヤジじゃんって若い時は軽蔑の対象だったのに。でも変わったのは自分だけじゃないと思っています。音楽の世界も多分大きく変わってしまっている。自分が若い頃にあったバンドブームは、その終わり方はかなり残酷だったと思っているし、そもそも息長く活動しているアーティスト自体ばかりではない。自分の周囲で音楽で勝負と夢見ていた人間は誰も物にはならなかったし、この人たち凄いかも、と思った人もそうでない人も、自分が好きだったミュージシャンが全然売れなかったということもしばしば。それに自分が好きなタイプの曲が主流にならないことだって多い。ましてや好きだったアーティストが変節してしまうことも多い。誰かの劣化複製、誰かの後追い、ただの商品。音楽にはたくさん人生を豊かにしてもらったけれど、同じように傷つけられた気もしています。だから余計に若いアーティストを応援する気にあまりなれないのかもしれません。

だから。ちょっと言い訳めくのですが、CDの発売前予約とかを今回はしませんでした(今となっては後悔しています(泣))。そこまでの「興味」なのか確信が持てなかったし、旅の思い出のままで、よい気がしたのです。あの日は旅先だったからかもしれません。心が解放されていて、いつもよりも少し敏感に反応できただけ。ルックスもちょっといい感じのストリートライブの女の子をみた、そして気に入った曲が1つ増えた。それでいいやと思ったのです。

 気が変わったのは収録曲のアルバムタイトルナンバー「とゅもろ」を聴いてからでした。
 
 あら? すっごくいいじゃん! YUIの「again」とかを彷彿とさせるところはあるけれど、あそこまで背伸び感はなくて、アレンジもうまくて、一言で言うなら聴いていて心地いいし、口ずさみたくなる。詩もニヤッとさせられたり。
”掬ったものは全部飲み込んだ けれども吸収できるかは別の話だ"
ちょっとオモシロいですよね。東横線で寝ちゃったお隣さんに寄りかかられるのは私も実体験であります(汗)。

 アルバムやっぱり買おう!と思い直して入手しました。とてもいいアルバムでした。オープニングにふさわしい「とゅもろ」、アレンジ違いの「きっと君なら」(やっぱり名曲!)もよかったのですが、個人的に秀逸に感じたのは最後の「おやすみなさい」でした。ここまでわりと伸び伸びさんなボーカルの歌で来たので、この歌い方は不意打ちを食らってやられてしまいました。自己紹介代わりには充分な魅力のあるアルバムです。有希乃さんにとって、今回の「とゅもろ」は大きな挑戦なのでしょう。ツイキャスで「何かアルバム全体でテーマとかはないけれど(中略)作ってからしばらくしての、自分のチェックをクリアした曲」という説明をされていましたが、「きっと君なら」だけでもプロという世界で自分の「歌いたい」と客の「聴きたい」の狭間できっと奮闘されているんだろうなあと思ってしまいました(天文館のアコギバージョンの方が私は好きです(汗))。きっとここの楽曲たちがライブで披露されて、磨かれて、そこからまた新しい楽曲ができて、動画とかのネット配信で、たくさんの人に触れられて。若いアーティストの挑戦っていいですね。「音楽って楽しいんだよ」「私の曲、聴いてくれる?」みたいな初期衝動があって。そういう気持ちで音楽に接することができたのは、久しぶりだった気がしますし、同世代への応援というよりは、後に続く世代を見守りたい応援したいという感覚だと思います。有希乃さんのこれからの挑戦を応援したくなるアルバムでした。

 映画ほど目が肥えているとは言えませんので(そっちも大したことはないですが)、信頼度低めでピント外れじゃないの?と思われるかもしれませんが、ぜひ一聴してみてください。少しでもアンテナに引っかかったら、生歌にふれてみてください。(今月から来月にかけて機会がありそうです)

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