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2014年1月 5日 (日)

『フライトナイト 恐怖の夜』

Frightn ☆1/2 オリジナルの良さが全く残っていない。
 オリジナルはもはやクラシックの仲間入りをしてもよいヴァンパイアムービーの名作。私も大好きな作品です。それをリメイク? まあいつものようにダメだろうだけどね・・・と全く期待していなかったのですが、その予想をまったく裏切らない凡作です。唯一の期待は『ラーストその彼女』の監督の新作だということだけでしたがダメでした。
 前作の魅力は小道具の使い方がうまかった。視覚効果がさすがのリチャード/エドランドだった。何よりそのユーモアすら漂うその余裕。クリス・サランドンは走りません。がっつきません。それが吸血鬼だからです。つまり吸血鬼物の定石をうまくおさえながら、巧みに現代風にアップデートしていたということです。それが本作にはかけらもありません。これだったらリメイクではなく、オリジナルで勝負した方がよほど勝算があったように思います。(WOWOW)

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2014年1月 4日 (土)

『WIN WIN』

Winwin ☆☆☆ ひとつひとつの描写がじわりと響く秀作。
 ちらっとみはじめてそのまま止まらなくなってしまいました。これは素晴らしかったです。
 物語の筋は、スポ根物でも家族物でも師弟物をミックスしたようなありがちな話ではあるのですが、トム・マッカーシーの描く世界はセリフが『扉をたたく人』もそうであったように、ちょっとしたシーンがグッと来る繊細さがあります。何よりセリフが抜群によいのです。登場人物の距離感を構図や行動で示しながら、そこに重なる台詞が心情の直接的な説明になっていない。だから余計に登場人物の心の動きが伝わってくるのです。主人公が自分のちょっとした心の隙から招いた事態に直面する後半、それぞれの人物とどう向き合っていくかが見せ場になりますが、そこが大仰な芝居でなくても盛り上がるのは、そこまでの積み重ねがいきているからでしょう。
 さらにこの監督は俳優の演技の引き出し方が抜群にうまいですね。『扉をたたく人』では、リチャード・ジェンキンスの好演がありましたが、今回は毎度おなじみジェフリー・タンバー、バート・ヤング、これがデビューとなるアレックス・シェイファーまで、脇のキャラクターたちまでもが実に絶妙なアンサンブルをみせてくれます。そしてポール・ジアマッティ! この作品を輝かせているのは彼です。彼はすでにきちんとした地位を築いている実力派ですが、本当に演技の幅が広い。『トゥルーマン・ショー』のディレクター役から、すでに印象に残る演技をみせていましたが、ティム・バートン版『猿の惑星』の唯一の見どころはジアマッティでしたし、『交渉人』でもさすがだった。そして『サイドウェイ』ではしっかり主役をはるどころか、作品を輝かせる俳優であることを証明しました。そう、ジアマッティが素晴らしいのは、アンサンブルができる上に、シナリオにちゃんとリアリティと奥行きを与える演技ができる。だから自分が光りながらも、作品にしっかりと魅力を付与できる俳優であると言うことです。こういう人を日本の観客はちゃんと評価してほしいです。
 こういう作品を作れるスタッフ・キャストには大きな拍手です。そして彼らの次の作品が待ち遠しくて仕方がありません。(WOWOW)

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2014年1月 3日 (金)

BD『赤い靴』

Bdredsh  相変わらず紀伊國屋書店が絡むと値段が高いし、廉価版にならない。なので時々行われる紀伊國屋のセールを逃す手はない。というわけでやっと購入して、それからさらに間が空いてやっと視聴。やはりバレエ映画の最高峰はこれではないか。なのだが、こっちの期待が大きかったせいかレストアについては正直やや不満も。いや、実際かなりよくなったとは思うのだが、何しろ再見するのは久しぶりで勝手に映像が美化されていたのもあるだろう。でも内容は相変わらず素晴らしい。

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2014年1月 2日 (木)

『クラウド・アトラス』

Croudat_2 ☆☆1/2 記号化された世界観は胸に迫る物なし。
 劇場公開時に見逃してしまった本作。ウォシャウスキー姉弟の新作としてではなく、『パフューム』のトム・ディクバ監督の新作としての期待が大きかったのですが、力作ではあるものの、どこか突き抜けない作品でした。
 本作は時代も場所も違う6個のエピソードが完全に並列で進んでいきます。輪廻転生が大きなバックボーンとなっている物語ですが、この手の作品で私たち日本人は、手塚治虫の「火の鳥」という素晴らしい作品を知っています。それとくらべるとどうしても落ちるというのが正直なところです。単純に比較するとエピソードの質が玉石混淆、しかも狂言回し的な役割がおらず、正直有機的な絡み方をしているとは言えません。さらに個人的に感じた最大の疑問はそれぞれの役者に複数の役割を与えたのは面白い試みですが、結果的に、あの奇妙なメーキャップも含めて、単純に記号化された世界としか構築されていないのではないかという点です。それは2144年編に顕著で、視点がどうしても欧米先進国からになってしまい、アジア観も奴隷制度に対しても、はたまた人種やジェンダーの部分についても、どこかうわべだけにしか感じられませんでした。ペ・ドゥナが素晴らしい存在感を発揮しているだけに、他の欧米人俳優にああいうメーキャップをさせてまで、演じさせる必要があったのかという疑問です。輪廻転生を語るにはどうも哲学的に浅いというのが実感です。しかしディクバはさすがで、中でも1931年編は素晴らしい仕上がりをみせます。役者陣では前述のペ・ドゥナとベン・ウィショーが素晴らしい演技をみせます。他方、ジム・ブロードベンドは素晴らしい場面とそうでない場面がごった煮、トム・ハンクス、ハル・ベリーはいつもの2人。ヒューゴ・ウィービングとヒュー・グラントにいたっては隠し芸の様相を示したというところです。
 力作であることは間違いありません。でも正直もう1回みたくなるタイプではなく、テイッグバの新作が、彼単独でみたいという思いしか残りませんでした。
(WOWOW)

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2014年1月 1日 (水)

謹賀新年2014

 久しぶりの更新な上に、年初に書くのはすんごく久しぶり? でもここ数年書くことが毎年同じですね。あっ、おかげさまで、いろいろと報告したいことはあるのですが。ただ年齢のせいか、とにかくみたいと思わせる作品が本当にない!足を運ばせたくなる作品がないというのは、映画興行における問題点と連動している気がします。
 さて毎年恒例(?)今年のシアターまわりの目標!

<ほしいもの>
・フロントスピーカー

<気になること>
・スクリーン
・BDレコーダーの外付けHDDが限界に!

 このHDD問題は結構深刻かもしれません。もう1台レコーダーを購入してしまえば、しばらく余裕はできるのですが。
 ではみなさま今年もよろしくお願いします。

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