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2013年9月12日 (木)

『奴らに深き眠りを』

Hoodlum ☆☆ ドラマの重ね方がつまらない
 『コマンドー』『プレデター』などに出演している俳優でもあるビル・デューク。名前をしらなくても顔をみるとわかるという人も多いかも知れません。実は監督もしていて私は彼の『ディープ・カバー』をみていますが、なかなかおもしろかった作品でした。その彼の今のところ、最後の監督作。再びローレンス・フィッシュバーンとタッグを組み(しかしこの頃のフィッシュバーンはかっこいい!)ダッチ・シュルツやラッキー・ルチアーノなど有名なギャングと同時代にハーレムで起きた抗争を描いています。キャストも豪華なのですが、どうも画面に重厚さが欠けている上に、ドラマの重ね方もつまらないというか、ギャングムービーの傑作群と比較してしまうと食い足りない部分が多すぎです。劇場未公開になったのもちょっと納得してしまったレベルの作品です。

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2013年9月11日 (水)

『チェイサー』(2008)

Chaser ☆☆☆ 圧倒的。
 これは凄かった。驚きました。こういう濃密な作品をみると、韓国映画は凄いなあと素直に思ってしまいます。
 まず役者の面構えがみんなよい。主役を演じるキム・ヨンソクはその立ち振る舞いで、彼のバックグラウンドが伝わってきます。それでいてシナリオには微妙に穴が残っているものの、展開はスリリングで目が離せません。特に後半は圧巻。ミジンの行く末がどうなるかがハラハラして、思わず見終わって手に汗をびっしょりとかいてしまいました。完成度という点では『殺人の追憶』にはかなわないですし、全体としてもう少し刈り込んでもよい気はします。また映像設計が妙にハリウッドテイストなのも気になりました。それでもこういう作品が撮れるのは監督のナ・ホンジンの演出力を証明しています。次作がとても楽しみです。

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2013年9月10日 (火)

『華氏911』

F911 ☆☆1/2 言いたいことこそ冷静に伝えねば。
 ブッシュについてはよかったことはただひとつだけでしょう。ああいう人が大統領になることに権益がある人もいるという構図が民主主義の政治の中にあるという教訓だけだということです。マイケル・ムーアはそういうところにしっかりと向き合うし、テーマの選択はいつもながらすごいなあと思います。しかし本作も他のムーア作品と同様に途中で失速気味。その上、いつも以上に、なんか感情的なものを感じてしまいます。言いたいことこそ冷静に伝える姿勢が大事な気がするだけに、題名『華氏911』という実にセンスのよい鋭い皮肉までいかなかったのは残念です。

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2013年9月 9日 (月)

『オールド・ルーキー』

Rookie ☆☆ 普遍と平凡は違う。
 実話をもとにした感動のドラマというのは、最近ではそれだけでみる前に構えてしまいます。この作品も悪くはないのですが、何かどれも及第点で無難にソツなく作ってしまう感じです。しかも基本的な構成まで既存の作品と似てしまっているのは、やはり観客を感動へ感動へとへりくだった印象になってしまいます。普遍と平凡は違います。しかもムダに長く冗長さもぬぐえません。デニス・クエイドやブライアン・コックスらが手堅い演技をみせているのですが、あまり印象には残りません。

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2013年9月 7日 (土)

BD: THE FOG

Bdfog 邦題『ザ・フォッグ』

 ジョン・カーペンターのホラー映画。私にとってのカーペンター初体験はこの作品。幽霊譚としてはとてもよくできた作品で、今でも『ハロウィン』より、こっちの方がお気に入り。すでに国内盤も出ているが、なぜか映像特典がすぱーんとない。アメリカではDVDの時にもあったものも再度収録されているし、本作はさらに新しいコメンタリーと新しいインタビューが収録されてる。画質は新作ではないので時代相応といったところ。なお今回もうひとつの注目は今回のリリース元であるこのメーカー。ラインナップをみると今後も注目していきたいところ。

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2013年9月 6日 (金)

BD:THE ADVENTURES OF MARK TWAIN

Bdaofmat_2 邦題『マーク・トゥエインの大冒険』

 ウィル・ヴィントンというアニメ作家をご存じだろうか。アカデミー短編アニメ賞も受賞しているクレイメーション(粘土アニメ)の第一人者で、アメリカではカリフォルニアレーズンのコマーシャルがよく知られた仕事。他にもマイケル・ジャクソンの『ムーンウォーカー』の中でかかる"speed demon"や、こちらも珍作であるウォルター・マーチ監督の『オズ』(1985)でも、そのクレイメーションを存分に披露してくれている。その彼が作った世界初の長編クレイメーションであり、現在に至るまで唯一の長編アニメ作品がこれ。作品自体も素晴らしく、クレイメーションの楽しさももちろんありながら、マーク・トウェインという作家を狂言回しにした人生論にもなっており、何度みても飽きない。日本では1985年の東京ファンタでのみ上映された(私は渋谷パンテオンでこれがみられたことは未だに自慢です)。
 で、熱狂的なファンはいるもので、日本は幸運なことにVHSでもLDでも、そしてDVDでもパッケージソフト化された。しかしさすが本国のアメリカはBDまでリリースだ! しかも映像特典がテンコ盛りになった。なんといっても目玉はウィル・ヴィントンのコメンタリーと、ビハインド・ザ・シーンだろう。ここまでやっているんだと、みているだけでなんか目頭が熱くなってくるような光景だった。スタンダードサイズで撮影されており、もともとのLD版と比較するとビスタにトリミングされていてその点だけは残念だが、でも私にとっては宝物のような商品。

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2013年9月 5日 (木)

『蒲田行進曲』

Kamata ☆☆☆ 人情物としてはおもしろいが、内幕を知る映画ファンは諸手を挙げて喜んでいいのかな。
 つかこうへいをあまり評価していない私。そのせいかこの作品は全然みる気がおきなかったのですがようやくです。いや、まあおもしろかったのですが、やっぱりなんか腹の底からは笑えませんでした。
 まずこの物語はどう考えても東映太秦がモデル、でも本作は松竹製作。このギャップがどうしても大きかったのです。しかもそこに絡むつかこうへいの視点にどうしてもついていけない。こういう女性が本当に強い女性とは思えず、むしろ女性を蔑ろにしている気がしてなりません。あまりにステレオタイプなキャラ造形と、それを脂っこく演出する深作演出ですから、正直胸焼けがするほどです。なんか人情物としてはおもしろいのですが、何度もみてみたいタイプではないと思います。

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2013年9月 4日 (水)

『デイブレイカー』

Daybre ☆☆☆ 個性的な設定だが最後はグチャグチャ。
 予告編をみておもしろそうかなあとひかれました。イーサン・ホークのフィルモグラフィをみていると彼の選択眼は侮れないといつも思うのですが、今回も一筋縄ではいきませんでした。
 前半はかなりいいです。ここしばらくのヴァンパイアものが、どことなくみんな『ブレイド』や『アンダーワールド』チックだったのが、この作品はそういう既視感をうまく逆手にとっています。おもしろいのが人間側がマイノリティになっている点で、どこか『マトリックス』ぽい世界も感じられます。美術も秀逸で細かな設定を画でみせる楽しさもありました。最初の電車が通過したホームの照明が一瞬消えた時に目が赤く光っているなんていうのはカッコイイです。そしてフルブラインドの車なんていうのもいいです。二転三転のストーリーで最後まで飽きさせませんが、話が進むにつれて、そのクールなテイストはどこへやら、もう血と肉でぐちょぐちょ。ちょっといくらなんでもと醒めさせてしまったのはもったいないです。
 ただここ最近の吸血鬼物の中ではきらっと光る個性を持っています。この手の作品が好きな人にはおすすめしたい1本です。

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2013年9月 3日 (火)

『夜明けのゾンビ』

Exithu ☆1/2 普通の(つまらない)ゾンビ物
 設定をきいてどんな作品になるのだろうと思いましたが、その設定が特にいかされていない普通のゾンビ物でした。ゴアシーンもそれほどではなく、また何か胸に迫るようなドラマもなく、でも昔はこんなホラーがごろごろしてたかも、なんて余計なことを考えてしまいました。

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2013年9月 2日 (月)

109シネマズグランベリーモール9

109シネマズとしては関東6館目として2006年3月にオープンした。南町田駅前のグランベリーモール内にあるのだが、アウトレットモールという性質からか似たような建物が多い上に案内が不親切なため、夜に行った私は妙にウロウロするはめになった。ロビーは小さめ(港北や木場よりは印象はよい)でしかも四方八方にレイアウトがされているために、ちょっとティジョイ系のシネコンっぽい雰囲気がする。

シアター9(席341 見*** 音*** 環**)
 ここも既存館を改装する形でIMAXデジタルとなっている。通常館であればシネスコがみやすく視界に入り、音と空間のバランスは悪くならないはずなのだが、いかんせんスクリーンは川崎よりさらに小さく、大スクリーンでみたという満足感はない。また音量自体は川崎より大きめで素性は悪くないと思うのだが、IMAXの人工的な音場感もパワーアップした感じだったのはいただけない。またエグゼクティブシートは、そのリクライニング機構のせいか、かなりの確率でイスがわずかながらでも、ぐらついていることが多く、その音鳴りが気になる時がある。

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2013年9月 1日 (日)

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』

Stre2 ☆☆☆ 嬉しい驚き。
 そろそろ夏に劇場でみた作品を整理しなくては。というわけでまずはこれです。最初に申し上げておきますが、このレビューはネタバレしないと書きようがなく、でもネタバレはない状態でみた方が絶対におもしろいので、未見の方はここで引き返してください。
 前置きですが私は『スター・トレック』には全然思い入れがありません。いや、努力はしたんです。だって『ネメシス』までのシリーズで劇場未見は『叛乱』だけ。でも『故郷への長い道』と『新たなる未知へ』以外は楽しめなかった。TVシリーズはいろいろみたけど毎回期待を裏切られました。特にネクストジェネレーションはオンエアがリアルタイムでの世代ですから、はまった友人たちに何度もすすめられたけれど全然楽しめなかったのです。結局一言で言うなら私がカタルシスを得るツボが違ったということなのかも知れません。
 そんな私ですからこのリブートしたシリーズについては前作は劇場に行く気が全くしませんでしたし、実際あとでオンエアをみても全く楽しめませんでした。もう一度シリーズをスタートラインにたたせるために、ただ理屈をこねまわしているようにしかみえず、とにかくまだるっこしかったのです。
 で、やっと本作の話になるわけですが(汗)。おもしろかった! ひょっとするとシリーズで一番楽しめた作品かと思います。まず前作のようなキャラクターや状況の説明が必要ないため、話のテンポが良く、展開もすっきりしていること。また最近の超大作にありがちな見せ場の垂れ流しになっていないこと。そして初めての人が置いてきぼりにならないようにしつつも、このシリーズの知識がある人も、そうでない人にもわかりやすくしていること。
 これは自分自身がわかりやすい実例になりました。ここからは先は完全なネタバレなのでみようとしている人はみてからにしてください。<以下ネタバレ(ドラッグ&反転でお読みください)>
 ずーっとウワサにはなっていたカーンの登場。実は私が初めてみた『スター・トレック』の劇場版が『カーンの逆襲』でした。で、ちーとも楽しめなかった上に、あとでこれがファンの中ではもっとも評判がよいというのにもさらに驚いたのです。で、実はあいつがカーンだったわけですが、やっぱり驚きましたし、その後の展開もカーンと『カーンの逆襲』の展開(まさか、あっちが命を危険にさらすとは・・・不覚にも涙腺刺激されました)について知っていたことで大いに楽しめた側面があります。つまりこれは何をあらわしているかといえば、カーンを知っていたことで大いに楽しめたし、カーンやこのシリーズをあまり知らなくても、それなりに楽しめたのではないかと実感できるのです。
 ベネディクト・カンバーバッチは自身の魅力もさることながら、これはかなりの儲け役でしょう。このキャラでかなり作品の魅力はあがったといえるのではないでしょうか。また他の役者陣もかなり違和感なく(チェコフ以外)みられるようになってきて、時々年取るとああなるのかと思わせるような雰囲気まで漂わせてきているのがニヤリとさえるところです。それから視覚効果については前作よりはるかによく、これについては見せ方の巧さを称えるべきかも知れません。私はJ・J・エイブラハムズとは非常に相性が悪く、特に劇場監督作はことごとくダメだったのですが、これをみると『スター・ウォーズ』の新作も期待していいのかなあと。
 今夏一番の大穴がまさかこれとは。嬉しい驚きと共に心配の種にもなるのですが、でもぜひ劇場で(できればIMAXで)楽しんでほしい作品です。
(109シネマズグランベリーモール9にて)

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