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2013年8月14日 (水)

『血の伯爵夫人』

Countess ☆☆1/2 女性らしい視点を感じる世界観はよい。
 あのジュリー・デルピーの監督2作目。しかもデビュー作とはまったく違うジャンルということは知っていましたが、正直興味はわきませんでした。でもWOWOWでのオンエア(現在のところフランス映画祭での上映のみ、劇場未公開&未ソフト化)をみながら引き込まれてしまいました。ジャンルとしてはスリラーやホラーに入ると思うのですが、なかなかの作品です。
 この主人公エリザベート・バートリの物語はヨーロッパでは連続殺人を行った残虐者として知られ、吸血鬼のモデルにもなったそうです。そんな人物をデルピーは、どこか生々しさとドライさを両方併せ持ついかにも女性らしい視点で描いていきます。まず全体に漂う雰囲気が妖しさぷんぷん。話自体が狂気を秘めているプロットなのでそこに説得力を持たせるのは難しいことだと思うのですが、その彩度を落とした映像設計と光源の少ない室内をいかした圧迫感ある美術、何を考えているかがみえてこない静かな演技陣のアンサンブルとが相まって、うまく醸し出しています。そしてジュリー・デルピーがさすがで怖さと悲しさが同居している主人公を見事に演じています。
 ジャンル物がうまく作れる人は化けることが往々にしてあります。このあともすでに2作監督作があります。監督作が楽しみな女優さんとして気になる人の登場です。

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