『トゥ・ザ・ワンダー』
☆1/2 愛の形と呼ぶにはあまりに表層的。
私はテレンス・マリック監督作には好きな作品が多いのですが、さすがの私もこれはギブアップ。一言でいえばよくわからなかったですし、この作品をどう受けとめるべきなのかもさっぱり理解できませんでした。
パンフレットにもあったように本作は前作『ツリー・オブ・ライフ』同様、マリック自身の経験も多分にインスパイアされているところが多いのかもしれません。しかし前作がその極めてパーソナルな世界を哲学的な普遍性にまで昇華させたところが凄かったわけですが、今作ではその試みは失敗したと言えます。前作は、人がどうやって人になっていくか、そして人生にはなぜ不幸が訪れるのかを、まるで人の心をそのまま映像にしたような作品にしており、そのセンスに驚き、大いに感動させられました。今作も表現手法は同じです。しかし今回のテーマである「愛」を描くには、この手法は的外れなものだったのかもしれません。なぜなら少なくとも古今東西、いわゆる男女の恋愛を描いた名作は山ほどあります。本作はその域には達していませんし、またその手法に独創性も感じられません。今回の手法ではどうしても表層的な面に終始してしまい、マリック作品でモノローグがこれほどうるさく感じることはありませんでした。
とりあえずあのマリックが現在、すでに次回作のポスプロに入っているとのこと。本作も含めてこの連作がどういう意味を持つのかはわかりませんが、また次に期待したいと思います。
(TOHOシネマズシャンテ2にて)
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