『50/50 フィフティ・フィフティ』
☆☆☆ 病気というできごとを人生の一場面としてとらえる余裕。
難病ものには点数の辛い私。でもこれはなかなかのできばえでした。そもそもなぜ私が難病ものに点数が辛くなるのかを考えてみると、作劇上のあざとさ、そして不必要に過剰な演技合戦が鼻につくという2点に集約されるかと思います。この作品はそのあたりのさじ加減が絶妙でした。脚本家の実体験に基づいているそうですが、そのあたりができるだけ地に足の着いた演出につながったのかもしれません。また役者陣の演技アンサンブルは特筆しておきたいと思います。ジョセウ=ゴードン・レヴィットの演技も実に自然で、彼のよさとうまくかみ合っており、アンジェリカ・ヒューストンはもちろんのこと、アナ・ケンドリックやフィリップ・ベイカー・ホールやマット・フリューワー、はたまたいやーな元彼女役を演じるブライス・ダラス・ハワードまでもは、それぞれよい味を出しています。中でもおいしい役割を演じたのはセス・ローゲンで、ややダメ男ではあるものの憎めない友人役を彼のパブリックイメージのままに演じています。
誰にも訪れるかもしれない病気というできごとを、誰もが共感できる人生の一場面にまでおとしこんだ余裕が感じられる佳作です。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント