『ダークナイト ライジング』
☆☆☆ 何かが欠けている大団円。
こちらも期待作でした。でも『ダークナイト』は凄すぎたし、そもそもパート3を納得して終わらせられるレベルにするのは、かなり難しいことは映画ファンは百も承知。なので予備知識はほとんど入れず、期待もあまりしませんでした。見終えてさまざまなレビューをみていると、みなさんの評価が「まあこの終わり方はいいんだけど」という感じの奥歯に物が挟まったような表現が多かったのですが、私もこの部分は同感です。でも結局私たちが求めるものはあまり描かれず、終わってしまったのです。
この映画の最大のポイントはふくらんできた映画の世界観にどのような決着をつけるのか、にあります。バットマンはアンビバレントの極みにいることを自覚しているヒーローであり、この物語に誰もが納得する終わり方を提示するのは難しかったことでしょう。今回クリストファー・ノーランがディケンズの「二都物語」を意識したという話を聞きました。なるほど納得です。でも正直それってかなり後付けなんじゃないの?というツッコミはあります。でも私たちがみたかったのはそこではなかったのではないでしょうか。パート3が難しいのは、『スパイダーマン』『スター・ウォーズ』もそうなのですが、映画の世界観がふくらんできた中でキャラクターの交通整理に忙しくなってしまい、ストーリーを語る上でいくつかの物語が同時進行になってしまうことが多いという現実でしょう。その結果、本作もつまらなくはないのであけれど、活劇のカタルシスを得られない展開になってしまいました。またノーラン作品の常連が大挙出演というのもこの作品では少なくともマイナスです。これでは『インセプション2』かよという感じです。
期待を裏切る作品にしなかったことは評価しますが、この程度ではというあたりがつらいところです。ノーランは続いてスーパーマンのリブートにも関わるそうですが、彼はアメコミ原作に向いている人とは私は考えません。彼はストーリーテラーであって、エピックを語るタイプではないと思います。彼のフィールドは『メメント』であり『プレステージ』であり、『インセプション』なのです。次の展開がどうなるか、今後も新作には期待が膨らみます。
ところでIMAX版で本シリーズ3作品ともみている人は少ないでしょう。私は1はIMAXDMRで(フィルム上映)、2と3はIMAXデジタルでみています。それはささやかな自慢です。
(ユナイテッドシネマとしまえん8にて)
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