『アメイジング・スパイダーマン』
☆☆1/2 同じ話をどう語るかが語り手の才。
パート4のはずがリブートされてということになった本作。スタッフ・キャストが一新されたわけですが、正直なんでこんな作りになったのよという疑問が鑑賞中の頭の中にひたすら渦巻く出来となりました。いや、でき自体はそれほど悪くはありません。でもなぜじゃあリブートするのよという点がどうしても納得できないのです。
結果的にリブートされたことによって、前半はスパイダーマン誕生までにいきさつとなります。この作品の肝はここでしょう。なぜなら何度も語られたヒーロー誕生は、個々に大きな差違がうまれることで個性ができ、それが同じヒーロー物でも味付けの違いとなるからです。サム・ライミ版とはまったく違う主人公像、大きくクローズアップされたピーターの両親の秘密、そしてピーターとグウェンの物語。『(500)日のサマー』の監督だけあって、ピーターとグウェンの恋や、グウェンの父とのやりとりなど物語の中にエモーショナルな部分はサム・ライミ版よりもよい部分もたくさんあるのです。しかしサム・ライミ版よりそこが優れているというところに無自覚なのかも知れません。活劇シークエンスはサム・ライミに一日の長はあり、全方位型のエンタテインメントではかないません。なのでここまできたら青春物で徹底してもよかった。そうしたら今までみたことのないヒーロー物語になる可能性はあったはずです。アンドリュー・ガーフィールドは可能性を感じる若手ですが、本作では大きな魅力は感じませんでした。それよりはエマ・ストーンのキュートな存在感が大きな魅力になっています。あとC・トーマス・ハウエルが小さな役で顔を出していたのには驚きました。
「映画秘宝」最新号で長谷川町蔵氏は本作がパート2で化ける可能性を指摘していました。なるほど。それはあるかもしれません。でもそのためにはマーク・ウェブ監督が自分の何が強みかを自覚し、そこから物語を生み出す必要があります。
(平和島シネマサンシャイン1にて)
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