『陽はまた昇る』
☆☆1/2 丁寧に作られている人情話。
私は映像機器はビクターファンでした。特にVHSデッキは本家ということで初代からずーっとビクターでした。この作品が描く世界は「プロジェクトX」でもとりあげられていましたし、また書籍などでも読んだことはあったのである程度知識として知っていました。そして本作なのですが、悪くないものの、その作り方があまりに真面目すぎて逆に印象に残らない感じになりました。
佐々部清監督はこの後『半落ち』や『夕凪の街桜の国』などを撮るのですが、そのどれもが真面目で印象は悪くない物のどこか野暮ったさがぬぐえません。ただしお芝居の撮り方は的確で、本作でも芸達者に囲まれていることもあり、きちっとしたみせ方ができています(これが若手ばかりになるとダメらしい)。西田敏行と渡辺謙の演技はさすが。仲代達矢の松下幸之助はなんか違う感じがしますが、まあいいでしょう。そしてこういう工場内の映像設計をするなんて誰だろう?と思っていたら撮影はなんと木村大作。クレジットをみるまでは全く気がつきませんでした。さすがの仕事ぶりです。
よくできた佳作です。こういう作品をきちっと評価してあげないのはもったいないです。ただしその真面目すぎる作風がいつか変化しないと、彼は素材クラッシャーになりかねないかもしれません。
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