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2011年7月30日 (土)

『ウルフマン ディレクターズ・カット版』

Wolfman ☆☆1/2 変身シーンはすごい。それが魅力ではいけないのか?
 制作時のトラブルで公開延期となっていた本作。それでも緊急登板になったのがジョー・ジョンストン、音楽はダニー・エルフマン、主演にベニチオ・デル・トロ、そしてメーキャップにリック・ベイカー! これで期待するなという方がムリですよね(汗)。しかしその期待は無残にも・・・。
 とにかくあふれんばかりの「狼男」愛は感じるのですが、なぜこうまで作品としての魅力が欠けてしまったのだろうと考えるに、どの要素もあらんかぎりのものをぶちこんでバランスが悪くなってしまった点があるのではないかでしょうか。ゴシックホラーとしての耽美さは臭いがあるものの妙に健全さを保とうとしており、様式美はちらっとあるもののどこかシステマチックな安さもあり、ドラマとしての深さはちらっとあるものの、突っ込み不足の感が否めないところもあり、アクションシーンは豪快さはあるものの既視感ありまくり・・・。ベニチオ・デル・トロ、エミリー・ブラント、ヒューゴ・ウィービングは手堅い演技を見せますが、アンソニー・ホプキンスは作品世界を理解しているとは思えず、ひどい演技です。一番残念だったのが狼男への変身シーン。いやデジタルエフェクツをベースにしながらベイカーらしい独創性は感じられるのですが、どうしても『狼男アメリカン』などと比較すると見せ場としての盛り上がりに欠けているのです。視覚効果だけが売り物ではいけないとは思うのですが、視覚効果を最大のウリにすることはいけないことではないはずです。結局ホラームービーなのですからそういうシーンを私たちはメインにしています。その背景に「何か」を感じるわけで、そういうところに力を注いでしまうと妙なバランスになってしまうのだと思います。
 魅力的な食材を使って懸命に調理したにも関わらずできあがった料理は「????」。そんな作品です。

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