『八つ墓村』(1977)
☆☆1/2 謎解きよりも土着オカルト怪談を語りたいのだ、金田一さん。
野村芳太郎つながりで本作。同名原作2度目の映画化です。これ、小さい頃にテレビのオンエアで山崎努の村民虐殺シーンをみて強烈な印象が残り、以来こわーい作品と敬遠してきました。で、HD映像で、しかもシアターで楽しんじゃったのですが、想像以上にかなりグロテスクな場面のある映画でした。だって「たたりじゃー」ですもん。(同世代の方、わかりますね(笑))
まず大前提としてミステリーを期待してはいけません。渥美清の金田一耕助は悪くはありませんが、石坂浩二の金田一のように謎解きの場面にカタルシスはまったくありません。市川崑がその映像テクニックを駆使して我々観客をミステリーの楽しさを味合わせてくれたのとは対照的に、ここで野村芳太郎は土着オカルトのような世界を怪談話のように語ります。それをおもしろいと思うかどうかが評価のポイントになるでしょう。そういう意味で横溝正史の世界観はうまく表現していると言えますが、観客が期待している金田一の世界は表現していません。土着の恐ろしさは恐ろしさで、それを知りつつ知恵を使うのが金田一耕助もののおもしろさだと考えているので、私は正直期待はずれでした。しかしそれを差し引いても強烈な印象を残す場面が多く、ホラー映画ファンは一見の価値は充分にあります。
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