『再会の街で』
☆☆ ポスト9.11にする必要性とは。
ドン・チードルとアダム・サンドラーというキャスティング、ポスト9.11が背景ということでどんなドラマかなと思いました。結論としてはドラマとしては疑問のつく出来映えです。
まずアダム・サンドラーとドン・チードルは2人ともよい演技をみせてくれます。もしこの映画がこの2人ではなかったら、たぶん私はワーストに入れてます。そのぐらい話としては浅い。特にアダム・サンドラー側に関しての理解はまったくなされていないといってよいです。
人は何かに傷ついたときに最後は誰かに手をさしのべられて、自分で前に進もうとする気持ちをもたない限りは変わらないという傷ついた人をそのまま受け入れることは難しいにしても、結局同じ尺度で可哀想な人と切り捨ててしまうアメリカ的尺度がどうも鼻につくのです。あの生き方を許していないのは結局アメリカではないのかと。なのであの失った人の親族との会話も、どこか作り事めいて胸迫るものがないのです。あの9.11を背景にしたことですら、感動を得るためではないかと勘ぐりたくなるような展開といい、このういう素材で普遍性を獲得できなかった場合は、嘘くさしか残らないのです。
それでもアダム・サンドラーの演技はとてもよく、傷ついた心を自らがどうしようもできないいらだちをきちんと表現しています。そしてドン・チードルも的確な受けをみせています。この2人の演技は充分みる価値はありますが、正直好みでいえば好きな作品ではありません。
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