« 『トランスアメリカ』 | トップページ | BD: BLOW OUT »

2011年5月13日 (金)

『遠雷』

Enrai ☆☆☆ じとっとした空気。
 根岸吉太郎がひろく知られるきっかけとなったATG製作による本作は、いかにも日本映画という感じの湿気がむんむんとしたユニークな青春映画となっていました。彼はロマンポルノ出身なのですが、それがここでは艶笑的な描写に冴えが感じられてよい方向に出ていると思います。それよりもこのふわっとした人間関係の描き方はすでにこの頃に顕著だったのだと再認識しました。地方都市や農業もうまく背景となってドラマにはめこまれており、じとっとした空気をつかまえたような独特の魅力になっています。永島敏行はいつでも彼ですが、とにかく脇役陣が素晴らしい。石田えりや横山リエといった女性陣のしたたかさ、ジョニー大倉や蟹江敬三、ケーシー高峯ら男性陣のだらしなさ。アンサンブルとしてもおもしろく、見応えがあります。日本映画ならではのおもしろさのある作品といえるでしょう。

|

« 『トランスアメリカ』 | トップページ | BD: BLOW OUT »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『遠雷』:

« 『トランスアメリカ』 | トップページ | BD: BLOW OUT »