『26世紀青年』
☆☆1/2 着想がユニークなのに展開がありがち。
ピクサーの『ウォーリー』の元ネタじゃないかと、ちょっと話題になった作品です。私も楽しみにしたのですが、なんというか着想のユニークさがいかされていなかったのがもったいない出来になっていました。
とにかく物語の導入には大笑い。世におバカさんがはびこるメカニズムには妙に納得してしまいました。で、時代は流れてとなるのですが、このあたりのルックが確かに『ウォーリー』に似ている部分がありました。で、あっちよりこっちの方が企業寡占について批判的に描いています。ただどちらもメジャー作品なせいか、真の敵がどこにいるのかという描き方がどうしても薄い。まあ『ウォーリー』のメインがどちらかというとロボットのロマンスにあるので仕方が無いとしても、こっちはバカが世の中を治めている事で得をしている人間が絶対にいるわけなので、そこがもう少し突っ込んでおいてほしかった。テリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』が傑作たり得たのがアイロニーで体制側をおちょくったこと。この作品にはそういう毒が足りません。笑えるのは笑えるのですが傑作になり損ねたという面でもったいなかったです。
最後にこの邦題について。原題にこだわらなくてもよいですが、作品の魅力がどこにあるかは考えてほしいです。この作品の原題である"IDIOCRACY"は造語で、強いて言うなら「おばかさん、世にはばかる」という感じでしょうか。かなり難しいのは理解できますが、少なくとも邦題のせいで埋もれるのは許せないものがあります。
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