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2011年5月19日 (木)

『幻影師アイゼンハイム』

Illusionist ☆☆☆ きれいに騙されるが勝ちというオチかな。
 かなりはやいうちにオチは読めてしまいました。だってそう展開するしかないから。日本人はマジックをみているとすぐにタネをしりたがるが、欧米の観客はだまされることを楽しむことができると、とあるマジシャンがぼやいていました。この映画もそういう意味では騙された者勝ち。騙される自分にニヤニヤできる人の方がより楽しめると思います。でもエドワード・ノートンとポール・ジアマッティというクセ者演技陣がきちんとお芝居をみせてくれるのこと、そして演出もあからさまなミスリードをしないので、「ふむふむ」「ほほう」「ニヤリ」とさせてくれる作品になっていました。

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2011年5月18日 (水)

『ブルワース』

Bulworth ☆ なんじゃ?
 これはひどかった。あの『レッズ』のウォーレン・ベイティ監督作品なのに。つまらないとかのレベルじゃないです。いや、ロビイストをめぐる米国政治をおちょくる題材としてはおもしろいのですが、とにかくセンスが悪すぎます。何も書きたくないレベルです。

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2011年5月17日 (火)

『レスラー』

Wrestler ☆☆☆1/2 染み渡る生き様。
 彼はスターで、ちやほやされていた時期があり、スキャンダルにまみれていました。(いや、好きな作品ありますよ。『エンゼルハート』とか、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』とか)。そこから彼ははいあがった。そんな生き様がどうしても主人公のレスラーに重なります。人間としてダメなところがいっぱいあるけれど、観客である私たちが彼に感情移入してしまうのは、ミッキー・ロークだからです。この作品はミッキー・ロークでなければ成立しなかった作品でした。プロレスについての知識がある程度あった方が楽しめるのは事実ですが、それがなくても充分。むしろミッキー・ロークを知っているかどうかが大きなポイントかも知れません。ダーレン・アロノフスキーの演出はきわめて正攻法。インディーズらしいシンプルさが効果的です。演技陣ではミッキー・ロークもさることながら、マリサ・トメイも心優しい女性を好演。それ以外の脇役陣も実にいい表情をしている役者さんがそろっており、キャスティングの見事さが光ります。そしてそんな人々の生き様が胸に染み渡ります。
 アーティストが私たちの胸をうつ作品を残すのはそこにその人の生き様が滲むから。私はそう思っています。人々を楽しませるために、人々を涙させるために心身を削るような努力をしているアーティストのものは売れるかどうかは別としての輝きがあります。ミッキー・ロークの輝きは、またいつの日か終わるかもしれませんが、この作品で彼がみせた輝きは、彼が人生を賭して積み重ねてきたものからしか生まれ得なかった輝きであり、私たち映画ファンは一生忘れることのない輝きです。

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2011年5月16日 (月)

『スペル』

Drugmeto ☆☆☆ いよっ!名人芸。さすがサム・ライミ。

 おもしろかった! そりゃ名作とかの類いではないですが、少なくとも木戸銭分は存分に楽しめますし、それが一過的な「おもしろかったー、わすれたー」というレベルでは終わりません。怖すぎると笑ってしまうオモシロさは、サム・ライミの得意技。話のスジもある程度は読めますし、「いやあ、くる、くる、くる、くる、どっひゃあああ!」みたいな場面でも、もう熟練の腕できちっとみせてくれます。入れ歯ですよ! 虫ですよ! クリーチャーですよ! そして地獄へ道連れですよ!(原題の方がいいよなあ、絶対) そう、これは古典落語を語る名人芸、十八番をみせる歌舞伎の伝統芸にも通じる世界でしょう。
 まあ、これをさらっと作ってくれるのさすがなのですが、でもこの程度でお茶を濁されてもというのも本音です。事実そういう気分転換もあった制作体制だったのではないでしょうか。『スパイダーマン』にも一区切りついて、次はどんな世界に進んでいくのか、とても楽しみにしています。

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2011年5月14日 (土)

BD: BLOW OUT

Bdblow 邦題『ミッドナイトクロス』
 個人的にはブライアン・デパルマの中で一番好きな作品。プロットのあら? ぜーんぜん気になりません!トラボルタの演技もこの作品ではすごくよかったし、そのめくるめくカメラワーク(ビルモス・シグモンド!)、哀切さ大爆発なピノ・ドナジオの旋律、ポール・ハーシュの編集が渾然一体となった傑作でしょう、これは。で、天下のクライテリオンからまさかのリリースとなったのですが、これがまた「?」な品質。まず画質自体はよいのだが、ところどころポジのような画をみせられる。たとえばクライマックス。見事な画が続く中であの花火をバックにしたぐるぐるまわりますのところだけ暗部がつぶれた感じ。さらにエンドクレジットの白にじみには唖然。まるでVHSのような画レベル。これって素材の問題でしょうか。というか最近のクライテリオンの商品、時々クビを傾げたくなるレベルの画質のものがありませんか? 『戦場のメリークリスマス』とか、『突撃』とか、『モダンタイムス』とか。私だけですかこういう印象を持っているのは。

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2011年5月13日 (金)

『遠雷』

Enrai ☆☆☆ じとっとした空気。
 根岸吉太郎がひろく知られるきっかけとなったATG製作による本作は、いかにも日本映画という感じの湿気がむんむんとしたユニークな青春映画となっていました。彼はロマンポルノ出身なのですが、それがここでは艶笑的な描写に冴えが感じられてよい方向に出ていると思います。それよりもこのふわっとした人間関係の描き方はすでにこの頃に顕著だったのだと再認識しました。地方都市や農業もうまく背景となってドラマにはめこまれており、じとっとした空気をつかまえたような独特の魅力になっています。永島敏行はいつでも彼ですが、とにかく脇役陣が素晴らしい。石田えりや横山リエといった女性陣のしたたかさ、ジョニー大倉や蟹江敬三、ケーシー高峯ら男性陣のだらしなさ。アンサンブルとしてもおもしろく、見応えがあります。日本映画ならではのおもしろさのある作品といえるでしょう。

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2011年5月12日 (木)

『トランスアメリカ』

Transame ☆☆1/2 ジェンダーから生まれる個人の尊厳。
 テーマからしてどんな作品かなと不安もあったのですが、しっかりとした力作になっていました。性同一性障害を扱っていますが、ジェンダーはあくまで切り口にしたのは見事。「業」としての性を正面から捕らえており、さらには生まれや家族など生き方もっと普遍的なレベルで「生きるということは何か」「人としての尊厳とは何か」を描いている点は好感が持てます。出てくる人出てくる人みんなひと癖あるのですが、単純な価値観でみておらず、『ボーイズ・ドント・クライ』が陥ったようなステレオタイプな描写と違って、懐のひろさを感じます。ケビン・セガーズ演じるトビーの純粋さがフェリシティ・ハフマン演じる主人公と対になり、人の尊厳とは何かを私たちに問いかけてきます。ただしあまりにもエピソードがとっちらかっており、ひとつのドラマとしての完成度は低めです。フェリシティ・ハフマンは熱演ですが、正直この役はやはり男性がやるべきだったのではと思います。前述のとおり、ケビン・セガーズが好演でした。
 軽い作品ではありませんが重すぎでもないはずです。同じようなテーマでも陳腐になってしまう日本のドラマとはひと味もふた味も違う魅力はある作品です。

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2011年5月11日 (水)

『サロゲート』

Surrogates ☆1/2 情感に訴えない不気味な感触。
 ジョナサン・モストウらしい小気味よさは評価したいですし、実はビジュアルエフェクツを監修しているのがマーク・ステットソンなのでそういうところもフォローしてあげたいのですが、でもやっぱりダメなものはダメです。一言でいえば不気味。まるでここに出てくるつやつや作り物のサロゲートみたいなのです。(アレックス・プロヤスの『アイ、ロボット』もそうだったのですが、どうしてアメリカ人の考えるロボットツヤツヤなんでしょう?) SFマインドには欠け、人間ドラマのスパイスもなく、私たちの観客の情感に何も訴えてくる物がありません。

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2011年5月10日 (火)

『再会の街で』

Reignov ☆☆ ポスト9.11にする必要性とは。
 ドン・チードルとアダム・サンドラーというキャスティング、ポスト9.11が背景ということでどんなドラマかなと思いました。結論としてはドラマとしては疑問のつく出来映えです。
 まずアダム・サンドラーとドン・チードルは2人ともよい演技をみせてくれます。もしこの映画がこの2人ではなかったら、たぶん私はワーストに入れてます。そのぐらい話としては浅い。特にアダム・サンドラー側に関しての理解はまったくなされていないといってよいです。
 人は何かに傷ついたときに最後は誰かに手をさしのべられて、自分で前に進もうとする気持ちをもたない限りは変わらないという傷ついた人をそのまま受け入れることは難しいにしても、結局同じ尺度で可哀想な人と切り捨ててしまうアメリカ的尺度がどうも鼻につくのです。あの生き方を許していないのは結局アメリカではないのかと。なのであの失った人の親族との会話も、どこか作り事めいて胸迫るものがないのです。あの9.11を背景にしたことですら、感動を得るためではないかと勘ぐりたくなるような展開といい、このういう素材で普遍性を獲得できなかった場合は、嘘くさしか残らないのです。
 それでもアダム・サンドラーの演技はとてもよく、傷ついた心を自らがどうしようもできないいらだちをきちんと表現しています。そしてドン・チードルも的確な受けをみせています。この2人の演技は充分みる価値はありますが、正直好みでいえば好きな作品ではありません。

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2011年5月 9日 (月)

『サブウェイ123 激突』

Takingp123 ☆ 何でこんな企画が通るのか?
 悪いけどオリジナルの『サブウェイ・パニック』のクールさにはかなうはずはありません。すっかりブラッカイマーお抱えとなった感のあるトニー・スコット。でも『エネミー・オブ・アメリカ』以来、どんどん劣化している気がします。もう何がいけないってあのガチャガチャした編集。この作品もそう。本当にイライラしました。プロット、演技陣も完敗。リジナル版のウォルター・マッソーとロバート・ショーの対決は良い意味でプロフェッショナル同士ゆえに火花が散ったわけでジョン・トラボルタなんて何なの?というがっかりな珍演。何でこんな企画が通ったのかがわからない、そういう結論です。

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2011年5月 8日 (日)

BD『ファンタジア ダイヤモンド・コレクション』『ファンタジア2000』

Bdfantasia  ディズニーが誇る永遠のマスターピース。DVD盤でも相当びっくりしたが、さすがのディズニー、BDにする時の気合いはさらにハイレベルなクオリティをうみだしている。
『ファンタジア』
もう「マイッタ!」の一言。ここまでディテールのわかる『魔法使いの弟子』ははじめての体験。誰もみたことがない『ファンタジア』なのではないだろうか。音質は元の素材を考えれば限りなく限界にきているとおもう。
『ファンタジア2000』
こっちは画質の恩恵も大きいが音質のプラスの方が凄い。ダイナミックレンジはどうなってるの?という感想を持ってしまうような音がエネルギッシュに再生されて嬉しい限り。
 もう絶対買いの1枚。ただし残念なのは私が所有している米盤の3枚組DVD"The Fantasia Anthology"に収録されていた映像特典はほとんどなく、ここまできたら究極仕様で出してほしかったところ。

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2011年5月 7日 (土)

BD『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』

Bdonceua  セルジオ・レオーネの大傑作。BD化によりめでたく最初から最後までディスクチェンジがなしで鑑賞可能となったが、残念ながら画質はそれほど劇的な進化とはいえない。正直素材上の問題も大きい気がする。映像特典もほとんど変わらず。買い換えは何とも言えないのだが、かなり値段は安いので個人的にはプッシュ。ただしジャケットはDVD盤の方が絶対に良かった。

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2011年5月 6日 (金)

『26世紀青年』

Idiocracy ☆☆1/2 着想がユニークなのに展開がありがち。
 ピクサーの『ウォーリー』の元ネタじゃないかと、ちょっと話題になった作品です。私も楽しみにしたのですが、なんというか着想のユニークさがいかされていなかったのがもったいない出来になっていました。
 とにかく物語の導入には大笑い。世におバカさんがはびこるメカニズムには妙に納得してしまいました。で、時代は流れてとなるのですが、このあたりのルックが確かに『ウォーリー』に似ている部分がありました。で、あっちよりこっちの方が企業寡占について批判的に描いています。ただどちらもメジャー作品なせいか、真の敵がどこにいるのかという描き方がどうしても薄い。まあ『ウォーリー』のメインがどちらかというとロボットのロマンスにあるので仕方が無いとしても、こっちはバカが世の中を治めている事で得をしている人間が絶対にいるわけなので、そこがもう少し突っ込んでおいてほしかった。テリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』が傑作たり得たのがアイロニーで体制側をおちょくったこと。この作品にはそういう毒が足りません。笑えるのは笑えるのですが傑作になり損ねたという面でもったいなかったです。
 最後にこの邦題について。原題にこだわらなくてもよいですが、作品の魅力がどこにあるかは考えてほしいです。この作品の原題である"IDIOCRACY"は造語で、強いて言うなら「おばかさん、世にはばかる」という感じでしょうか。かなり難しいのは理解できますが、少なくとも邦題のせいで埋もれるのは許せないものがあります。

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2011年5月 5日 (木)

『モーターサイクル・ダイアリーズ』

Diarios ☆☆☆ 清々しくさえある良質の青春映画。
 正直みるかどうか迷っていたのですが、これはみてよかったです。チェ・ゲバラの物語は最低限のレベルでしか知らなかったのですが、『セントラル・ステーション』のウォルター・サレスが紡ぎ出したこのロード・ムービーは、そんな知識など必要としません。むしろそんな先入観は邪魔になり、やがてそれは深い余韻へと変化すると思います。特に前半部分が秀逸で、青春映画としての美しさが旅の楽しさの本質とともにうまく表現されていました。南米をとらえた撮影はどこかとぼけた味があり、後に『イントゥ・ザ・ワイルド』も担当するエリック・ゴーティエの冴えた手腕が発揮されています。残念ながら後半になると焦点がぼけてきた感じがして、そこまで成功していたアルベルトとエルネストとの描き分けが偏ってきてしまいました。それでもあのラスト。グスターボ・サンタオラヤの哀切たっぷりのメロディと共に夕焼け空を見つめるアルベルトの姿。いつまでも追いかけるしかない郷愁と、失われた友への哀惜とが混じり合ったあのラストはよいと思います。
 良質な青春映画です。その誠実な描き方は清々しくさえあり、ゲバラという名前で避けるのはもったない1本です。

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2011年5月 4日 (水)

『タイタンの戦い』(1981)

Crashot1981 ☆1/2 これはないよ。
 リメイク版のオンエアにあわせてやっていたのでみました。これが1981年作ですもんね。コントのようにしか思えない神々の会話と、伝統芸のようなストップモーションアニメが、あくびの出るようなテンポで陳腐なストーリーと共に展開されるので、どう反応していいかがわかりませんでした。いくらハリーハウゼンの引退作とはいえ、これはひどいよという感じでした。

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2011年5月 3日 (火)

『シャーロック・ホームズ』

Sherlock ☆☆ ホームズじゃなくていいんじゃない?
 私はバリー・レビンソンの『ヤング・シャーロック』をそこそこおもしろいと感じた人です。シャーロック・ホームズにはまったく思い入れはありません。これもシャーロキアンの神経を逆撫ですることは間違いないでしょう。この映画もたぶんホームズと名乗らなければ、そこそこおもしろかったのではと感じますが、ガイ・リッチーは金太郎飴のような作品しか作れないので、ジュブナイルをかちっと作れたレビンソンとの資質の違いが、作品の質の違いにもなっている気がします。いや、今回はジョエル・シルバーの罪も思いかも。ロバート・ダウニーJr.は『アイアンマン』の方がはるかに魅力的だし、ジュード・ロウもよくわからないワトソンになっていて気の毒になってきます。注目はハンス・ジマーのスコアぐらいです。

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2011年5月 2日 (月)

『恋するポルノ・グラフィティ』

Zackmiri ☆☆ かわいらしいけどさ。
 ケビン・スミスは最近すっかり作風が変わったのでしょうか。おや、ネタが変わったという言い方が適切なのでしょうか。ネタはかなり過激な、事実ポルノの世界をネタにしてるので万人にススメられる感じではありませんが、少なくとも題名(原題も)からイメージされるほど下ネタという作品ではありません。むしろ可愛らしい作品で『恋人たちの予感』のだらしないヒトバージョンとでも呼ぶべきでしょうか。ただかわいらしいけれど、胸にぐっとくるような作品にはなっていませんし、ぎゃははと笑えるようなおもしろさも持っていません。恋愛物には必要な切なさが欠けているのも問題ですし、結局さっきいったような喩えが通じてします既視感がどこかあるのが最大の課題だと思います。
 ところでおかしかったのがとある場面に流れる曲の話。ええなあと思ってエンドクレジットからあたってみたらなんとLIVE(バンド名です。あっ、日本のお塩さんのバンドでもないですよ、念のため)の曲だった。探してみると・・・サントラ未収録な上に、アルバムとかにも収録されてないらしい。私もがっかりしたのだが、アメリカamazon.comのこの作品のサントラのレビューには、その点についての不満が炸裂。みんな、感じることは似てるんですなあ。

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2011年5月 1日 (日)

日常

いつものように、とても忙しかった2月&3月。
いつもとは違った東日本大震災。

 

幸いなことに私自身も、私の周囲でも
大きな被害を受けることはなかったのですが
あの震災が私の心に与えた衝撃は
とてつもなく大きく
正直、何もする気が起きませんでした。

 

何を言っても何をやっても
自分の気持ちを正確に表現することなどできるわけはなく
誰かの言葉も誰かの行動も
私の心を支えてくれることはなく
誰かの悲しみも誰かの苦しみも
私がそれを真に理解することは出来ず
わかったことは
私の心は強くなかったことと
失われた日常がとてもまぶしく愛おしく
それが決して二度と元に戻らないこと
そしてそれらが本当に苦しいこと

 

生きる力を蘇らせてくれたのは
映画であり音楽であり落語でした。
友人であり同僚であり家族でした。
体の底から何かがわき上がってきて
心が閉じている時には何も感じなかったものたちが
すーっと染みこんでくるようでした。

 

きっとこの喪失感は消えることはないかもしれません。
でも私がこうだったように
芸術はきっと誰かの力になるかもしれません。

 

ショーン・ペンの初監督作品『インディアン・ランナー』。
2人の兄弟の物語。
弟の生き様も強烈ですが、
私は初めてこの映画をみた時に
兄の生き方に、兄の言葉に、はっとさせられました。
(いろんな意味で私は
「ちゃんと戻ってきた」弟フランクなのかもしれません。)

 

ラストの兄のモノローグ
『ぼくはその夜、家に帰り
 庭に水をやり
 子どもにキスをして
 妻を朝まで抱きしめていた。

 

 人生はいいものだ。』

 

当たり前のことを当たり前と思わずに。
当たり前のことが当たり前になるように。

 

私はまた日々を生きていこうと思います。
そして自分が出来ることを精一杯していこうと思います。

 

Indi02

 

 

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