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2011年2月 9日 (水)

BD『第9地区』

Bddist9  昨年日本でも公開されて好評だったニール・プロムカンプ監督のSF作品(これもレビュー書いてない)。本当によくできていて、武器やメカとスラムやニュースリールなどの日常的なディテールが巧みに融合されていて、リアリティを醸し出している。また暗喩されている南アフリカの政治背景と、そして社会的なメインストリームとマイノリティという対比という設定自体も実にうまく機能している。画質音質ともに水準以上で、特にサウンドデザインの優秀さがよくわかるのではないか。特典は標準的な物。

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2011年2月 8日 (火)

『ウィッチマウンテン』

Racewithw ☆1/2 中途半端な寄せ集め。
 ディズニーの『星の国から来た仲間』のリメイクだそうですが、オリジナルは未見です。で、ドウェイン・ジョンソン主演と言うことで何となくみてしまいましたが、内容もまあその程度の作品です。
 同じような再映画化(あれは続編か?)で『ブラボー火星人2000』がありますが、これは楽しめました。やるならとことんやってしまえ!みたいな振り切れ方が子ども向け作品には必要だという好例でしょう。こちらにはそういうユーモアのセンスが足りず、『E.T.』と『未知との遭遇』のいいところを集めて子ども向けにした感じ。子どもがみるには派手さに欠け、大人がみるにはその設定の甘さに辟易してしまうのではないでしょうか。SFコンベンションの小ネタはわりとクスクスできますし、アクションシークエンスや視覚効果などを真面目に作っているのは好感が持てますがそこまで。ドウェイン・ジョンソンはいつものドウェイン。前ならばシュワちゃんが演じる系といえばわかるでしょうか。でもこの作品に関してはミスキャストかなあ。だって前科者の心優しい力持ちのタクシードライバー(もうこの設定に全然説得力がない)だとしても、ジョンソンはジョンソン。もっと役を彼に引っ張ってあげる必要があるでしょう。カーラ・グギーノとキアラン・ハインズはいつもながら。アンナソフィア・ロブはこういう映画専門になるのでしょうか(笑)。
 オリジナルは監督がジョン・ハフだとか、うーん。

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2011年2月 7日 (月)

『ミュージック・イン・ザ・ハート』

Musicwit ☆☆☆ 障害者の自立をあたたかく見つめた佳作。
 スターチャンネルでオンエアされていた作品。アメリカで障害者差別を禁止する法律の成立に尽力した活動家リチャード・ピメンテルの半生を描いた作品です。これがすごくよかった。大傑作ではないかもしれないけれど、でもみることができてすごくよかった作品でした。
 まず彼の生い立ちがおもしろい。実話ならではとはいえ、寓話的な側面があって、世界観の構築に絶妙なスパイスとなっています。彼自身の人生も大変興味深いもので、おそらくこのあたりは脚本の妙でもあるでしょう。こういう題材の場合、どこまでひとつのエピソードを掘り下げるかという面が難しいのですが、この作品についてはこのさじ加減で絶妙だと思います。ダイジェストのような駆け足感はありませんし、余韻の残し方がうまい。中でもレストランをめぐるエピソードにはぐっと来ました。興味を持つ人はもっと知りたいと興味をかき立てられる入り口になっています。
 また私はこの手の題材にはかなり厳しい視点を持っています。この作品のよいところは背伸びをしていないところ。障害者の自立という問題にきちんと向き合っていながら、人が生きていく時に誰もが直面する出来事を描いているので、同じように共感でき、今まで気がつかなかった視点にはっとさせられるのです。そして自立とはどういうことなのかを私たちは考えさせられるのです。役者陣の中ではマイケル・シーンを特筆しておきます。この人の他の作品では正直、何がそんなに評価されるのだろうと疑問視していましたが、この作品の彼は素晴らしい。『マイ・レフトフット』のダニエル・デイ・ルイスより何百倍も素晴らしい。障害者という人間をきちんと演じていることに感謝の気持ちでいっぱいです。
 この伝記ドラマ。なんとまだソフト化されていません。誠実であたたかな視点を持つこの佳作に、数多くの人が心揺さぶられることを願ってやみません。

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2011年2月 6日 (日)

『エド・ウッド』

Edwood ☆☆1/2 結局この人は人間が描けない。
 私ととにかく相性の悪いティム・バートン。確かに本作はその中でもまだ楽しめた部類だと思うのですが、結局この人は人間が描けないと言うことにつきるのでしょう。
 彼がその有り余る情熱を映画作りにぶつけていることはわかります。しかしその情熱も含めてエド・ウッドがどんな人間だったかがよくわからないのです。ゆえにエド・ウッドがなぜ「駄作」を生みだしたのかがよくわからないし、エド・ウッドが駄作を生み出しても愛さずにはいられない、という状況もよく理解できません。ティム・バートンはクリエイターとしての自らを重ねた部分があるのでしょうが、そのあたりは観客の私たちには伝わってきません。反面エド・ウッドが憧れる往年の大スター、ベラ・ルゴシとのエピソードは、演じるマーティン・ランドーの名演もあって、グッっとくるものがあります。でもそれはルゴシの生涯を別なルートで知識として知っているからであって、この映画の描き方だけではよくわからなかったと思います。そういう意味では皮肉ですらあります。
 相変わらず珍妙なキャラクターを並べ、それだけで風変わりな味を出そうとしているのかもしれませんが、彼に欠けているものは人間本来が持つ奇妙さであって、そこが抜けているゆえに普遍性を持ちません。つまらない映画ではありませんし、ベラ・ルゴシを知って欲しいという意味では多くの人にみてもらいたいのですが、そのあたりは残念です。

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2011年2月 5日 (土)

BD『インビクタス/負けざる者たち』

Bdinvic  これはちゃんとパッケージでほしいと思ったので購入。→review すっかりDVDとのコンボが一般的となってきたが、正直これは抱き合わせ商品だよなあと思うときもある。画質はあきらかにオンエア版よりもよくこれはうれしい誤算。撮影監督トム・スターンの映像設計が光る。

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2011年2月 4日 (金)

『ワイルド・シングス』

Wildthings ☆1/2 ミスリードを反則として使っている。
 才人ジョン・マクノートンのフィルモグラフィの中では一番有名かもしれないこの作品。でもミステリーとしてはかなりダメな作品だと思うのです。まあアメリカ人はこの手の話が好きなんですよね。財産、愛欲、殺人、女子高生、水着・・・だってパート4まであるんです(汗)
 何を書いてもネタバレになりそうですが、これ絶対に途中からシナリオライター変えたでしょ?と思うぐらい、物語に首尾一貫した物がない。最初のあの状況では絶対そうは思えないし、途中の状況にもまったく伏線がない。ただ謎が解決すると何か話が転がる感じなのです。マット・ディロンもケビン・ベーコンも有効活用されず、ネーブ・キャンベルはその才能のなさを露呈。デニース・リチャーズはただのオッパイ要員ですか?
 というわけでデニース・リチャーズで目の保養をしたい人にだけお勧めです。

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2011年2月 3日 (木)

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』

Royaltenn ☆☆☆ ジーン・ハックマンの味。
 褒める人が多いウェス・アンダーソン作品。私は『ライフ・アクアティック』がダメだったので。これはどうかなと思ったのですが、おもしろくみることができました。
 同じようにオフビートな題材なのですが、抑制が効いている上に必要以上におしゃれじゃないところがいい。何より作り手の視点が同じ高さにある。やはりこういうのはダメな人をダメに描けるだけじゃなく、作り手の愛があるかどうかだと思うのです。ジーン・ハックマンはものすごくいやーな男なのに、妙に愛嬌を感じてしまうのは、ハックマン自身の味の他に、アンダーソンの描き方に背伸びがないからだと思います。他の役者陣もとにかくピタッとはまっていて、みんな必要以上に自己主張しないところがうまいですね。

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2011年2月 2日 (水)

『アサイラム 狂気の密室病棟』

Asylum ☆ ばかばかしいプロットと狂気(?)の言葉責め。
 なんかみちゃいました。まあ『セルラー』はおもしろかったけれど、後はなんだかなあなデビッド・エリスなだけに期待してなかったのですが、バーク博士の言葉責め(いや、じっさいに拷問はしているわけだが)に爆笑。でもこれじゃアメリカでもビデオスルーは納得。あまりにプロットがばかばかしすぎます。それだけです。

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2011年2月 1日 (火)

『ガントレット』

Gaunt ☆☆ 娯楽作に徹してもいいのに。
 イーストウッド監督作品でみていない作品は結構あるのですが、これもその1本。ただこの頃のイーストウッド監督作はなんというか野暮ったくて、正直なところ、ほとんどおもしろいと思えた作品がありません。そしてこれもやはりそんな感じでした。変則的なバディムービーにして娯楽作にできるはずなのに、そうはなしないのがイーストウッドなのかもしれませんが。最後の蜂の巣になったバスのシーンも、かつてテレビ放映時の次週予告でみていたせいか、「別にここまで撃たんでも」と冷静に突っ込んじゃいました。

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