『ヒトラー 最期の12日間』
☆☆☆ 国が狂っていく瞬間。
ヒトラーを描いた映画は数多くありますが、この映画はその中でもユニークな個性を兼ね備えています。それはヒトラーという人間をクローズアップしただけでなく、国がおかしくなるのは誰の責任であるかということを普遍的なドラマとして作り上げたところにあります。そもそも国の命運はたとえヒトラーとはいえ、独裁者1人にすべての運命が委ねられているとは考えられません(もちろん責任がないとは言いません。いえ、むしろ全責任を負うべき1人だと考えます)。好戦的な人、長いものに巻かれている人、理論的な人、人間味あふれる人と、あれだけ取り巻いている人々がいながらなぜ国は狂っていったのかを描いています。一方でこれを戦争末期に限定してしまったことで、抵抗できなかった運命のように受け取れる部分が生まれたのも事実で、特に映画の後半部は釈然としない部分もありました。しかしそういうところも言い訳めいたものは一切なしとしたのは評価すべきですし、こういう映画を自国で撮れるのは凄いと思いました。なお本作は20分長いエクステンデッドエディションもあり気になるところです。長尺ですが見応えのある作品です。
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