『コンペティション』
☆☆1/2 芸術の優劣についての一考察が人生の苦みにつながり損ねている。
実はこれ、まだDVD化されていません。スピルバーグ作品の常連だったは私にとっても最初のごひいきさんだった役者さんです。ただすごくいい役者さんなのですが、時々やり過ぎ感もあって、なんか芝居くさくて評価しなかった時期もありました。本国ではドラッグ問題で低迷していた時期もありましたし、フィルモグラフィを眺めると幅が広いと言うよりは節操がない感じさえします。その彼が『グッバイガール』で当時史上最年少のアカデミー主演男優賞を獲得後に選んだ出演作がこれ。
というわけで最近の彼よりはるかにアクの強い演技が全開。そのせいかこの映画の主題である芸術の優劣についての一考察から浮かび上がらせるはずだった人生の苦みが出てきていません。エイミー・アービング演じる女性のとらえ方にも問題があり、ドレイファス演じる主人公とのバランスが崩れているせいか、これでは観客はアービングの方に肩入れしてしまう気がしました。本来なら群像劇がふさわしく、せめてアンサンブルとしてのバランスがあってよいと思います。その部分を演出側も演じ手も意識が足りないのではないかと感じました。
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