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2010年8月 2日 (月)

『エビータ』

Evita_2 ☆☆1/2 悪くはないけれどなあ。
 アンドルー・ロイド・ウェバー作曲、ティム・ライス作詞コンビによるミュージカルの中で、個人的には一番気になっていた作品でした。ステージを映画にするにあたって、そのプラスアルファを何にするかというのが大きいわけです。これは監督があのアラン・パーカー(期待度上昇)、主演がマドンナ(期待度ダウン)、結果からいうと「悪くはないけれどなあ・・・」と奥歯に物が挟まるような表現になってしまう作品でした。
 物語の進行は非常に手際よく、またモブシーンやカットバックなどの映画ならではの演出は効果的に用いられています。しかし全体の流れはあらすじを追うことに精一杯で起伏に乏しく、どこかせわしない一本調子なものを感じます。これは明らかにアラン・パーカーの手腕に問題があります。またダリウス・コンジの撮影も時代物らしい画調は理解できますが、それが作品のカラーにあっているとは思えませんでした。マドンナはミスキャストとまでは言いませんが、どうしても彼女のアーティストとしてのバックグラウンドが鑑賞中に邪魔をします。エビータの生き方にマドンナの生き方がダブるのは悪いことではありません。しかしこの作品の肝は毀誉褒貶の激しいエビータとはどんな人間であったかを語ることにあり、そしてそれが永遠の謎で終わったがゆえの魅力であるということにあるとするならば、彼女のパブリックイメージは知られすぎているという意味でマイナスの影響が大きかったのではないでしょうか。ジョナサン・プライスは添え物的な役柄にアクセントを与えていてさすがの貫禄。狂言回し以上の存在感があるチェを演じたアントニオ・バンデラスは儲け役でした。
 悪い作品ではありません。でもこれならばステージをみた方がよい気がします。

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