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2010年5月 5日 (水)

『パコと魔法の絵本』

Pako ☆☆1/2 通じなかった3発目のマジック。
 大好きな中島哲也監督の新作だったので期待度大だったのですが、残念ながら全2作ほどの満足感はありませんでした。
 考えてみるとかなり悲劇的な物語を徹底した作り込みの世界で喜劇としてしまう、いわゆるトラジックコメディで開花した中島監督が今回選択したのは、後藤ひろひと作・演出の舞台「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」。素材としては悪くない(事実、日本映画専門チャンネルでオンエアされた舞台版は楽しめた)し、中島監督が好みそうな世界だというのも納得できましたが、ただいくら何でも今回の作り込みはデメリットの方が多かったのかも知れません。まずデジタルエフェクツが稚拙。きっとわざとだったのかもしれませんが、私にはアラとしか受け取れませんでした。さらにいつもなら冴え渡る小ネタの数々が連鎖しないし、泣きの演出も白々しい。演技陣のど派手メイクも効果があったとは思えず、これならばかえって「白い巨塔」のようなプロダクションデザインでやった方が面白かったかもと思えたほど、そのけばけばしさには辟易しました。そう、あのウォーレン・ベイティ監督の『ディック・トレイシー』をみた時の感覚に近いかもしれません。
 3度目のマジックは通じなかった中島監督。しかし彼の引き出しはこんなものではないはずです。通算7作目となる次回作『告白』に、またまた期待してみたいと思います。

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