『野火』
☆☆☆1/2 無常に死をみつけた先。
これはすごかったです。みる人に何も言わせない鋭さと、それでもみずにはいられない輝きのある名作です。ここまでくると戦争がどうとか、生きることがどうとか、言うこと自体をおこがましく感じます。無常の中で死を見つめることでしか達することができない世界。実はロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』なんかも、底流には似たものが流れているような気がします(あちらの場合は戦争ではなく人種差別が背景ですが)。あの大岡昇平の原作をきちっと映画として成立できるように再構築したシナリオの巧さ。スコープサイズのモノクロ映像を駆使して飢餓感を演出できる映像術。そして船越英二をはじめとする役者陣の存在感。唸るしかありません。
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