『闇の子供たち』
☆1/2 勇気だけは買う。
ここ最近社会派作品をみる機会が多かったせいなのかもしれませんが、この作品への評は辛いです。
こういう素材をとりあげるのはインディ作品のアイデンティティにも関わるところだと思いますし、この点は製作者側の勇気は大いに賞賛したいです。しかも表現にもきちっとした一線を持っていることが伝わってきました。題材をただセンセーショナルなものとしてとりあげなかったところは立派です。しかし視点が臓器売買、児童買春などととっちらかってしまった上に、どれも中途半端な掘り下げ方で終わった上に、物語自身に切羽詰まったサスペンスもなければ、ドラマも弱い。つまり映画としての魅力も社会派作品としてのパワーにも決定的に欠けていると言うことです。これは『KT』『亡国のイージス』のように見かけ倒しな社会派が並んでいる阪本順治の過去の作品をみれば、監督の演出に問題があったのは明らかでしょう。また賛否両論ありそうなあの終わり方ですが、私は正直「はぁ?」と感じてしまいました。結局日本人側の登場人物が誰も手を汚しておらず、その上、誰もがその安全な日常のままで物語を終えてしまっていることに、作り手の腰の引け具合を感じてしまうのです。
勇気だけは買います。でもそれだけの作品です。
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