『めまい』
☆☆☆ ヒッチコックの絢爛大変態絵巻。
ヒッチコックの中で未見になっている作品はまだまだありますが、有名なところではこれがそうでした。ところがふたをあけてびっくり! いやあ、もうヒッチコック作品にはフェティッシュな香りがにじみ出していますが、もうこれはそんなレベルじゃありません。もう全編フェティッシュな要素がむんむん。まあ高所恐怖症が大きなモチーフとはなっていますが、キム・ノバクのあとをつけるあたりの息をのむようなカメラワーク、再会してからのノバクに対してのさまざまな要求、などなど。もう映画自体がヒッチコック自身が自らの変態性をさらけ出しながら楽しんでいる悪夢のような世界。それでいて思わず引きこまれてしまうような絢爛たる映像絵巻。同工異曲とも言えるデパルマの『ボディ・ダブル』なんぞとは格が違いました。
万人が好む作品とは言えないかも知れませんが、ヒッチコック作品の中で最もエロティックで美しい、大人だからこそ楽しめる作品だと思います。
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