『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』
☆☆ 風刺としてもコメディとしてもぬるい。
マイク・ニコルズの新作はいかにも彼らしい風刺劇を題材にしています。何しろアフガン侵攻に抵抗していたムジャヒディーンを援助してしまう議員の話であり、しかもそのムジャヒディーンたちが後にタリバンとなってしまうのですから。ところがこれがぴりっとしてこない。なぜなら映画ではその部分はさらりと描いてしまい、トム・ハンクスがした行為自身を自虐的に描けていないからです。この議員の俗物ぶりやその後のことが出てきていません。これはまさに政治家の私的な行動が招いた戦争であって、とばっちりをくうのは何も知らされない私たちです。後先考えない行為が政治の世界では取り返しのつかないことになってしまうわけで、ここは徹底的にやるべきでした。風刺としてもコメディとしてもぬるいとしか言えない完成度です。
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