『12人の怒れる男』
☆☆1/2 現代ロシアの文明論。
ルメットの名作をニキータ・ミハルコフがリメイク! しかも100分弱だった本編が、150分だあ? そんなバカなと思いながら見逃していた作品。まあ、腐ってもミハルコフなので見応えはありました。しかしオリジナルにあった本当に少年は無実なのかどうかと言う謎解き要素がなくなってしまい、話の中心が彼を有罪にするの無罪にするのかというところにシフトしてしまったことは映画としてのおもしろさを失わせてしまいました。その上、陪審員の身の上が見え隠れする程度の描き方だったオリジナルに対して、現在のロシアが抱える社会問題をあからさまにてんこ盛りにしたので、逆に興ざめでした。それならば別に陪審員でなくてもよかったのではという感じがしたほどです。それでも文明論のようなダイアローグの応酬は興味深いものがあり、ひょっとすると舞台劇として成立した方がおもしろい物語になったかもしれません。
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