『兄貴の恋人』
☆☆1/2 男主体の森谷作品。
森谷司郎といえば超大作! 自然VS人間! そう思うのは私の世代らしく、少し上の世代の方は「青春物だろう、森谷は」となるようなのですが、その代表作のひとつがこれです。よいテンポで話が進み、私もついつい見入ってしまいラストまで。加山雄三の天然ぶりに多いに大笑い(そして時に苦笑)。なんというか若大将になり損ねた若大将みたいなキャラクターでした。で、そのキャラが行くところ行くところで女心を揺さぶり続けるという物語です。でもそれが結局森谷監督の限界にもなっていて、結局この描き手も女心を理解していなかったのではないでしょうか。せめて成瀬巳喜男のカケラ程度のセンスがあれば、少なくとも加山雄三主体の作品にはならなかったはずですし、もっと違ったタッチの作品になったように思います。宮口精二がおいしいところをさらっているのもあわせて、やはり男のドラマの監督さんなのかもしれません。肝心の内藤洋子ですが、この人がなんでそんなに注目されたのか理解できませんでした。私だったら断然酒井和歌子です(笑)。プログラムピクチャとしてはなかなかの出来映え、森谷監督のルーツとしても興味深い作品でした。
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