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2009年5月14日 (木)

『天然コケッコー』

Tennnen ☆1/2 無作為という作為。
 えらく評判がよかったのでみたのですが、これはいけません。『リンダ・リンダ・リンダ』の方がずーっとよかったです。何がよくないかって、無作為を装う作為が鼻につくことです。映画とは所詮フィクションであり、リリカルな思春期を徹底的にウソで飾り立ててリアリティを出したのが大林宣彦作品。他方できるかぎりナチュラルな描写をきちっとしたウソの上に成立させたリアリティが山下敦弘作品。何より山下演出のすごみは「そういうことあるある」という普遍性を保ちながら、映画としてドラマツルギーを感じさせるところにあると思います。すると重要なのは構成なのですが、ここまで何もない日常だけで並べたことがかえってうそ臭くなるところが映画の難しさ。これだけ何の脈絡もなく並べられると夏帆の心の変化がまったくわからないのです。現実はもっとフィクションよりもドラマチックです。おそらくそれは役者側の力不足もあったかと思うのですが、それでも『リンダ・リンダ・リンダ』であれほど引き出せた技量があるゆえに不満になります。

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