12人の怒れる男 評決の行方
☆☆ 悪くはないが。
ルメットの名作をぬわんとウィリアム・フリードキンがリメイクしたテレフィーチャーです。ものすごくキャストが豪華でジャック・レモンをはじめ、そうそうたる顔ぶれ。ただ全体的に平均年齢が高く、ヒューム・クローニンがお年寄りという感じがしないのは残念でし。また有色人種の俳優さんをキャスティングしたこととはオリジナルとの大きな違いで、時代を投影していると思います。ほぼオリジナルの脚本通りで悪くはないのですが、緊迫感はルメット版には及びません。ディスカッションドラマの王道でクローズアップを重視した構図で構成していたのに対し、こちらはグループでとらえることが多く、悪くはないのだけれど印象が薄い感じがしました。最後の陪審員3番の場面処理に関しても大きな効果までは得られていません。ただ俳優さんの演技という側面ではこの比較は興味深く、いろいろと考えさせられました。では私の独断による演技対決12番勝負!
陪審員1番:引き分け
マーティン・バルサム○
コートニー・B・ヴァンス○
陪審員2番:オリジナル
ジョン・フィードラー○
オシー・デイヴィス×
陪審員3番:引き分け(これはどっちも素晴らしい)
リー・J・コッブ○
ジョージ・C・スコット○
陪審員4番:リメイク(ハイレベルだったけど、スタールの方が嫌味さまで出している)
E・G・マーシャル×
アーミン・ミューラー=スタール○
陪審員5番:オリジナル
ジャック・クラグマン○
ドリアン・ヘアウッド×
陪審員6番:リメイク(さすがソプラノズ!)
エドワード・ビンズ×
ジェームズ・ガンドルフィーニ○
陪審員7番:オリジナル(このいい加減さはウォーデンに軍配)
ジャック・ウォーデン○
トニー・ダンザ×
陪審員8番:オリジナル(断然フォンダ! レモンでは高齢すぎ)
ヘンリー・フォンダ○
ジャック・レモン×
陪審員9番:オリジナル(今回のクローニンでは威厳ありすぎ)
ジョセフ・スィーニー○
ヒューム・クローニン×
陪審員10番:オリジナル(これはリメイク版がミスキャスト)
エド・ベグリー○
ミケルティ・ウィリアムソン×
陪審員11番:リメイク(移民ゆえの苦悩[だから言葉遣いまで気を遣っていたのかも]まで出ていてオルモスが秀逸)
ジョージ・ヴォスコヴェック×
エドワード・ジェームズ・オルモス○
陪審員12番:オリジナル
ロバート・ウェッバー○
ウィリアム・L・ピーターセン×
というわけでオリジナルの7勝3敗2分!
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