『ウォッチメン』
☆☆ 絵を動かしても映画にはならない。
アラン・ムーアの原作は未読。徹底した描き込みの原作はずっと映像化不可能と言われていました。そんなコミックとしての衝撃もそれほど理解していない私にとってのポイントは映画としておもしろいかどうか。その点でこの作品に合格点はあげられません。原作を実在社会にヒーローがいたらどうなるかを突き詰めた作品だと柳下毅一郎さんは述べていますが、その割にはポリティカルなメッセージは希薄。結局監督のザック・スナイダーは『GOEMON』の紀里谷監督と同じように(いや、あそこまではひどくないか)、徹底して描きこめば解決する、映画への移植なんてちょろいと思っているのかもしれません。前作の『300』にも辟易しましたが、そのまま移しかえたところで映画になるわけではなく、この作品も活劇的興奮度に乏しく、知性も感じられない作品でした。ただひとつ、ロールシャッハのジャッキー・アール・ヘイリーには拍手。これはかっこよかったです。
私はDr.マンハッタンのブルーとその光を受ける他の人物のブルーの色合いが違うことがずっと気になりました。どれだけ描きこんでもその程度。だったらそんなことに気づかせない作品にしてほしいところです。
(109シネマズ港北1にて)
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