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2009年5月11日 (月)

『ヒトラーの贋札』

Hitnise ☆☆☆ 生きることへの信念と葛藤。
 ネタがこういう内容なのでいわゆるヒューマンドラマなのかと思ったら、どうしてどうして。むしろハードボイルドという言葉の方が似合いそうな男のドラマでした。実話がベースになっているとのことですが、こういう形で再構成したのは見事の一言です。何より表層的な善悪にとらわれずにサロモンをめぐる人々の「生きる」ことへの葛藤を描き、それを贋札製造過程のサスペンスの中に織り込んだ手腕を高く評価したいと思います。オープニングとエピローグにカジノのエピソードを持ってきたことも効果的で、サロモンの生き様に深く胸をうたれます。
 単純な感動ものではありませんし、ホロコーストを背景にした重厚な物語ではありませんが、しかしそれ以上に「生きる」ことへの信念とは何かを命をかけて行動で示さねばならなかった男たちの物語として、みた人の心に迫ってくる作品です。

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