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2009年5月31日 (日)

USJに行っちゃった! その5

さあ、最後だ!

「シュレック 4-D アドベンチャー」
舞浜で言うところのミクロアドベンチャー。なのですがこれはおもしろかった! 『シュレック』の1に続く形になっている(というか1を絶対にみておいた方がいいと思う)。入場待ちのところから遊び心いっぱいで、もう大笑い。映画の楽しさをライブで味あうという意味ではこれが一番質が高かったと思います。ファミリーにも超おすすめ。
オススメ度☆☆☆☆

「ウォーターワールド」
Dscn2000ショー型アトラクション。まさかケビン・レイノルズのあの作品がアトラクションになるとは、と驚いた日が懐かしい。あの映画でいうとアトールをスモーカーズが襲撃するシーンがメインで、そこにクライマックスのタンカーアクションが加わっている感じ。これはもうさすがです。こういうのは映画をみておいた方が楽しさも倍増するでしょう。
オススメ度☆☆☆1/2

と、ここまでを朝イチから3時頃までにすべて楽しめてしまいました。おそるべしエクスプレスパス! 金の力に物を言わせた感じがしました(笑)。

<まとめ>
一度来てみたかったし、そこそこ楽しかったのですが「もう一度来たいか?」と尋ねられると、正直答えに困ります。ここにはまた来たいと猛烈に思わせる何かが足りない気がするのです。ブログの途中で何度も比較した舞浜のねずみリゾートとの違い、それは全体の演出力とオリジナリティにあると思うのです。端的なのは背景。舞浜が生活感のあるものがあまり見えないのに対し、ここは首都高速が丸見え。もうこれだけで興ざめです。さらによくわからないキャラクターの共演。最近ではますます節操がなくなってきているようで、映画の舞台裏へようこそ!というムードをもっと徹底して出した方がよい気がします。次はいつかなあ・・・。
Dscn2001

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2009年5月30日 (土)

USJに行っちゃった! その4

ガンガン行くぜぃ!

「E.T. アドベンチャー」
すでに今年の5月で営業は終わりました。雰囲気としては舞浜の名作童話アトラクション系で刺激控えめ。映画の続きという設定ですが、この作品にまったく思い入れのない私にはおもしろくありませんでした。とりあえずゴールで名前を言われるのは1人遊びのおじさんにはかなり恥ずかしいものがありました。
オススメ度☆

「ジョーズ」
ジャングル・クルーズアミティ支店。これはライドにつくガイドさんの腕にかなり左右されるアトラクションでしょう。
オススメ度☆1/2

「ターミネーター2:3-D」
3で気分を害した身としてはすごく楽しみにしていました。だってキャメロン制作の正式な作品ですもん。スタッフ・キャストはほぼ2のメンバーが踏襲。大きな変化は撮影監督がラッセル・カーペンター(『タイタニック』)に、視覚効果のメンバーがILM(スーパーバイザーはデニス・ニューレン)からデジタルドメイン(スーパーバイザーはジョン・ブルーノ)になったこと。舞浜で言うところのミクロアドベンチャー、はたまたキャプテンEOなわけですが、これはもうさすがな感じ。65ミリカメラ2台を組み合わせた立体映像は素晴らしいです。またライブアクションや劇場内のギミックもうまく組み合わてありました。でもイントロダクションの綾小路麗華は余計だと思います。
オススメ度☆☆☆
Dscn1998 Dscn1999

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2009年5月29日 (金)

USJに行っちゃった! その3

どんどん行くぞ!
「バックドラフト」
映画のクライマックス、工場での火災現場の撮影とう設定で、燃えさかる炎を体験できます。でもこれが撮影現場と言われてもなあ。火の迫力はすごいですが、あっけない感じもします。かなりびっくりします。泣いてた子ども多数。安全上の関係でみる位置が制限されている関係で傍観者って感じが微妙。最前列でみたい人は並ぶときに一番右を選びましょう。
オススメ度☆☆

「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド」
ライドで移動しながら3D映像を楽しむアトラクションで、舞浜で言うところのバズ・ライトイヤー。でもこちらの方が完成度は高いと思います。ただ映画版とはまったく無縁。
オススメ度☆☆☆

「ジュラシック・パーク・ザ・ライド」
舞浜でいうところのジャングル・クルーズ+スプラッシュ・マウンテン。とりあえず恐竜を楽しみにしている人には詐欺のようなアトラクションです。映画の楽しさはまったくありません。有料でポンチョを売っていて思わずスタッフの人に「そんなに濡れるんですか?」と聞いたら、「濡れるときはすごく濡れますよ!」(笑)。私も微妙に濡れましたが夏なので無問題。
オススメ度☆☆

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2009年5月28日 (木)

USJに行っちゃった! その2

 そもそも行く気になったのは並ばなくていいというチケットの存在を知ったから。有料のエクスプレス・パスが販売されていて、これを利用すると待ち時間が大幅に短縮。ディズニーランドでいうところのファストパスですが、あちらは無料。こちらは有料。初期費用はほぼ舞浜の2倍になりました。さすが関西! でも1人でフットワークも軽いわけで、そういう意味では有効な投資と言えるでしょう。
Dscn1997 まず最初に体験したのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」でした。なんと言ってもデロリアン! そしてダグラス・トランブルですよ! このアトラクションはあの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(正確に言うとPARTIIが一番関係しています)をモチーフにしています。で、このライドの演出を担当しているのが『未知との遭遇』や『ブレードランナー』を担当した視覚効果の大御所ダグラス・トランブルなわけです。この映像はオムニマックス(IMAXのドーム映写用システム、アメリカでは現在IMAX domeという名称の方が一般的)で撮影されていて、モーションライドで楽しむアトラクションですが、正直時代の流れを感じました。今はこのぐらいではビックリしないかもしれません。本家の方ではすでに営業終了。日本でもそろそろかもしれません。この作品が好きな人は1度は是非!ですが、思い入れがない人にはおすすめしません。
オススメ度☆☆1/2

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2009年5月27日 (水)

USJに行っちゃった! その1

Dscn2002  ここしばらく今頃アップするのかい?というネタが登場します。2006年の夏にようやくユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行きました。2006年7月30日にこんな記事をアップしてまして、結局私の旅の目的地はどうなったか。パソコンのデータを整理していたら走り書きが出てきたのです。出し遅れの何とやらかも知れませんがおつきあいください。

 なーんとユニバーサル・スタジオ・ジャパンになってしまいました(爆)。全然昨日出発前どころか移動中ですらちーっとも頭になかったのですが、大阪に移動してからふと思いついてしまった次第。ここができたのは2001年にオープン。私はまだ行ったことがありませんでした。オープンした次の年の夏に相方に「ひとりでいってもいい?」と気軽に聞いたら、上の子がまだ1才になる直前で育児に奮闘中だったせいか、めずらしく真顔で「行ったら殺す」と答えられました(いや、普段はそんなキャラじゃないのですが)。そういやこの夏だけひとり旅のOKが出なかったのだなあ(もう一度念をおしますが妻は温厚で本当に出来た人です、ハイ)。で、ようやくというか何というか出かけました。
 まあ夏休み、おやじひとりというのはきわめて特殊な状況でしょうからちと恥ずかしいかったのですが。大阪自体はこれで4回目。じっくりするのはこれで2度目。でもいまだに地理的な関係が把握できません(汗)。でもまあ無事到着。ゲート前につくと年甲斐もなくウキウキします。

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2009年5月26日 (火)

第62回カンヌ国際映画祭結果

 グランプリはミヒャエル・ハネケがついに獲得しました。そしてシャルロット・ゲーンズブールが女優賞。うれしいなあ。注目は男優賞を獲得した『イングロリアス・バスターズ』。タランティーノの新作は賛否真っ二つだったようで。結果は以下のとおり。

【パルムドール】"Das Weisse Band"
【グランプリ】"Un Prophete"
【監督賞】ブリラント・メンドーザ "Kinatay"
【脚本賞】メイ・フェン "Spring Fever"
【男優賞】クリストフ・ワルツ『イングロリアス・バスターズ』
【女優賞】シャルロット・ゲンズブール "Antichrist"
【審査員賞】"Fish Tank" "Thirst"
【カメラドール】"Samson and Delilah"
【審査員特別賞】アラン・レネ

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2009年5月25日 (月)

『クライマーズ・ハイ』

Climber ☆ 最悪の出来、最低の志。
 横山秀夫の作品はプロットは別として男優陣には魅力的でしょう。『半落ち』は柴田恭兵と寺尾聰をはじめとして脇役までよいお芝居が並んでいましたし、警察機構を独特の視点で描いている『陰の季節』シリーズはテレフィーチャーの中でもひと味違う面白さがありました。その横山秀夫の原作でNHKが過去映像化したこともある本作。結論から言えば最悪の出来、最低の志と言わざるを得ません。
 原田眞人の資質はかこの作品でそれなりにわかっていました。たとえ『突入せよ!「あさま山荘」事件』のように体制側の方から描いても、ちゃんとエンターテイメントしてあれば私はよいと思います。実際あの映画はおもしろかった。ところがこの人は森田芳光のように演出にあざとさを感じることがあり、何もこの作品をポール・グリーングラスのように撮る必要はないだろうと思いました。阪本善尚という天才カメラマンを失った時点で、この作品はこういう撮り方をすべきではなかったと思います。さらに登場人物のバックグラウンドを必要以上に描こうとしたために、家族の存在が物語から浮き、ラストはなんじゃこりゃという気持ちしか浮かびません。あの誰もが言葉を失うしかなかった事件の中で新聞記者たちが考えたことは、そんなレベルじゃなかったはずです。役者陣は崩壊状態。役所広司ぐらいの核がいないと群像劇は成立しません。堤真一はその器ではなく、堺雅人や高嶋政宏もバツ。他の役者陣ががんばっているだけに余計にそれが目立ちます。
 原田眞人監督の姿勢は、タブロイドマガジンがセンセーショナルに事件事故をとりあげるだけなところに通じます。その上、近年は俺の描き方の何が悪いとふんぞりかえるような姿勢が見え隠れします。でもこの題材でそれはないでしょう。志をまちがえてはいませんか?

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2009年5月24日 (日)

『フィクサー』(2007)

Michael ☆☆ 切れ味が鈍い社会派。
 『ボーン・アイデンティティー』シリーズのシナリオを担当したトニー・ギルロイの監督作品で、ジョージ・クルーニーもかんでいるということで、もう少し社会派っぽい作品をイメージしていたのですが、そこまで鋭い切れ味はありませんでした。クルーニーがらみで言うと『シリアナ』がオイルマネーの世界を複合的な要素で描き、興味深い視点を提供したのに対し、この作品で描かれる訴訟がらみの企業の汚さには既視感があります。そうするとキャラクターでみせる必要が出てくるのですが、そこまでの奥行きはありません。もう少しもみ消し屋の細かいエピソードが出てきていると違ったかも知れません。

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2009年5月23日 (土)

それは突然止まったのです その4

 さらにいざ回線をひく時に困ったのが、V-ONUと呼ばれる終端装置をどっちに置くか。私はそれほどこだわりがあるわけではないものの、一応常識的なセオリーとして、PC系とAV系は電源をわけていました。またケーブル類もLAN関係とAV系の取り回しは極力別にしていました。V-ONUは今回パソコン関係だけではなくテレビの受信関係の役割を果たしています。その設置にかなり頭を悩ませました。今のところ落ち着いていますが、もうちょい何とかしたいなあと思っています。
 で、肝心の受信ですがやはり安定していますね。ちょっとやそっとの天候ではへこたれません。昨年のゲリラ豪雨でかなり痛い目に遭いましたのでこれはありがたいです。イッツコムがなくなってボーッとCS系がみられなくなったのは寂しいですが、それはそれ。また考えます。さあ次はブルーレイプレイヤーだ!(その前にプロジェクターのランプ交換があるか<<おいおい、まだだったんかい!)

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2009年5月22日 (金)

それは突然止まったのです その3

 一番の問題は複数台あるPCのネット接続でした。まあ酷使しているのは私のだけですが、他にも数台、ウェブで動くアプリケーションがあったりしますし、最低セキュリティソフトのウィルス定義ファイルの更新が必要です。当然アナログモデムではあまりにも遅すぎます。そこで考えたのが普段利用しているノートPCのためのネットカード。イーモバイルのカードをリーダーか何かで接続して共有すればいい。そう思ってIOデータの商品2つを買いましたが・・・イーモバイル系のカードは両方とも対応外でした(涙)。なんか久しぶりに週刊アスキーのとほほちっくな行動をしてしまった・・・。ちゃんと購入前にチェックすればよかったのになあ。仕方なく仕事場から毎日ノートPCを持ち帰り、わざわざ常時接続環境に変えて、それを共有接続にしてやってました。でも我が家は私の部屋の電波環境が極端に悪く、3FにノートPCを置き、そして有線LAN接続。しかも接続のタイミングの問題か、認識しないこともたまにあり、そうすると1Fと3Fを往復するハメに・・・。とりあえず5月末に無事復旧。正直スピードはひかりoneと比較すると落ちた気がしますが、まあよしとしましょう。
 肝心のシアターまわりの変化は明日。

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2009年5月21日 (木)

それは突然止まったのです その2

 そもそものケチのつけはじめはイレギュラーな私の希望にあったようです。光から光、しかもプロバイダ変更は希望しないという移行をまずNTT東日本の処理で受け付けず。いわくひかりoneを解約しないと処理が先に進めないとのこと。まあ確かにこのパターンは少ないのかも知れませんが、とりあえずそれは仕方がないなあと思ってOKしたところ、ぬわんと翌日から我が家のネット回線がすべてストップ! ちょっとまってくれ、そんな説明は受けていなかった。解約自体が即時回線停止を意味するのならば簡単にはOKしないです。我が家は今月いっぱいまでお金は払うわけだし、しかもひかりoneとNTTでは光ファイバー自体は別口ではないか。そんなバカなと思って問い合わせると解約した時点で回線は止まるとのこと。あのねぇ、じゃあ解約しないと工事が進まないのを何とかしないと私みたいに仕事上ネットが不可欠な人はどうするのよー! 空白の期間はどうするのよー。久しぶりにプチッときまして・・・。とりあえず工事日だけは何とかしてもらいました。でもおかげでしばらくの間、我が家はアナログモデムのぴーひゅあひゅあがーの音を聞きました。でもそんなレベルで終わるわけがなく・・・。続きはまた。

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2009年5月20日 (水)

それは突然止まったのです その1

 我が家のテレビ受信環境の見直し。それがすべてのスタートでした。

 今から3年前に新築した一戸建てなので、アンテナをたてるかどうか迷いました。ただすでに引っ越し前からイッツコムと契約していて継続するつもりだったこと。いずれアナログが停波するのでVHFのアンテナを建てるつもりがなかったこと・・・。いろいろな理由でやめたのです。結局最終的にはイッツコム経由によるパススルーで地上波アナログ、デジタル、BS、CSを受信。WOWOWのみセットトップボックス経由の録画がいやだったのでアンテナをたてました。
 しかしここ3年で環境が変わりました。まずブルーレイレコーダーの導入。これでHD映像をディスクで残せるようになりました。するとやはりSTB経由の録画は面倒くさいのです。しかも番組表による録画では一括管理ができません。それからアンテナ経由でスターチャンネルを受信するようになってから、ぜーんぜん他のチャンネルをみなくなりました。気になるところはあるのですが、他のをみている時間はないという感じです。なのでイッツコムの月々の金額が無用に感じられるようになったのです。さらに家族用のテレビはまだアナログテレビが頑張っていますが、それでもいずれデジタル環境になります。ならばいっそのことと、見直した結果、フレッツ光の受信サービスにすることにしたのです。ついでにネットも今までのひかりoneからフレッツにすることに。

 それがまさかあんな大事になるとは・・・。以下しばらく続きます。

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2009年5月19日 (火)

新宿ジョイシネマも閉館

 新宿歌舞伎町の新宿ジョイシネマ3館が、5/31で閉館するそうです。昨年末から新宿プラザ、新宿コマ東宝、新宿トーアと続いてきたこのエリアの閉館ですが、これでいよいよ東急レクの3館と東亜興行の4館のみ。もし映画館がなかったら私はまず間違いなく近づかなかったエリア(いや、かっこつけるわけでなく。だって怖いですもん)。そういう効果も含めて地盤沈下は思う以上に激しいのかも知れません。ここにシネコンを作る話も流れたようですし。さあ映画館街として復活する可能性はあるのでしょうか。

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2009年5月18日 (月)

『ペネロピ』

Penelope ☆☆☆ さじ加減が絶妙。
 またまたシガーロスが使われている予告編にひかれてみてしまいました。ここしばらくだけでも『アフターウェディング』『こわれゆく世界の中で』とあるのですが、この作品もまたぴったりはまってました。シラノ・ド・ベルジュラックから続く恋愛を左右する外見と中身という物語上の恋愛における障害を、すっかり垢抜けた印象のクリスティーナ・リッチの個性をうまくいかして扱っていました。まあ、話としてはもうひとつ深みはないのですが、かといって『魔法にかけられて』よりはセンスの良さを感じます。ラブコメディでありながらまったく毒がないわけでもなく、かといってイヤミになるほどの過剰さもなく、さじ加減としては絶妙でしょう。両親を演じるリチャード・グラント、キャサリン・オハラの存在もよく、相手役のジェームズ・マカヴォイも好感が持てます。
 デートムービーとしてもミニシアター系が好きな人にもおすすめです。

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2009年5月17日 (日)

日本の12人はこの人たちで

というわけで前日の『12人の怒れる男』をみて思い出したこと。裁判員もはじまることですし、もし日本でこの映画をリメイクするとしたら、今のキャスティングはどうするか。私ならこうします。

1:三浦友和
2:前田吟
3:船越英一郎
4:松本幸四郎か中井貴一
5:山田辰夫
6:六平直政
7:なぎら健壱
8:渡辺謙
9:中村嘉葎雄
10:泉谷しげる
11:遠藤憲一
12:ルー大柴

我ながらいい出来映えな気がします。みなさんのご意見をお待ちしてます(笑)。

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2009年5月16日 (土)

12人の怒れる男 評決の行方

12angwi ☆☆ 悪くはないが。
 ルメットの名作をぬわんとウィリアム・フリードキンがリメイクしたテレフィーチャーです。ものすごくキャストが豪華でジャック・レモンをはじめ、そうそうたる顔ぶれ。ただ全体的に平均年齢が高く、ヒューム・クローニンがお年寄りという感じがしないのは残念でし。また有色人種の俳優さんをキャスティングしたこととはオリジナルとの大きな違いで、時代を投影していると思います。ほぼオリジナルの脚本通りで悪くはないのですが、緊迫感はルメット版には及びません。ディスカッションドラマの王道でクローズアップを重視した構図で構成していたのに対し、こちらはグループでとらえることが多く、悪くはないのだけれど印象が薄い感じがしました。最後の陪審員3番の場面処理に関しても大きな効果までは得られていません。ただ俳優さんの演技という側面ではこの比較は興味深く、いろいろと考えさせられました。では私の独断による演技対決12番勝負!

陪審員1番:引き分け
マーティン・バルサム○
コートニー・B・ヴァンス○
陪審員2番:オリジナル
ジョン・フィードラー○
オシー・デイヴィス×
陪審員3番:引き分け(これはどっちも素晴らしい)
リー・J・コッブ○
ジョージ・C・スコット○
陪審員4番:リメイク(ハイレベルだったけど、スタールの方が嫌味さまで出している)
E・G・マーシャル×
アーミン・ミューラー=スタール○
陪審員5番:オリジナル
ジャック・クラグマン○
ドリアン・ヘアウッド×
陪審員6番:リメイク(さすがソプラノズ!)
エドワード・ビンズ×
ジェームズ・ガンドルフィーニ○
陪審員7番:オリジナル(このいい加減さはウォーデンに軍配)
ジャック・ウォーデン○
トニー・ダンザ×
陪審員8番:オリジナル(断然フォンダ! レモンでは高齢すぎ)
ヘンリー・フォンダ○
ジャック・レモン×
陪審員9番:オリジナル(今回のクローニンでは威厳ありすぎ)
ジョセフ・スィーニー○
ヒューム・クローニン×
陪審員10番:オリジナル(これはリメイク版がミスキャスト)
エド・ベグリー○
ミケルティ・ウィリアムソン×
陪審員11番:リメイク(移民ゆえの苦悩[だから言葉遣いまで気を遣っていたのかも]まで出ていてオルモスが秀逸)
ジョージ・ヴォスコヴェック×
エドワード・ジェームズ・オルモス○
陪審員12番:オリジナル
ロバート・ウェッバー○
ウィリアム・L・ピーターセン×

というわけでオリジナルの7勝3敗2分!

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2009年5月15日 (金)

『スパイダー』(2001)

Acspid ☆☆ モーガン・フリーマンの悪役を再び!
 みたことを忘れていたアレックス・クロス捜査官が活躍するシリーズ。実は『コレクター』(1997)の続編です。ジェリー・ゴールドスミスの音楽がよく、途中まではわりと楽しめたのですが、モーガン・フリーマンの刑事役に新鮮味がないのと、謎解きが進むにつれて物語展開の勢いがトーンダウンしてしまい、もったいない感じがしました。

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2009年5月14日 (木)

『天然コケッコー』

Tennnen ☆1/2 無作為という作為。
 えらく評判がよかったのでみたのですが、これはいけません。『リンダ・リンダ・リンダ』の方がずーっとよかったです。何がよくないかって、無作為を装う作為が鼻につくことです。映画とは所詮フィクションであり、リリカルな思春期を徹底的にウソで飾り立ててリアリティを出したのが大林宣彦作品。他方できるかぎりナチュラルな描写をきちっとしたウソの上に成立させたリアリティが山下敦弘作品。何より山下演出のすごみは「そういうことあるある」という普遍性を保ちながら、映画としてドラマツルギーを感じさせるところにあると思います。すると重要なのは構成なのですが、ここまで何もない日常だけで並べたことがかえってうそ臭くなるところが映画の難しさ。これだけ何の脈絡もなく並べられると夏帆の心の変化がまったくわからないのです。現実はもっとフィクションよりもドラマチックです。おそらくそれは役者側の力不足もあったかと思うのですが、それでも『リンダ・リンダ・リンダ』であれほど引き出せた技量があるゆえに不満になります。

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2009年5月13日 (水)

『忠臣蔵外伝 四谷怪談』

Yotucyu ☆☆☆ 番外編と侮るなかれ!
 きわものだろうとタカをくくっていたのですが、さすがは深作欣二。これをここまで料理するとは恐れ入りました。ご存じの方もいるかと思いますが、四谷怪談ではもっともポピュラーな鶴屋南北作の「東海道四谷怪談」は「仮名手本忠臣蔵」の外伝として書かれています。ですからこの2つ、まったく無縁ではありません。しかし過去の映像化作品でここまでとりこんだことはなかったと思います。うまいなあと思ったのは民谷伊右衛門の苛立ちを赤穂の浪人に重ね合わせたことと、人の生死への罪悪感を仇討ちの功罪との裏表にしたこと。このあたりは忠臣蔵の名手と呼ばれる古田求の貢献が大だと思います。またいかにも深作らしい人物造形のたたせ方もおもしろく、中でも荻野目慶子、石橋蓮司、渡辺えり子の伊藤家三人は強烈な印象を残します。反面お岩をめぐる物語は弱くなってしまい、高岡早紀が熱演しているものの、この点はやや物足りない感じです。ゆえに後半の討ち入り時のお岩の超能力まがいの暴れ方には興ざめでした。佐藤浩市も当時ではやや荷が重かった印象で、完全に脇役に食われています。
 それでも番外編と呼ぶにはおもしろすぎ。よくある忠臣蔵に食傷気味の方にぜひおすすめしたい作品です。

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2009年5月12日 (火)

『決断の3時10分』

310toyu ☆☆1/2 アメリカらしい正義についての考察。
 ラッセル・クロウとクリスチャン・ベール共演でリメイクされた(ようやく日本では8月公開決定らしい)西部劇。エルモア・レナードといえば『ジャッキー・ブラウン』などの原作を書いたことでも知られていますが、こういう作品もあったとは知りませんでした。というかリメイクされることを知らなければ、あまり興味がわかなかったかもしれません。ヴァン・ヘフリン演じる牧場主が揺らぐ姿、そして悪のカリスマとして魅力的なグレン・フォードを対照的な描きながら、いかにもアメリカらしい正義についての物語が展開します。
 歴史に残るような秀作ではありませんが、グレン・フォードという役者さんの魅力を再認識させてくれる佳作です。

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2009年5月11日 (月)

『ヒトラーの贋札』

Hitnise ☆☆☆ 生きることへの信念と葛藤。
 ネタがこういう内容なのでいわゆるヒューマンドラマなのかと思ったら、どうしてどうして。むしろハードボイルドという言葉の方が似合いそうな男のドラマでした。実話がベースになっているとのことですが、こういう形で再構成したのは見事の一言です。何より表層的な善悪にとらわれずにサロモンをめぐる人々の「生きる」ことへの葛藤を描き、それを贋札製造過程のサスペンスの中に織り込んだ手腕を高く評価したいと思います。オープニングとエピローグにカジノのエピソードを持ってきたことも効果的で、サロモンの生き様に深く胸をうたれます。
 単純な感動ものではありませんし、ホロコーストを背景にした重厚な物語ではありませんが、しかしそれ以上に「生きる」ことへの信念とは何かを命をかけて行動で示さねばならなかった男たちの物語として、みた人の心に迫ってくる作品です。

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2009年5月10日 (日)

『シューテム・アップ』

Shoot ☆1/2 どうぞお好きに。
 撃って撃って撃ちまくる映画。ひとことでいえばお馬鹿な映画なのですが、そのわりにはユーモアのセンスが決定的に欠けています。このあたりのさじ加減は監督の腕が必要でしょう。この程度の感想しか書けない、思いつかない、その程度の作品です。

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2009年5月 9日 (土)

『39 刑法第三十九条』

K39☆☆☆ 意欲作だがクリーンヒットにならず。
 森田芳光は私とはどうもソリがあいません。実際歯がゆいのです。多数のひとりよがりと、もっと素直にやれば凄い作品になるのにと思うことが少なからずあるのにと、『それから』という大傑作があることが私をますますイライラさせるのです。で、この作品はいつもよりはまだよかった。それでも、という形容詞をつけざるをえないまたまたもったいない出来映えなのです。
 ストーリーラインは悪くない。刑法39条に題材をとって観客をも巻き込みながらきちっと成立させようとしている。またいつもなら鼻につく銀残し、台詞をまたぐショットのつなぎ方などの小細工も効果が上がっているとはいえないもののこれまた足はひっぱていない。いや、全編をおおう独特のささやくような台詞回しは脇を固めた実力派演技陣によって、心の深淵をのぞき込むような味が出てきた点は評価しましょう。
 しかし決定的な弱点が。(以下ネタバレ。ドラッグ&反転でお読みください。)それは話のカギを握る2つの役がダメだったこと。鈴木京香演じる精神鑑定士の存在は背景まで描きこんでいるにもかかわらず役不足。そしてもうひとり本来はとても重要な役であった山本未来演じる堤真一の恋人(彼女が堤真一へどう関わったかで堤真一の生き方は変わった可能性がある)にいたっては何の重しもはたしていません。世の中で一番謎めいておそろしく、でもいとおしい存在が心を持つ人間であるから刑法39条の難しさがあるにもかかわらず、肝心な登場人物の人間像が描けていないことで、最後の公開鑑定が効いてこない。結果的にクリエイターが39条を題材にしたことだけで自己満足しているような印象を受けてしまいます。
 意欲作であることは間違いなく、さらに邦画では珍しく演技についても楽しめる一品ですが、アラン・パーカーの『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』のように、所詮法制度をセンセーショナルにとりあげただけの、という形容詞もまたついてしまう作品です。

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2009年5月 8日 (金)

『ノーカントリー』

Nocount ☆☆☆1/2 暴力とアメリカについての一考察。
 私にとってコーエン兄弟は『ブラッドシンプル』がまずおもしろくて好きになり、『赤ちゃん泥棒』でそのすっとぼけたユーモアセンスにますます好きになり、『ミラーズ・クロッシング』のスタイルに酔いしれて、これはいよいよすごい監督だと大ファンになりました。しかしその後がいけなくて・・・という話をこの間『バーバー』で書きました。で、この作品は『ファーゴ』みたいなひけらかしにならなきゃいいなあと思っていたのですが、どうしてどうして。久しぶりに才気冴え渡るクールな出来映えになっていました。
 まずハビエル・バルデムの殺し屋が圧倒的。この役に彼をキャスティングした時点で成功は約束されたと言えます。さらに話の三角形を作る残り2人のうち、トミー・リー・ジョーンズの保安官が素晴らしいのです。彼がアメリカという国を俯瞰する存在となっており、この作品が凡百のサスペンスとは格が違うことを示しています。ジョシュ・ブローリンがややタイプキャストで物足りないところはありますが、それでもこの3人が3人それぞれ「暴力」という要素がわりきることのできないぐらい生き方と密接に絡みついており、それがぶつかりあうところが本作のドラマだといえます。そしてロジャー・ディーキンズの撮影が素晴らしい。現在アメリカ映画界で名手は誰かと問われれば彼をあげる人が多いのではないでしょうか。ここでもスコープの構図の中で西部劇のような感覚を持ち込みながら、時に陰影の濃いライティングが効果的です。
 アメリカという国が持つ本質は何なのか。暴力という視点でみた一考察としてもユニークであり、ドラマとしてもサスペンスとしても一級品です。

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2009年5月 7日 (木)

『恐怖のメロディ』

Playmis ☆☆ まだまだ未成熟。そんな頃は誰にでもある。
 イーストウッド初監督作は、エイドリアン・ライン監督の『危険な情事』を彷彿とさせるスリラーでした。しかしあっちがほとんどホラーに近い展開なのに対して、こっちはかなりの正当派。しかもこの頃には珍しい元祖ストーカーでしょう。余談ですがイーストウッドは『白い肌の異常な夜』のように女性不信なんだろうかと考えずにはいられない作品も多く、また女性に逆レイプされる場面のある『ルーキー』など、女性についての視点は特異な感覚を持っています。このあたりで語られるイーストウッド論もあるかと思いますが、デビュー作でこういう内容を扱っていることもふりかえると興味深いですね。ただこの作品は初監督作らしくストーリーテラーとしてはまだまだ未成熟な感じ。おもしろさという部分は今ひとつです。なお前から思ってましたがこの邦題はひどいですね。原題の方がもう少しおしゃれで意味深な感じがよく伝わります。

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2009年5月 6日 (水)

『デコトラ・ギャル奈美』

Dekoto☆☆ 個性はあるものの。
 映画監督の松江哲明さんが絶賛していたのと、監督の城定秀夫さんというのに興味がわいてみました(WOWOWはこういうのもオンエアするので侮れない!)。正直一時期ほどの勢いはないにしてもVシネと呼ばれる作品群は、撮影所システムが崩壊している現在、日本の映画界を背負う人材を育んできた側面があります。私も積極的にみる人ではありませんが、ときどき何かの拍子におっと思う作品と出会える面白さがあります。そのVシネの中でもいわゆるちょっとエッチな作品群の中には性を通してしか描けない人間ドラマをきちんとみつめている作品も存在します。そういう意味で私の中で「この監督、他にないのかなあ」と調べたことのある人が過去4人います。それだけみた作 品におもしろさを感じたのですが、それが成瀬正行、永岡久明、安藤尋(後に『僕は妹に恋をする』も撮る)、そしてこの城定秀夫でした。城定秀夫監督でみたことがあったのは『新任女教師 二人だけの教育実習』。この作品も定番的な展開でありながら、松浦咲希己の魅力と吉岡睦雄(『デコトラ・ギャル奈美』でもおいしい助演)の怪演もあって、印象に残る一作となっていたのです。
 この作品は正直なところ、自分のツボには入りませんでした。吉沢明歩という女優さんの演技が自分の予想範囲を超えなかったことと、いくらなんでも物語展開が雑ではないかと思ったからです。ただ城定秀夫監督のセンスは充分感じられて、おそらく制作上必ず必要であろうメインキャストの濡れ場をあそこに持ってきたのにはびっくり。尺から考えてもかなり異例のことではと思いました。
 もうひとつ、この作品を評価したのが松江さんというのが、いかにも松江さんらしく、もはや童貞研究家の肩書きまでつこうかという松江哲明論(?)を語る上でも、この作品のどこにツボが来たのかを探るのもおもしろいかもしれません。松江さんの話はいずれ。

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2009年5月 5日 (火)

『ミスト』

Mist☆☆☆1/2 絶望感にうちのめされて 。
 ポスト9.11を象徴するようなこの絶望感は見事としかいいようがないフランク・ダラボンの新作。ただただ圧倒されました。
 お話の展開はほとんど過去のB級ホラーに近いものがあり、ひとつ間違えると失笑物です。しかしダラボンはショッピングストアという限定された空間の中に人間同士の葛藤というもうひとつの閉塞的な要素を持ち込んだことで、作品に格のような重さを与えることに成功しました。またそこではマーシャ・ゲイ・ハーデン(見事な演技!)をめぐる観客を巻き込んだ仕掛けまであり、息をつく暇さえありません。
 さあ問題はラストでしょう。(以下ネタバレ。ドラッグ&反転でお読みください。)あのラスト。悪いとは思わないのですが、正直蛇足かと思いました。その前に車を走行中に超巨大な異生物と遭遇するところがあります。あそこで終わっても充分だった。充分すぎるほどの絶望感があったはずです。この映画で描かれるような主人公の決断を観客に想起させるだけの力もありました。ところがああやって直接みせられた上に、戦車が登場となってしまうと「うーん」と思ってしまったのは事実です。直接みせられるよりも考えて想像する方がもっと怖く、本当に救いようのない状況というのは自分たちではどうしようもない現実をつきつけられることだとこの作品が説得力のある描写でここまで成功しているだけに残念に思います。
 いずれにせよ見応え充分な本作。キング原作のゲテモノホラーというだけで敬遠している人、そして圧倒的に怖い思いをしたい人、そして絶望という状況を追体験したい人、何より手に汗握る映画をみたい人にオススメします。

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2009年5月 4日 (月)

『魔法にかけられて』

Enchant ☆☆☆ 笑いへの転化にセンスの良さ。
 我が家の娘2人がこの映画の子ども向け絵本ではまってしまい、オンエアを心待ちにしていた1本。私も何度も読み聞かせていてあらすじはすっかり頭に入っていました(笑)。ディズニーのセルフパロディのような世界観は大人の方が楽しいかもしれません。おとぎ話のいい加減さを現実世界のズレから笑いに転化するセンスはよく、特にジェームズ・マースデン演じる王子様なんて最高です。キャスティングは他も最高でスーザン・サランドンの女王、ティモシー・スポール演じる女王の手下などにも大笑い。残念ながら『シュレック』のような毒を持つことはなく、ここはディズニーの限界かもしれませんが、それを差し引いても充分楽しめます。

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2009年5月 3日 (日)

109シネマズ港北1

シアター1(席329 見**1/2 音**1/2 環***)
 109シネマズの中の第1号館。2004年にリニューアルされ、以前新木場でみられたようなイエロー、レッド、ブルーのカラフルな色調から、現在のブラウンを基調としたデザインになっている。1番スクリーンは港北でもっともキャパシティが大きい。空調がサイド壁面にあるタイプで見下ろす感じが強く、スコープサイズはみやすいものの大きさは体感できない。スピーカーはJBLで、音はよくもわるくも109シネマズで、川崎、港北のように切れ味とパワーにもうひと声欲しいところ。

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『ウォッチメン』

Watch ☆☆ 絵を動かしても映画にはならない。
 アラン・ムーアの原作は未読。徹底した描き込みの原作はずっと映像化不可能と言われていました。そんなコミックとしての衝撃もそれほど理解していない私にとってのポイントは映画としておもしろいかどうか。その点でこの作品に合格点はあげられません。原作を実在社会にヒーローがいたらどうなるかを突き詰めた作品だと柳下毅一郎さんは述べていますが、その割にはポリティカルなメッセージは希薄。結局監督のザック・スナイダーは『GOEMON』の紀里谷監督と同じように(いや、あそこまではひどくないか)、徹底して描きこめば解決する、映画への移植なんてちょろいと思っているのかもしれません。前作の『300』にも辟易しましたが、そのまま移しかえたところで映画になるわけではなく、この作品も活劇的興奮度に乏しく、知性も感じられない作品でした。ただひとつ、ロールシャッハのジャッキー・アール・ヘイリーには拍手。これはかっこよかったです。
 私はDr.マンハッタンのブルーとその光を受ける他の人物のブルーの色合いが違うことがずっと気になりました。どれだけ描きこんでもその程度。だったらそんなことに気づかせない作品にしてほしいところです。
(109シネマズ港北1にて)

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2009年5月 2日 (土)

WMC港北ニュータウン(8)

スクリーン8(席99 見**1/2 音**1/2 環***)

 かつてWMCはセンターに通路を通路を作らなかったのだが、ここは結構そのパターンがあり。気になるところ。
 WMCといえばTポイントカードとの提携が終わるらしい。ポイントが3ヶ月で切れるなんてシステムだったので、そういう意味では改善か。もうひとつ、WMCオリジナルのトレーラーの内容が変わった。ビハインド・ザ・シーンもあって、これはよいと思います。

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『グラン・トリノ』

Grantr ☆☆☆1/2 イーストウッドでしか撮れない作品。
 イーストウッド最後の主演作になると言われている本作ですが、顔見せ程度になるどころか、イーストウッドの生き様がかちっと浮かび上がる素晴らしい作品になっていました。  今回もひとことで言えばシンプルな演出です。今回のドラマは背景として知っておくとよいことはそれなりにあるのですが、それでも説明的な台詞は少なく、きちんと映像で語られるます。不親切なほどの少なさではありません。それは言葉遣いであったり、表情であったり、登場人物の暮らす家であったり小道具であったり、きわめて自然な形で提示されます。それを私たちがかみしめている間にゆっくりとドラマは起きるのです。アメリカという国、モン族、教会、変わりゆく車の街、アメリカのクルマ産業、父と子、老い・・・これらの要素がミニマムなドラマの中に凝縮されているのです。  ここ最近のイーストウッド監督作で大きなテーマになっている贖罪。今までイーストウッド自身が演じてきたキャラクターの老後のような主人公(真っ先に思い出したのは『ハートブレイクリッジ』のハイウェイ軍曹でした)の姿には有無を言わせぬ存在感と説得力があります。彼は無骨さゆえにちょっとしたことで誰かを傷つけてきたかもしれません。また彼は生きてきた中で自分が背負った罪にずっと苦しんできました。しかし彼が接した隣家の若者の姿に何かを感じたのだと思います。そして自分が罪を背負うことで若者の未来を助けられればと考えたことに、イーストウッド自身もそう考えているのかと感じて、はっとさせられました。(以下ネタバレ。ドラッグ&反転でお読みください。)そしてあのラスト。風を切ってグラン・トリノを走らせるタオ。それはウォルトが大切にした宝物であると同時に、彼の生き方、魂、考え方をもタオが受け継いだことを象徴しているといえます。ウォルトによって彼は成長し、ウォルトの魂を感じた人間として、彼は大人になっていきます。ウォルトの人生の重みはタオがこれから感じていくことです。  スタッフはいつものイーストウッド組ですが、相変わらず手堅い仕事ぶり。特に今回のプロダクション・デザインの功績は大きく、物語の背景として大きな役割を果たしています。また脇を固める役者陣もよく、中でも床屋役のジョン・キャロル・リンチにはニヤリ。いい味です。  クリント・イーストウッドとして人生を歩んできた男にしか撮ることのできない傑作です。
(WMC港北ニュータウン8にて)

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『ミルク』

Milk ☆☆☆ 入魂。
 ショーン・ペンに2度目のオスカーをもたらした本作。2つの側面で話したいと思います。
 作品としてはよくできていると思います。特に最大のポイントであったハーベイ・ミルクという人物の魅力をイヤミにならないように描いた点は高く評価したいと思います。マイノリティであるゲイの立場の代弁者にありながら、身近にいる人々の感覚を忘れなかったこと。私生活が抱えた心の傷と隙。スキャンダラスになりかねない題材をきわめてノーマルな(ここをノーマルにいったところが逆に効果的だった)ドラマとして再構成しています。また他人への思いやりをすぐ行動で起こせる優しさがありながら、ちょっとしたことで疑心暗鬼になってしまうようなゲイコミュニティの感覚もよく出ていました。世間一般が抱くゲイコミュニティのパブリックイメージを逆手にとりながら、でもゲイコミュニティもそんなものかも、という開き直りのような描き方に好感が持てました。ただしあまりにもハーベイに頼りすぎた構成に疑問があったのも事実で、もう少し毒があってもよいのにと思いました。役者陣はみな好演。特に今までさんざん大根だとこきおろしてきたジェームズ・フランコに初めて感心しました。
 もうひとつはショーン・ペン。本当に素晴らしかった。今まで感心したゲイを演じた役者さんといえば『フィラデルフィア』のトム・ハンクス(病気もあったので微妙)、TVシリーズ『エンゼルス・イン・アメリカ』のアル・パチーノ(これも病気が絡んでいるなあ)、『レント』の2人(エンジェルとこのカップル)などが思い浮かばれます。私の記憶が確かならばゲイの役は初めてなはずですが、立ち振る舞いはストレートでも醸し出す空気がゲイ。存在や思考がゲイだとわかります。そこにはゲイであることを隠して生きてきた自らの心の傷が感じられ、過去これほどまでにゲイで生きている人々の人生にまで思いをめぐらすことのできた奥行きある役作りは初めてだと思います。ゲイであることは辛いことも多い。でもゲイであるから辛いのではない。ゲイであることを社会が受け入れないから辛いことが多い。ショーン・ペン演じるミルクが私に伝えたことです。ショーン・ペンではなく、彼が魂を入れたミルクだからこそ、私たちはそう感じられるのです。
(WMC港北ニュータウン7にて)

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2009年5月 1日 (金)

『あるスキャンダルの覚え書き』

Noteons ☆☆☆1/2 主演2人の演技を存分に楽しもう。
 私が映画をみる時の楽しみのひとつは俳優の芝居にあります。大向こうから声がかかりそうなものから、ごく自然なものまで、確かな演技力をみせてくれる俳優さんには敬意を表します。そういう意味でもこの作品はケイト・ブランシェットとジュディ・デンチという当代きっての女優2人が、素晴らしい演技で楽しませてくれます。いや、ひょっとしたらこの作品、この2人でなかったらまったく味も素っ気もない作品になったかもしれません。
 特にケイト・ブランシェットはお見事。開放的で人を惹きつけつつもどこかに隙があることを隠せない女性シーバを演じます。しかもそれが余白を想像したくなる演技と呼べばよいのでしょうか。デンチ演じる女性バーバラのモノローグを聞いていると、シーバという女性のパーソナリティをもっともっと知りたくなる。ブランシェットの演技はその空白を観客の想像力を刺激するに充分な説得力を持っています。他方のデンチも孤独な老女の愛情への乾きを策略というオブラートに包んで巧みに演じます。このバーバラという女性が策士策におぼれる姿を、単純なサスペンスではなく人間の持つ闇の怖さと、どこか滑稽ですらある無常観を出せるのはデンチならではでしょう。
 演出としては記号的で映画としての存在意義には疑問を投げかけたいところもあるのですが、それでもこの作品の質の高さは疑いようもありません。何よりこの2人の演技を存分に楽しめることに映画ファンとして喜びを感じるのです。

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