『ディパーテッド』
☆☆ 業のなさでバランス崩壊。
大傑作『インファナル・アフェア』をリメイクするときいてとにかく不安でした。いや表面的なプロットはいけると思うのですが、物語の背景にある東洋的な「業」の感覚をうまく描けるのかが気になったのです。フタをあけてみると出来映えはほぼ予想通り。リメイクのハンデを背負いつつもスコセッシはよくやったと思います。しかし「業」の感覚がすっぽりと抜けたために主人公2人が背負う物の重さか感じられずサスペンスとしてはかなり軽いタッチになりました。さらに大きなポイントとしてジャック・ニコルソン演じるウラ社会のボスの存在感が強くなったために、主人公2人が駒のようにみえてしまったこと(ニコルソンですらどうにもならないことがあると思わせることがポイントでは?)。またマーク・ウォールバーグが妙な絡み方をして、いかにもハリウッド的なオチにしてしまったことには苦笑してしまいました。ミヒャエル・バルハウスのカメラといい、『グッドフェローズ』のような瞬間もあるものの、結果的に冗長さは否めず、もうひとつ乗り切れなかった印象です。
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