『ヘアスプレー』
☆1/2 冷めた料理。
私はミュージカル映画はわりと好きです。ザッツエンタテインメント、まさにすべての芸能が凝縮されています。しかしここ最近、どうもミュージカル映画に当たりがありません。『マンマ・ミーア』なんて絶対失望すると思ってみていません。実はこれもそう。いやダンスと歌自体は楽しそうだったのですが。私はあのジョン・ウォーターズの作品をどう料理するのかが気になっていたからです。
わりとオリジナルの世界観は忠実に守られていると思います。でも今回のこの作品がひどく脳天気にみえてしまうのはなぜでしょうか。それはトレイシーがなぜ黒人を仲間として受けいれられるのかという肝が弱く、トレイシーが魅力的(なはず)なのは彼女の人一倍豊かな感受性が伝わってこないのです。物事にはみえる部分とみえない部分があり、その両方を知ることが大人になるということだと思います。ここでのトレイシーはただの踊りたい子にしかみえません。純真さというよりは総おバカさん化が進んだとしか思えない演出です。ゆえにこれが黒人解放運動の黎明期の物語とはとても思えません。いや、きっかけはこの程度なのかもしれませんが、それにしても脳天気すぎやしないかと思います。歌と踊りの魅力も少なく、キャストもクイーンラティファの素晴らしさは別格として、クリストファー・ウォーケンとミシェル・ファイファー、ジェームズ・マースデンが及第点、トラボルタは歌えないなら出すなというレベル。ザック・エフロンは論外。
なんか冷めた料理を出された感じのこの作品。クイーンラティファだけがみどころなのかもしれません。
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