『クィーン』
☆☆ 中途半端。
ヘレン・ミレンがオスカーを獲得した本作。というより私にはあのスティーブン・フリアーズの新作という方がポイントでした。しかしこれは評価するのが難しい作品になっていました。まず最低限の知識しかないのでイギリスの政治事情や皇室への世論を温度差として今ひとつわからなかったこと、それからトニー・ブレア政権が末期まで来て、彼の評価が世論的にも揺らいでいることがあります。トップにいる人間の孤独感という部分に関してだけはヘレン・ミレンの存在感は素晴らしく、中でも鹿狩りをめぐるエピソードは深く胸に残ります。しかしそれ以外の部分はどこか中途半端な印象が残るのです。おそらく演出上の意図としてエリザベスを等身大の人物とするために室内劇のようなアプローチがあったのは理解できるのですが、それがひどく安っぽくみえてしまったのは残念です。ヘレン・ミレンもそっくりさんの域を出ているとは思えず、どうせならオリバー・ストーンのようなアプローチをしたら?と言いたくなるようなできばえでした。
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