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2009年2月25日 (水)

『スティック・イット!』

Stick ☆1/2 既視感のあるものばかり。
 日本未公開でしたがアメリカでは興行ランキングに顔を出していた本作。ごひいきジェフ・ブリッジズがでているということでみました。体操という映画としては珍しい世界を舞台にしたスポ根ものです。が結局スポ根もののフィールドを取っ払うことができません。採点競技への"Stick it"(文字通り突っかかるといった意味)という視点が新しいものの、ステージママ、成功までの挫折、指導者の重要性などは既視感のある要素ばかりです。ジェフ・ブリッジスは相変わらずユニークなアプローチで個性的な演技を披露していますが、それとて大きな効果とはなっていません。体操競技について新しい知識が得られるわけでもなく、映画としての完成度も今ひとつでした。

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2009年2月24日 (火)

アカデミー賞授賞式 勝手にほめちゃいます

今年の授賞式の感想を勝手に決めた賞で。

<おいしかったで賞>ヒュー・ジャックマン
ホストのヒュー・ジャックマンは株を上げましたね。古くはボブ・ホープ、最近だとスティーブ・マーティンとか、ビリー・クリスタル、ウーピー・ゴルドバーグなどコメディアンタイプが多かった人選。明るい雰囲気で百戦錬磨の仕切り上手という人材という意味ではなるほどだったのですが、ここ数年は小粒な感じでマンネリな感じがしていました。そういう意味で今回は「あら?」と思わせる人選です。。ちょっとキザな感じはしましたが、さすがトニー賞ウィナー。歌も踊りももちろんですが、舞台映えがします。でも同じ展開ではあきるかもというのも事実で難しいところです。
<歌うまい!で賞>クイーンラティファ
メモリアルで歌ったラティファ。ききほれました!
<意外にやるな賞>アン・ハサウェイ
オープニングで披露した歌声は素晴らしかった!
<あっちゃーで賞>ハイスクールミュージカル組とビヨンセ
こういうところで実力や貫禄って問われます。
<爆賞(笑)>ベン・スティラー
こういうところでマニアックな真似を(あれ、ホアキン・フェニックスですよね)やる度胸!
<やっちまったで賞>メモリアルの市川崑を間違えた
市川崑と三國連太郎の映像を間違えてましたねぇ。推測するに『ビルマの竪琴』(古い方)の安井昌二さんがうつってましたから、そっちの系統でアーカイブを探したら隊長役の三國さんをみつけて出しちゃった感じでしょうか。
<考えちゃったで賞>ジェリー・ルイス
うん、評価が分かれた感じが伝わりました。この人、どうしても偽善という言葉を背負わざるをえないのかなあ。
<グッドスピーチ賞>ショーン・ペン
さすがですよ。ここまでズバっと言えるんですもん。政治的な発言を嫌う上に、ゲイを扱う作品には実は冷たい保守層のアカデミーにあそこまで言えるのはショーンだけでしょう。でも一番ぐっときたのはミッキー・ロークへの賛辞。これ、とってつけじゃないんですよ。だって彼は監督作『プレッジ』でミッキー・ロークをキャスティングしてるんです。だからこそ感じられる愛と重み。ぐっと来ました。
<ナイスな演出で賞>演技賞のプレゼンターが5人
これはよかった。ノミニーそれぞれを過去のウィナーがひとりひとりたたえるというのは素晴らしい。特に女優2部門の方は見事。普通に読んだら歯の浮きそうな台詞に説得力を持たせる女優魂を感じさせました。そりゃあなた、メリル・ストリープを褒められるのはソフィア・ローレンぐらいでしょう。

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2009年2月23日 (月)

第81回アカデミー賞

第81回アカデミー賞の結果です。結果については今年は無風と言ってもよいぐらい順当。私の予想も主要6部門中5部門を本命で、残りも対抗で当てるという珍事(笑)。でも『スラムドッグ$ミリオネア』は後年、そこまで独占する作品か?という評価がくだされそうな気が。『おくりびと』はおめでとうございます。まさに快挙です。下馬評ではイスラエルの『戦場でワルツを』が高かっただけに嬉しいサプライズでした。成人向け映画で腕を磨き、『コミック雑誌なんかいらない!』(大傑作!)でさっそうと一般映画にデビューした滝田監督、『ファンシィダンス』などコダワリの企画で出演作を重ねてきた本木雅弘さん。作品の出来は別として、誰からも祝福される結果であったことは間違いありません。また短編アニメ賞も『つみきのいえ』が受賞。この分野では圧倒的に強いピクサーの『マジシャン・プレスト』(映画館で『ウォーリー』の前に上映されていた短編作品です)を蹴落としてですからこれまた快挙です。

【作品賞】『スラムドッグ$ミリオネア』
【主演男優賞】ショーン・ペン『ミルク』
【主演女優賞】ケイト・ウィンスレット『愛を読むひと』
【助演男優賞】ヒース・レジャー『ダークナイト』
【助演女優賞】ペネロペ・クルス『それでも恋するバルセロナ』
【監督賞】ダニー・ボイル『スラムドッグ$ミリオネア』
【オリジナル脚本賞】ダスティン・ブラック『ミルク』
【脚色賞】サイモン・ボーフォイ『スラムドッグ$ミリオネア』
【撮影賞】アンソニー・マントル『スラムドッグ$ミリオネア』
【作曲賞】A・R・ラーマン『スラムドッグ$ミリオネア』
【歌曲賞】"Jai Ho"『スラムドッグ$ミリオネア』
【編集賞】『スラムドッグ$ミリオネア』
【美術賞】『ベンジャミン・バトン数奇な人生』
【衣装デザイン賞】『ある公爵夫人の生涯』
【メイクアップ賞】『ベンジャミン・バトン数奇な人生』
【録音賞】『スラムドッグ$ミリオネア』
【音響編集賞】『ダークナイト』
【視覚効果賞】『ベンジャミン・バトン数奇な人生』
【長編アニメ賞】『ウォーリー』
【短編アニメ賞】『つみきのいえ』
【外国映画賞】『おくりびと』
【長編ドキュメンタリー賞】"Man on Wire"
【短編ドキュメンタリー賞】"Smile Pinki"
【実写短編賞】"Spielzeugland (Toyland)"

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2009年2月22日 (日)

第32回日本アカデミー賞

昨年、作品賞を『東京タワー』にあげるというとんでもない暴挙をみせた日本アカデミー賞。東京国際映画祭同様、記録する価値は少ないけれど一応第32回の結果。

最優秀作品賞:『おくりびと』
最優秀アニメーション作品賞:『崖の上のポニョ』
最優秀監督賞:滝田 洋二郎『おくりびと』
最優秀脚本賞:小山 薫堂『おくりびと』
最優秀主演男優賞:本木 雅弘『おくりびと』
最優秀主演女優賞:木村 多江『ぐるりのこと。』
最優秀助演男優賞:山﨑 努『おくりびと』
最優秀助演女優賞:余 貴美子『おくりびと』
最優秀音楽賞:久石 譲『崖の上のポニョ』
最優秀撮影賞:浜田 毅『おくりびと』
最優秀照明賞:髙屋 齋『おくりびと』
最優秀美術賞:桑島 十和子『パコと魔法の絵本』
最優秀録音賞:尾崎 聡・小野寺 修『おくりびと』
最優秀編集賞:川島 章正『おくりびと』
最優秀外国作品賞:『ダークナイト』
話題賞(作品部門):『容疑者Xの献身』 (俳優部門):松山 ケンイチ

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2009年2月21日 (土)

『野獣刑事』

Yaju ☆☆ いわゆる悪い意味での日本映画。
 鬼才工藤栄一が作った刑事物はいわゆるかつての日本映画っぽい作品でした。つまり暗い暗い物語。そしてウソっぽい物語。いや、おもしろくなりそうな要素はたくさんあるのです。大阪のロケーションは秀逸ですし、泉谷しげるの覚醒剤中毒の様子、そしていしだあゆみのダメ女ぶりなどは見事だと思います。しかしいかんせん話がいかにもな展開な上に、映像が紋切り型でつまらない。つまりリアリズムを標榜しているはずなのに、それがウソっぽく軽く感じられてしまい、観客を驚かせ魅了する要素もないのです。もっと徹底したリアリズムの上に作られたならばすごい作品になった可能性があります。

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2009年2月20日 (金)

『ランボー 最後の戦場』

Johnram ☆1/2 血と肉が踊る怪作。
 前作から20年ぶりの続編。1以外は作品的にみるものが少なかったシリーズ。しかも今回はあまりにも暴力的なシーンが多いというレビューが多く、さあどうするかと思ったのですが、『ロッキー・ザ・ファイナル』のようなケースもありますし、一応みることにしました。これがまあ怪作という表現がふさわしい1本。私はパート1はよくできていたと思います。それは構成がアクションだけでつなぐというソリッドなものという点が、同時に登場人物の性格をも語る構成になっていたことです。アクションがドラマにつながるという点はすごいと思いましたし、ジョンのあの独白は(賛否両論はあると思いますが)胸打たれました。
 しかし本作はそういうものがありません。スタローンの姿勢はかってあげたいところがあります。これだけ世の中でリアリズムを追求した映像があふれている以上、映画としてこういう表現をめざすことには致し方ない部分もあります。しかし妙にマンガチックにみえてしまうことも事実で、戦闘マシーンとしてのランボーの悲哀は浮かび上がってきませんでした。たとえそれが巻き込まれ型の動機でも共感は持てず、また2と3でみせた笑うしかないドラマが負の遺産となっていることも否めません。さらに『ロッキー・ザ・ファイナル』が奇跡のようにスタローンの人生とだぶった魅力もここではよい影響とはなっていません。
 アクションとしてもドラマとしても魅力に欠け、かといって新しい要素もない作品でした。

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2009年2月19日 (木)

2008年 第63回毎日映画コンクール

2008年 第63回毎日映画コンクールの結果。

日本映画大賞:『おくりびと』
日本映画優秀賞:『ぐるりのこと。』
監督賞:若松孝二『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』
脚本賞:橋口亮輔『ぐるりのこと。』
男優主演賞:阿部寛『歩いても 歩いても』『青い鳥』
女優主演賞:小池栄子『接吻』
男優助演賞:堺雅人『アフタースクール』『クライマーズ・ハイ』『ジャージの二人』
女優助演賞:松坂慶子『火垂るの墓』
撮影賞:辻智彦『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』
美術賞:矢内京子『西の魔女が死んだ』
音楽賞:岩代太郎『闇の子供たち』
録音賞:尾崎聡『おくりびと』
技術賞:桑島十和子、増尾隆幸、土屋真治、柳川瀬雅英『パコと魔法の絵本』のVFX
ドキュメンタリー映画賞:『花はどこへいった』
スポニチグランプリ新人賞:三浦春馬『奈緒子』、仲里依紗『純喫茶磯辺』
外国映画ベストワン賞:『ダークナイト』
映画ファン賞:日本映画『私は貝になりたい』 外国映画『レッドクリフ PartⅠ』
アニメーション映画賞:『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』
大藤信郎賞:『崖の上のポニョ』
田中絹代賞:余貴美子
特別賞:市川崑、緒形拳、楠田浩之

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2009年2月18日 (水)

『マーシャルの奇跡』

Wearemar ☆☆ できすぎた感じ。
 CSで告知をみておもしろそうだったので、あの『チャーリーズ・エンジェルズ』のマックG監督作(今夏は『ターミネーター4』の監督ということで気になってみることにしました。
 実話という触れ込みについては以前ここでもデメリットになると言うことで書きましたが、その点はこの作品でも同じです。ただ違う点として「再生」というドラマの描き方に、こちらの方がもう少しだけ奥行きがあります。それは演技陣が充実していることと関係がありそうです。中でもやはりデビッド・ストラザーンは確かな存在感をみせてくれます。しかしあまりにもできすぎた感じがするのも事実で、このあたりはマシュー・マコノヒーの魅力では説得力が足りなかったとみるべきかもしれません。

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2009年2月17日 (火)

『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』

22sai ☆☆1/2 ラストはいい、ラストは。
 『転校生 さよならあなた』が予想外によかったので、こちらもみました。しかしこちらは安易な映画の楽しみ方を徹底的に拒絶する大林節が炸裂しており、観客をどうしていいかわからない世界にと引っ張り込もうとする作品でした。
 そもそもオープニングからしてよくわからない状態になっており、筧利夫の摩訶不思議な演技と加藤雄大の神経を逆なでする映像に不安をかきたてられます。とどめは本作がデビューとなる女優2人。作品を引き立てるだけの魅力に欠ける上に、この2人を主役にするような構成が魅力をさらに削いでいる印象があります。そしてこれらの要素が過去と現在の要素で混沌とさせており、正直戸惑うばかりでした。しかし時に胸をわしづかみにするような映画的な瞬間があるのが始末に悪いのです。ラストはいいのです、ラストは。
 というわけでこればかりはみるしかわからない世界ですが、万人にはすすめられない世界です。

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2009年2月16日 (月)

『デッド・サイレンス』

Deadsilence ☆☆☆ よくできた都市伝説系怪談もの。
 『ソウ』のジェームズ・ワンの新作はホラーファンの期待を裏切らない手堅い作品となっていました。正直『ソウ』はプロットでお客をミスリードしているような傾向があって、反則かなあという気がしていたのですが、この作品は怪談のような世界を構築していたので、プロットのあらがあまり気になりませんでした。世界としては『エルム街の悪夢』などに通じているかもしれません。腹話術の人形はそれだけで怖いわけですから、そこをうまくふくらませています。怖がらせ方はさすがで円熟の境地、このあたりは見事です。最後のオチもむしろすっきりで、これならシリーズ化もありかと勝手に思っています。

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2009年2月15日 (日)

『バーバー』

Barb ☆☆ ビリーボブの無駄遣い。
 前にもかきましたがいろんな理由で感想を書き損ねることがありまして、これもその1本でした。まあ忘れる程度の作品です(笑)。この作品はカラーフィルムで撮影してそれをモノクロ現像したことがちょっとした話題になりました。実はDVDにはカラー版とモノクロ版があります。私はモノクロ版をみましたが、カラー版はみる気が起きませんでした。そうだ、両方みてから書くつもりだったんです(笑)。考えてみるとコーエン兄弟で大当たりがここしばらくない(『ノーカントリー』をはじめ数本未見)のですが、これもつまらなかったです。ビリー・ボブ・ソーントンを無駄遣いしています。ソーントン自身は相変わらずすごいです。彼が出てくるだけで画面が締まります。でもコーエンの映画にははまらない。ウィリアム・メイシーみたいな個性の方がよい気がします。結局シリアスハード路線の成功作は『ブラッド・シンプル』で失敗作の手本が『バートン・フィンク』、ユーモア路線の成功作が『赤ちゃん泥棒』で失敗作が『未来は今』、両方混在の有無を言わさぬマスターピースが『ミラーズ・クロッシング』でしょうか。結局初期3作の素晴らしさにハマッただけとも言えます(汗)。さあ、コーエン兄弟。次はブラピですよ、ブラピ。

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2009年2月14日 (土)

BD: The Last Emperor

Bdlast 邦題『ラストエンペラー』
 ベルナルド・ベルトリッチのオスカー受賞作。クライテリオンのブルーレイは初めてだったのだが、相変わらず丁寧な仕事ぶり。画質はフィルムの質感が感じられ、エンドロールのクレジットなどは映画館での上映を思い起こさせる。しかし発色は段違いに素晴らしく、ここまでの美しさはかつてのこの作品のソフトでは味わったことがない。以前米国でリリースされている長時間版DVD(スコープ、ノンスクイーズ)と比較しても段違い。ただ残念ながら音はオリジナルのステレオ音声のみだったこと。こちらも丁寧にレストアしてあるものの、(クライテリオンがオリジナル優先であることは知っているが)できれば5.1ch収録があるとうれしかったかと。なおDVD版は長時間版も収録されているが、このブルーレイには未収録。米国内であればクライテリオンが実費でDVD版を買ったユーザーに劇場版のディスクをブルーレイに交換するサービスをしているらしい(もちろん日本は対象外)。
 さて問題の収録サイズに関してだが。
まず今回のクライテリオンでのソフト化にあたり、撮影監督のビットリオ・ストラーロは70ミリのアスペクト、1:2.0で収録することを強く希望したとのこと。今までこのアスペクトで収録された『ラストエンペラー』のソフトはなく、スコープサイズで収録されていた。ではこれが降ってわいた話かというとそうではない。ここにはややこしい背景がある。
 まずストラーロとベルトリッチは『ラストエンペラー』の上映プリントを作るにあたり細心の注意を払った。特に70ミリプリントはわざわざロンドンのテクニカラー現像所でしか焼かなかったほどで、そこから35ミリのプリントを作ったそうだ(ちなみに日本だけが独自にプリントを焼いてしまったと嘆いていた)。つまりフレーミングとしてスコープはあくまでも70ミリの代用品だったということになる。ゆえにストラーロが主張する1:2.0が本来のフレーミングというのははずれではないと言える。
 またストラーロは1:2.0というフレーミングに強いこだわりがある。ストラーロは長年テクノビジョンという商標のレンズとカメラで撮影している。このシステムを管理しているのがCINE CAMERASというイタリアの会社で、ここはストラーロと組んでUNIVISIUMという1:2.0のアスペクトによるフォーマットを完成させている。そういう意味でストラーロの美意識をもっとも反映させていると言える。
 さらにストラーロが自作をこのフレーミングでソフト化したのは初めてではない。有名どころでは『地獄の黙示録』がある。このDVDは1:2.0で収録されている。
 で、本題に戻るが、どちらをオリジナルとするかは難しい問題である。私は劇場公開時に70ミリ版でみているがフレーミングはスコープだった気がしている。そして今までのソフトでもすっかりスコープで慣れているので、エンドクレジットだけ違和感があった。でもそれだけ。大きな違いは感じなかった。クリエイターが直接監修している上、大幅なトリミングではないし、今回に関してはありなのかなと考える。

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2009年2月13日 (金)

『ディセント』

Desc ☆☆1/2 パワーはあるが演出力不足。
 俊英ニール・マーシャルの手がけた意欲作ということで楽しみにしていたのですが、残念ながら怖さも緊迫感も今ひとつのできばえでした。
 閉所の怖さという部分がうまく演出されていません。閉所の演出についてはキャメロンの『アビス』などの方が実感できました。洞窟ですから真っ暗なわけですが、だからといって何も写らない真っ暗闇がオンパレードで出てくると、何が起きているのかさっぱりわからないというフラストレーションの方がたまってくるのです。またこのあたりの演出力不足が地底人との血で血を洗う大バトルの迫力までそいでいます。ただ、今までの経験からこのタイプの作品を作れる人の中に「化ける」人がいます。パワーはありますし、キャラクターの描き分けには「!」っと思わせる部分があります。注目すべき才能ゆえに次回作も要注目です。

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2009年2月12日 (木)

『舞妓 Haaaaan!!!』

Maikoha ☆1/2 前半まあまあ、後半メタメタ。
 『ピンポン』『GO』などで宮藤官九郎の才能は私も認めています。しかし本作は「それはないだろう」というつっこみどころ満載の出来でした。さまざまなレビューでクレイジーの無責任シリーズや、東宝のサラリーマンものへのオマージュ(しかも出来損ないの)であることが指摘されておりました。確かにそういう要素はあるでしょう。でもどうやらやりたいのはそれではなさそう。だって途中から職が転々としますもん。それから伊丹十三のような情報ものにしたいのか、舞妓さんの世界の情報は過不足なくでてきます。でもそれが物語の核どころか、サブプロットにすら絡んできません。すると残るのはどうしようもないテレビドラマレベルの「泣かせ」だけでした。特に後半部分で主人公が野球選手になってからはもうメタメタ。なぜこんないい加減な筋書きにしたのか理解に苦しみます。阿部サダヲはおもしろいのですが、やらせすぎはダメなタイプでしょう。ここはもう少し演出家がブレーキをきかせてほしいところです。一方堤真一も思ったよりは悪くないのですが、阿部サダヲとのコンビとしてはまったくかみ合っておらず、作品になじんでいるとはいえません。結局そういう部分が分かって演じているのはベテランの伊東四朗ぐらいで、このあたりも演出の腕が未熟ゆえに起きたケースといえます。コメディの意欲作ゆえにもったいない感じがしました。 

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2009年2月11日 (水)

LDプレイヤー生産打ち切り

 パイオニアがLDプレイヤーの生産を打ち切るというニュースがありました。私が最初に手に入れたLDプレイヤーはCLD-70。そこから本当にほしい映画はLDで購入するようになりました。何より画も音も段違いに美しく、後年はドルビーデジタルAC-3やdtsなどの5.1chをいち早く楽しめるようになりました。はたまた米国盤の味を知ったり、個人輸入で購入した入りしたのもLDが入り口でした。結局我が家ではその後、CLD-01、そしてDVL-919と3台のハードを乗り継ぎ、LDもかなりの枚数を購入しました。結局現在では数枚のLDとDVL-919が残っています。プレイヤーの調子はあまりよくないですし、実際今はしまいこんでおりますが正直処分しようか迷っています。でも私のオーディオビジュアルの入り口として、LDというメディアにはさまざまな思い出が残っています。今は感謝の気持ちでいっぱいです。

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2009年2月10日 (火)

BD: The Shawshank Redemption

Bdshawsh 邦題『ショーシャンクの空に』
ブルーレイで早々とリリースされたフランク・ダラボンの傑作。何度みても味わいがあるからこそのマスターピース。今までのDVDの画調は抑えた色調としか感じられなかったのですが、実は抑えた色調の中に豊かなディテールが隠されいたことがよくわかる画質で感激。これぞ名手ロジャー・ディーキンズの腕といったところ。なおワーナーなので米国盤はまたまた日本語字幕&吹き替え収録で、本編だけでなく映像特典にまで字幕収録。これで実売$20ですからねえ。絶対のオススメ。

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2009年2月 9日 (月)

『AVP2 エイリアンズVS. プレデター』

Avp2 ☆1/2 せめて何が起きているかはうつそう。
 まあパート1もくだらなかったのでどうなるかと思ったのですが、これはひどい。スラッシャーとして容赦なし!の思い切りだけはかうとして、画面が暗くて何が起きているかわからない上に話にもオリジナリティのかけらもないとはどういうことよ?って感じです。まあみる前からわかりきっていた部分もあるだけにそれほど怒る気にはなりませんでしたが。

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2009年2月 8日 (日)

『クィーン』

Queen ☆☆ 中途半端。
 ヘレン・ミレンがオスカーを獲得した本作。というより私にはあのスティーブン・フリアーズの新作という方がポイントでした。しかしこれは評価するのが難しい作品になっていました。まず最低限の知識しかないのでイギリスの政治事情や皇室への世論を温度差として今ひとつわからなかったこと、それからトニー・ブレア政権が末期まで来て、彼の評価が世論的にも揺らいでいることがあります。トップにいる人間の孤独感という部分に関してだけはヘレン・ミレンの存在感は素晴らしく、中でも鹿狩りをめぐるエピソードは深く胸に残ります。しかしそれ以外の部分はどこか中途半端な印象が残るのです。おそらく演出上の意図としてエリザベスを等身大の人物とするために室内劇のようなアプローチがあったのは理解できるのですが、それがひどく安っぽくみえてしまったのは残念です。ヘレン・ミレンもそっくりさんの域を出ているとは思えず、どうせならオリバー・ストーンのようなアプローチをしたら?と言いたくなるようなできばえでした。

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2009年2月 7日 (土)

『アヒルと鴨のコインロッカー』

Ahiru ☆☆ 退屈なプロットと薄っぺらい演技陣
 かなりの客を集めたミニシアター系邦画だったのでみたのですが、プロットとしてのオチは比較的はやいうちに読めてしまいました。プロット自体も映像としての謎解きとしてもおもしろさに欠け、退屈でした。演技陣も瑛太の仕掛けだけは興味深かったものの、さりとてそれとて今ひとつ深みはなく、それを支えるはずだった助演陣の演技のベクトルがばらばらなのもいただけません。結局若手俳優陣の層の薄い現状だけを露呈したように思います。

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2009年2月 6日 (金)

びっくり!アニー賞の結果

ぬわんと今年のアニー賞を制したのは『カンフー・パンダ』。17部門中15部門もかっさらって『ウォーリー』は無冠! これはひどすぎる!

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2009年2月 5日 (木)

『泥棒野郎』

Takem ☆☆☆ 愛らしい小品。
 ウディ・アレンの長編監督デビューとなる本作。かつて演出家の故武市好古氏が絶賛していて、いつかチャンスがあったらみたいと思っていましたが、気取りがない愛らしい小品で楽しむことができました。作風としては『カメレオンマン』に似ていて、架空の人物をドキュメンタリースタイルで追いかけています。アレンにしては珍しくかなりベッタベタなギャグも入っているのですが、アレン自身が喜んでそれをやっている感じで、映画全体のトーンを軽やかにしています。後の彼の才気煥発ぶりを十二分に感じさせる作品です。

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2009年2月 4日 (水)

U2ネタ、2つ!

 おっと寝耳に水でした! 2月末ニューアルバム発売ということでシングルの音源が公開されていました。これはスルメサウンド。噛めば噛むほどという感じです。で、1stシングルがアルバムの頭の方の数曲に先頭に入らないのは久しぶり(私の記憶が確かならば"Zooloppa"以来かな)。

U2 日本公式サイト(ユニバーサルミュージック)

もうひとつ『U2 3D』の日本公開がめでたく決まりました。3/7から一斉公開で公開館も複数あるのはめでたいのですが、困ったことが1つ。首都圏ではどうやらDLPによる上映で3Dらしいのですが、なんと上映劇場リストにサントリーミュージアム天保山が入っています。そう、ここは現在日本では数少ないアイマックス専用シアターでして、ここではアイマックス3Dバージョンで上映されるようです。ああ、どうしよう!

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2009年2月 3日 (火)

『不都合な真実』

Inconv ☆☆ 金持ちの道楽。
 アル・ゴアのスライドショーを映像化したこの作品。これをドキュメンタリーと呼ぶにはかなり抵抗があります。むしろスライドショーの舞台中継のような感覚です。エコロジーの部分では日本ほどとやかく言われていないアメリカでセンセーショナルにとりあげられるのは理解できます。アメリカでいろいろ言われないのはビジネスにならないからです。他方日本ではこのスライドショーをみて我が意を得たりとしたり顔をする人々がいますが、日本でいろいろ言われるのはビジネスになっているからであって、もしそんなに環境が心配ならばペットボトルを売らなきゃいいじゃん、世の中経済活動を制限すりゃいいじゃん、と思っている私のような人間には、ゴアの主張が所詮金持ちの道楽程度にしか聞こえてきません。映像的なおもしろさもなく、この作品が流行するご時世がすでにエコではない気がするのです。

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2009年2月 2日 (月)

桜木町から東宝は撤退!

 東宝が横浜・桜木町のシネコン開発から撤退
 そりゃそうですよね。あのあたりに土地勘のある人ならわかるかと思いますが、あそこにもうひとつシネコンを作ろうとする経営陣の気が知れません。川崎駅前のシネコン3サイト競合の状況を考えれば無理だと言うことがわかります。さあ、残るティ・ジョイと松竹はどうするのでしょう?

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2009年2月 1日 (日)

TOHOシネマズ、有楽町・日比谷地区映画館名を変更

 東宝の映画興行専業の子会社、TOHOシネマズが有楽町・日比谷地区の映画館名を変更するとのことです。()内は変更日。
日劇PLEX=TOHOシネマズ 日劇(2/17)
有楽座=TOHOシネマズ有楽座(2/10)
日比谷スカラ座=TOHOシネマズ スカラ座(2/3)
日比谷みゆき座=TOHOシネマズ みゆき座(2/3)
シャンテシネ=TOHOシネマズ シャンテ(2/3)
また今回の変更に伴ってすべてシネマイレージの対象になるとのことでした。

 日本劇場が日劇PLEXになった時には憤然としましたが、ここまでしょっちゅう変更されるとどうでもよくなってきます。そうすると相変わらずの間借り状態になっているみゆき座は以前のようにスカラ座2にしないのかが不思議ですが、そんなこともどうでもよい感じです。だったら宝塚劇場はスカラ座3に、シアタークリエもスカラ座4にしちゃえばいいと思いますが、こんなネタもどうでもいい感じがします。映画館の名前ってそんなもんでしょうか。

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