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2009年2月14日 (土)

BD: The Last Emperor

Bdlast 邦題『ラストエンペラー』
 ベルナルド・ベルトリッチのオスカー受賞作。クライテリオンのブルーレイは初めてだったのだが、相変わらず丁寧な仕事ぶり。画質はフィルムの質感が感じられ、エンドロールのクレジットなどは映画館での上映を思い起こさせる。しかし発色は段違いに素晴らしく、ここまでの美しさはかつてのこの作品のソフトでは味わったことがない。以前米国でリリースされている長時間版DVD(スコープ、ノンスクイーズ)と比較しても段違い。ただ残念ながら音はオリジナルのステレオ音声のみだったこと。こちらも丁寧にレストアしてあるものの、(クライテリオンがオリジナル優先であることは知っているが)できれば5.1ch収録があるとうれしかったかと。なおDVD版は長時間版も収録されているが、このブルーレイには未収録。米国内であればクライテリオンが実費でDVD版を買ったユーザーに劇場版のディスクをブルーレイに交換するサービスをしているらしい(もちろん日本は対象外)。
 さて問題の収録サイズに関してだが。
まず今回のクライテリオンでのソフト化にあたり、撮影監督のビットリオ・ストラーロは70ミリのアスペクト、1:2.0で収録することを強く希望したとのこと。今までこのアスペクトで収録された『ラストエンペラー』のソフトはなく、スコープサイズで収録されていた。ではこれが降ってわいた話かというとそうではない。ここにはややこしい背景がある。
 まずストラーロとベルトリッチは『ラストエンペラー』の上映プリントを作るにあたり細心の注意を払った。特に70ミリプリントはわざわざロンドンのテクニカラー現像所でしか焼かなかったほどで、そこから35ミリのプリントを作ったそうだ(ちなみに日本だけが独自にプリントを焼いてしまったと嘆いていた)。つまりフレーミングとしてスコープはあくまでも70ミリの代用品だったということになる。ゆえにストラーロが主張する1:2.0が本来のフレーミングというのははずれではないと言える。
 またストラーロは1:2.0というフレーミングに強いこだわりがある。ストラーロは長年テクノビジョンという商標のレンズとカメラで撮影している。このシステムを管理しているのがCINE CAMERASというイタリアの会社で、ここはストラーロと組んでUNIVISIUMという1:2.0のアスペクトによるフォーマットを完成させている。そういう意味でストラーロの美意識をもっとも反映させていると言える。
 さらにストラーロが自作をこのフレーミングでソフト化したのは初めてではない。有名どころでは『地獄の黙示録』がある。このDVDは1:2.0で収録されている。
 で、本題に戻るが、どちらをオリジナルとするかは難しい問題である。私は劇場公開時に70ミリ版でみているがフレーミングはスコープだった気がしている。そして今までのソフトでもすっかりスコープで慣れているので、エンドクレジットだけ違和感があった。でもそれだけ。大きな違いは感じなかった。クリエイターが直接監修している上、大幅なトリミングではないし、今回に関してはありなのかなと考える。

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