『動物農場』
☆☆☆ 不気味な世界を不気味に描く志の高さ。
かつてNHKでオンエアされた「アニメの世界」というドキュメンタリーで、この『動物農場』が紹介されていました。ジョージ・オーウェルの小説はこの後読んだのですが、私の心をとらえたのはその動物の動きと、アニメでこういう原作に挑むという姿勢でした。それから20年近くたって。過去VHSになったことはありますが、ジブリのおかげで本邦劇場初公開、ようやくその全編をみることができました。閑話休題。
不気味な話をそのまま描いたこの原作は、旧ソ連に対する批判になっていて、正直物語はあまりにも露骨すぎです。製作背景にはCIAも絡んでいたという有名なエピソードがあるぐらいですが、ただ最後にみせた部分(ここは原作と違っている)は映画ならではと言える部分で、権力をめぐる物語へと昇華しています。私はこの終わり方は好きです。またこの作品がすごいのはやはり動物たちの動きや表情です。ディズニーとはまた違うその描き方は、作品世界にもピタッとはまり、素晴らしい効果をあげています。
子ども向けではありませんが、ぜひぜひその志と技術のの高さを実感してください。
(シネマ・シティ5にて)
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コメント
動物農場は過去の話ではなく、一段と深刻化している現代の話だと思います。
投稿: 新太 | 2009年9月 8日 (火) 08:18