『時計 Adiue I 'Hiver』
☆ 倉本聰の怨念。
「ひどい映画だ」と聞いてはいましたが、確かにこれほど後味が悪い映画も珍しいかもしれません。私は倉本聰にそれほど思い入れがありません。「北の国から」はむしろ嫌いなドラマですし、この人と山田太一の作品は市井の人々を見つめていることをアピールしながら、その設定の端々に上から目線を感じてしまうのです。そういう部分がこの作品にもわんさか。ステレオタイプな役柄がごろごろ、陣内孝則のオカマ役の悪意すら感じるいい加減な演技、永島敏行の映画監督役などには倉本聰の怨念のようなものしか感じません。そもそもこの作品、中島朋子がスケートに取り組む様子をセミドキュメントで追っていこうという話になったものの予想以上に上達せず、挫折する物語に変わったという代物。にもかかわらず、かわいそうなのは中島朋子であるという認識すら欠けています。金子由香利を主題歌に使ったこと以外、何の価値もありません。
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