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2008年12月15日 (月)

デジタル上映館の未来(2)

 撮影時のセットアップの気軽さと、ポストプロダクションでのデジタルの親和性で、製作側は完全にデジタルに移行しており、特に邦画界はフィルム撮影との割合でいくと年々フィルムレスの撮影体制の方が増えてきています。また導入が進まなかった理由のいくつかはかなり解消されてきました。NTTとワーナーは継続してデジタル配信システムによる上映を実験的に継続したり、ソニーやドルビーはデジタルシネマのシステムをパッケージ化してセールスするようになしました。さらに興行側はデジタル上映システムをウリにするケースも増えており、中でもティジョイは全サイトにデジタルシステムを、WMCは3Dデジタルシステムを積極的に導入しています。ところが一向にデジタル上映の作品が増えないのはなぜでしょうか。するとまず配給側が消極的であるということになります。配給側にはデジタルのメリットはそれほど大きくないのです。もうひとつはシネコンでの興行側の問題。ひとつのシネコンでの全スクリーンがデジタル上映可能なサイトはまだ珍しく、客入りによってスクリーンを頻繁に入れ替えるシネコンではDLPでは対応できないケースが多いのです。
 2008年の上映作品で「あれ?」と思ったのが2作品。ひとつは『崖の上のポニョ』、もうひとつが『ウォーリー』。スタジオジブリ、そしてピクサーとも前作(『ハウルの動く城』『レミーのおいしいレストラン』までは新聞広告にDLP上映を表記として入れていました。ところが今回は表記していないのです。(そもそもWDIJは『Mr.インクレディブル』から日本語吹き替え版でしかDLPを作らなくなりました。)これはどう解釈すればよいか、一般作品ではDLPはそれほど大きなウリにならないのか、それともシネコンではDLP上映がいつも可能になるとは限らないからなのか、何とも言えないところです。結局私が確認した限りでは首都圏で『ウォーリー』のDLP上映を行っているのはシネマイクスピアリとティジョイ系3館(新宿バルト9、ティジョイ大泉、XYZシネマズ蘇我)のみです。(新宿ピカデリーが未確認なのですが)この状況は寂しい限りです。
 しかし・・・(本稿続く)

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