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2008年12月14日 (日)

デジタル上映館の未来(1)

 前日に『ウォーリー』はDLPでと書きましたが、今回は本当に往生しました。DLP上映館がきわめて少ないのです。これは本当に残念であると同時に今後のデジタル上映について大きな課題も露呈しています。
 ウォルトディズニーインターナショナルジャパン(旧ブエナビスタ、以下WDIJ)はデジタル上映に積極的でした。なにしろ汎用機ではない上映専用機でのデジタルシネマは同社の『トイ・ストーリー2』でしたし、以後WDIJは自社配給作品で積極的にデジタル上映を行ってきました。しかし残念ながらデジタル上映の導入は遅々として進みませんでした。とにかく初期費用が高い上に、上映側にはそれほど大きなメリットがなかったからです。
 導入が進まなかった理由として
・初期費用が高い
・データ配信のインフラが未整備
・データ管理が煩雑(当初はHDDでの提供だった)
・規格がまちまち
・映写機のメンテナンスが(フィルム機と比較すれば)難しい
・光量が不足気味
・配給側が消極的
 象徴的なケースがフォックスの『スター・ウォーズ』新3部作。『SWエピソード1』は上映に関する2つの新しい技術が導入されています。ひとつはドルビーサラウンドEX。もうひとつがこのテキサスインスツルメンツ社のDLPプロジェクタによる初めての商業上映でした。その公開時にフォックスがゴリ押ししたのはEXの導入。劇場がEXに対応していない場合は上映させないという対応をしたのは有名な話です。さて完全にフィルムレスで撮影されたエピソード2。しかしこちらはデジタル上映館のみというわけにはいきませんでした。その当時はシネコンの拡大期だったとはいえ、相変わらず導入にはハードルが高く、しかも『SWエピソード1』を上映するような大きなキャパシティを持つ映画館のスクリーンサイズでは、光量が不足気味で導入が見送られるケースがほとんどだったのです(事実日劇3館で最初に導入されたのは最も小さな日劇プラザ(現在日劇3))。結局この状況は『SWエピソード3』でも劇的な改善というわけにはいきませんでした。余談ですがルーカスが推奨するTHX認証による音響とDLPによるデジタル上映の組み合わせをみたして上映できたのは日本ではわずか2館(札幌シネマフロンティアシアター8とTOHOシネマズ二条スクリーン1)だけでした。(本稿続く)

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