『オール・ザ・キングスメン』
☆☆1/2 誰もが呑みこまれるかもしれない闇。
実はリメイク作がオンエアされるので、さすがにオリジナルをみていないのはまずいかと引っ張り出してきました。1949年にオスカーを獲得した本作は、政治という舞台での物語でありながら、人間の心がいかに弱いものかを描き出そうとしています。たしかにこのスタークという男の物語はおもしろいです。ありとあらゆるものに名前を残し、周囲の人間を巻き込みながら権力を手放そうとしない姿は滑稽ですらあります。また結局彼を支持する大衆も同じように愚かであるという視点もまた秀逸です。しかしスタークの描き方が紋切り型でいわゆる人間の暗い部分に呑みこまれたという感じが希薄なのです。彼がなぜそのような闇に呑みこまれたのか、誰もがそういう弱さを持っているというこの作品の肝要な部分が、ブロデリック・クロフォードの演技に頼っている感じがします。また実は描き手であるロバート・ロッセンがその後の赤狩りでどのようになったかを知識と知っていたのも、私には説得力がないと感じる要因になったかもしれません。
もう少しハードな作品を期待していましたが、やや期待はずれでした。で、リメイクは圧倒的に不評でしたよね。とりあえずみるのは先送りです。
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