『ラウンダーズ』
☆☆☆ ギャンブル、人生、その選択肢のほろ苦さ。
『ラッキー・ユー』が今ひとつだったので、こっちが気になってみましたが、これは意外な拾い物でした。まずギャンブル物として、ギャンブルが持つ摩訶不思議な魅力をきちんととらえていること。エキサイティングではありながら怖い一面があり、それを自分と向き合いながらどうコントロールするか。そんなギャンブルへの考え方を人生観として4人のキャラクター(マット・デイモン、エドワード・ノートン、ジョン・タトゥーロ、ジョン・マルコビッチ)で描き出したのはうまいと思います。最後の手札がそれほど大きなものではないストレートというのもいいですね。また人生の選択肢の中で悩む青春ものとしてのおもしろさもあります。マーティン・ランドー演じる判事が語る自身の人生の選択が主人公の考え方を見つめ直すキッカケになる件は実に味があり、結局人生の選択は自分に責任があることをきちんとおさえていることが、彼のポーカーに対する思いがただの金儲けではないことを実感させ、この映画のホロ苦い味をうみ出しています。マット・デイモンは受けのキャラクターなので見せ場はありませんが、彼らしい実直な感じが良く出ています。エドワード・ノートンは儲け役。評価すべきはジョン・タトゥーロとジョン・マルコビッチで、この2人の佇まいが映画に重みを加えています。
このぐらいの苦味でも観客には充分でしょう。少なくともこちらの作品の方がもう1度みたいという魅力を持っています。
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