訃報:緒形拳
俳優の緒形拳さんが、9/5に肝臓がんでなくなりました。享年71歳。先月19日にはエプソンの「カラリオ・プリンタ」シリーズの新商品発表会に竹内結子とともに出席。30日にもフジテレビの連続ドラマ「風のガーデン」のクランク・アップ会見に出席し元気な姿を見せていたばかりでした。
1937年7月20日、東京都出身。都立竹早高校卒業後、58年に劇団「新国劇」に入団し、辰巳柳太郎に師事。60年にドラマ「遠い一つの道」でボクサー役に抜擢され、同年、その映画化で銀幕デビュー。さらに1965年にNHK大河ドラマ「太閤記」の豊臣秀吉役で注目を集めます。1968年、新国劇を退団しフリーとなってからは、テレビに映画にと精力的に出演します。1978年、野村芳太郎監督作品『鬼畜』でその年の男優賞を総なめにした後、1979年には『復讐するは我にあり』で今村昌平とコンビを組みます。このコンビは後に『ええじゃないか』(1981)、『楢山節考』(1983)、『女衒ZEGEN』(1987)と続き、中でも『楢山節考』はカンヌ映画祭でパルムドールを受賞しました。さらに海外作品にも数多く出演し、残念ながら今でも未公開になっているポール・シュレイダー監督の『MISHIMA』、ピーター・グリーナウェイ監督『ピーター・グリーナウェイの枕草子』などがあります。映画の遺作は『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』でした。
この人は80年代の文芸大作にがんがんかり出されていた時期があり、濡れ場ばかりしていた印象があるほどでしたが、実はこの人の真骨頂はその演技の軽みにあるのではと思いました。たとえば岡本喜八の『大誘拐』、そして深作欣二の『火宅の人』、そして佐藤純弥の『社葬』。もちろん『MISHIMA』、『魚影の群れ』のような狂気も凄いのですが。しかしフィルモグラフィをみると何でも出ているとあらためて実感。
ご冥福をお祈りします。
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