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2008年10月25日 (土)

『シッコ』

Sicko ☆☆☆ 素朴な疑問で突っ走る。
 マイケル・ムーアの新作は、ここ数作ではみられなかった彼らしい切り口で作られた意欲作になっていました。国民皆保険のないアメリカの現状は『ジョンQ』でもとりあげられていましたが、金持ちだけがさらに富んでいる状況をどう思うのでしょうか。さらに現在後期医療制度でさまざまな意見が出ている日本はどうなんだという意味でも、公開が1年はやかったかもしれません。ただマイケル・ムーアの限界も垣間見えて、確かにヨーロッパのライフスタイルは素晴らしいのですが、その分税金に関わる部分の負担も大きいのは自明の理で、そのあたりの突っ込みは観光客レベルでしか行っていません。むしろすべてをお金で換算する現状に異を唱えるのであれば、ヨーロッパの福祉制度をかいつまんでしか説明しなかった部分は不要で、なぜアメリカでは国民皆保険が定着しなかったかを後半にもってくるべきだったでしょう。そしてそっちに突撃をすべきでした。
 ドキュメンタリーとして奥は深くありませんが『ロジャー&ミー』のような素朴な疑問で突っ走る面白さがあります。そしてエンターテイメントとしても楽しめる仕上がりになっています。

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