『グロリア』(1980)
☆☆☆ ハードボイルドはかくあるべき。
ジョン・カサベテス監督作ではもっとも知名度がある作品かもしれません。『レオン』の原型とも言われていますし、また後年あのシドニー・ルメットがリメイクしたことでも知られています。しかしこれはワンアンドオンリーですね。『レオン』なんかよりずっといい。ハードボイルドとはかくあるべきで、甘っちょろい感傷がない。その中でぐっとこらえていた気持ちが揺れるから観客の気持ちも揺れます。そういった意味でインディペンデントらしいオールロケーションの映像と、技巧に走らないカッティングが大きな効果を上げています。ジーナ・ローランズが見事ですね。歩き方にまで生き様が感じられる役作りです。その不器用な愛情表現にも説得力があり、最後の組織幹部との会話の場面などは唸ります。
ぜひぜひ未見の方はどうぞ。インディペンデントがインディペンデントである意味がわかります。メジャースタジオ資本で作るかどうかが問題なのではなく、精神の問題なのです。
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