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2008年9月16日 (火)

訃報:楠田浩之

 撮影監督の楠田浩之氏が13日、肺気腫と心不全のため東京都大田区の自宅で死去しました。享年92歳。
1916年東京都出身。1934年に松竹蒲田に入社。何といっても木下恵介監督とのコンビ(義理のお兄さんでもあります)が有名で、彼のデビュー作『花咲く港』(1943)から、1967年の『なつかしき笛や太鼓』までずっとコンビを組みます。なんと撮影監督としてひとりだちしてからの50本のうち、他の監督と組んだのはわずか5本のみ。木下監督にいたっては、この間他者に任せたのは『陸軍』のみという名コンビだったといえます。木下監督による日本初の劇場用カラー映画『カルメン故郷に帰る』(1951)、印象的なマスキングによる『野菊の如き君なりき』(1955)、そして独特の舞台的な演出が光った『楢山節考』(1958)などの作品で存分にその腕を発揮した名キャメラマンでした。昨今木下監督の評価が以前ほどでないのが残念ですが、これらの名作を残したスタッフというだけでも大きな功績といえると思います。ひとつ不思議なのがク1967年の作品を最後にフィルモグラフィがつづかないこと。まだ50代という脂がのりきった頃になぜ作品を残さなかったのか(ちなみに木下監督もこの時は不遇で、9年近く作品を発表していない)。このあたりをご存じの方、ぜひ教えてください。
 ご冥福をお祈りします。

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